読書記録
04
2004/04/23
『言葉の錬金術』 著:ポール=クグラー 訳:森岡正芳
1997 どうぶつ社 173P
著者がユング派の人間なので、
かなりユング傾倒的つまり心理学的言語学というより言語学的心理学といった感の強い著書。
昨日もうホワイトヘッドとは暫く離れますと書いたのに、こんな本に意外や意外現れました……。
と云っても理学者としての彼ですが。
個人的にはヴィトゲンシュタイン派なので反論点も結構ありましたが、
あまり言語学書らしくない言語学書ということで面白いです、著者博学ですし。
推奨度
★★★★
大見出し
イメージと音韻─言語への原型的接近 原型的構造の一元性─実体から関係へのパラダイム転換 原型言語学とフランス構造主義
無意識の言語 音韻想像力 言葉の錬金術
2004/04/22
『ホワイトヘッドと文明論』 著:プロセス研究シンポジウム
1995 行路社 218P
ホワイトヘッド研究会=プロセス研究会の論文集。
見出しを見るだけでも、ホワイトヘッドが如何に多様な思想家だったかが窺い知れるかと……。
正直研究する人間としては勘弁して下さいってくらいに難解極まりなしですよ彼は。
研究者が少ないのは、単純に難解過ぎる上に幅も広すぎるからだと推測、多分正解。
論文集なのでコンパクトに纏まっています、お腹一杯過ぎるくらいにお腹一杯になれますが。
冗長ではないという意味に於いて。
ともすれば見出しだけでお腹一杯ですよね。
第四章が一番読みやすいし、良い論文なのでこれだけは読んで欲しいですね、特にアメリカ人に。
まぁ大抵のアメリカ人は読んでも怒り狂って反論になってない反論するだけでしょうけど……。
暫くホワイトヘッドから離れようと思います、そろそろ頭が更にステップアップでおかしくなってきそうです。
推奨度
★★★★★
見出し
第一章 近代文明の生態学的危機と有機体の哲学 田中裕
エコロジーの課題と地球の癒し エコロジーの知とホワイトヘッドの「有機体の哲学」
第二章 転機に立つ現代文明─「有機体の論理」へ向けて─ 村田春夫
現代文明の転機 二十世紀文明の特質─それは戦間期アメリカから始まった─ 経営的心性 経済人の「美」 「冒険」と「平安」の挫折
危機に立つ二十一世紀文明 学問の方向─「冒険」と「平安」のために─
第三章 文明論の問題─西田哲学とホワイトヘッドをめぐって─ 川村永子
物質文明と自然 西田哲学とホワイトヘッドにおける自然 現代における文明論の問題
第四章 ホワイトへどの文明論とシステム哲学 伊藤重行
アメリカの文明はどこへ ホワイトヘッドの文明論の欠陥とシステム哲学 アメリカの五つの価値的観念の弱体化
「全部主義」と日本の文化の普遍性 日本初の「システム主義」の有利性
第五章 原理の現実への変換はいかにして可能か─アンセルムス、ナーガールジュナ、ホワイトヘッド─ 延原時行
問題 アンセルムス ナーガールジュナ ホワイトヘッド 文明の中枢問題と神の共在
第六章 ホワイトヘッドの文明論と科学的唯物論 山本誠作
はじめに─特殊進化と一般進化─ 世界の文明化 科学的唯物論と知性至上主義 アクチュアル・エンティティの自己創造プロセス
情的知と知性の立場 「真」と「美」 じねん─自然性と人為性─
第七章 ホワイトヘッドと現代哲学 遠藤弘
フッサールとホワイトヘッド─生活世界論と数学観─
ハイデッガーとホワイトヘッド─ホワイトヘッドの<現実的存在>論を背景にしてみたハイデッガーの現存剤分析と近代技術批判─
レヴィナスとホワイトヘッド─倫理性の条件としての受動性─ ホワイトヘッドにおける平和の概念
2004/04/21
『ハイデガー 存在の謎について考える』 著:北川東子
2002 NHK出版 110P
シリーズ・哲学のエッセンス。
当たり前すぎて物足りなく感じるのが入門書としては丁度良い。
副題の通りの内容で、
触りの部分を現代人が抱えがちな「本当の私」のようなことをテーマにしてハイデガー的に概観。
今より100年以上前に生まれた人が、既に「本当の私探し」などということをぶった切っているというのに、
全く今更なテーマで騒いでいるものとほとほと思います。
この一冊でも読んで目を覚まして欲しいものですが。
推奨度
★★★★
大見出し
存在にどう取り組むか─方法の問題─ 「存在そのもの」について考える 「意味」の解明を試みる 根本的な問いを考える
「自分が存在している」という事実をどう捉えるか 「自分」というのはなにか 自分は、「世界のうちにいる存在」である
「世界のうちにいる」とはどのようなことか 時間性の問題─「存在の意味」とは「時間性」のことである─
2004/04/20
『ニーチェ どうして同情してはいけないのか』 著:神崎繁
2002 NHK出版 126P
シリーズ・哲学のエッセンス。
やっぱりニーチェは哲学者というより文学者だという認識が改めて強まった。
あくまで哲学的文学者であって、哲学者的哲学者ではないと思うのだけれど如何なものだろう。
取っ付きやすいけど中身の少々薄い感が否めない。
ホワイトヘッドなんかやってる後だからなんでしょうか……。
人間の感覚はアテにならない。
推奨度
★★★
見出し
あの事件 他者の苦痛を体験できるか 一つの神話 苦難と距離を取り、それと向き合うこと 作品としての人生
「書きもの」への引きこもり ニーチェにおける「三段階の変化」 『悲劇の誕生』─悲劇の起源? 「起源」をめぐる誤解
「他人の災悪を自分のことと感じる」 「自らの災悪を他人のことと感じる」 ソクラテスのディオニュソス的二重性
生と死の遠近法─至福体験の影 病者の視点 海の比喩 ルクレティウスと死者の視点 エピクロス 「アルカディア」幻想
幸福の背景にある死 ニーチェにおける「海山のあひだ」 至福体験と「赤い蜘蛛」 海抜六千フィートからの思考
永遠回帰─「メニッペア」風に 『ツァラトゥストラ』における「三段階の変化」 ニーチェの『動物誌』 鷲と蛇─あるいは、飛翔と円環
「パロディーのはじまり」とサテュロス劇 「メニッペア」─高みからの哄笑 メニッポス研究の先駆者としてのニーチェ
キュニコス主義=シニズム(冷笑主義)? 世界への「引きこもり」としてのキュニコス主義
2004/04/19
『ホワイトヘッドと現代』 著:山本誠作
1991 法藏館 220P
ホワイトヘッドよりも現代哲学者概観といった感の強い本。
しかも文体が分かりにくいことこの上なし。
“的”使いすぎ。
オリジナリティがあまり感じられず、故に魅力も無い。
しかしホワイトヘッドを扱っている稀少な著作ということで三つ。
推奨度
★★★
見出し
全体論へ─現代の知の流れ 還元主義と全体論的思考 ラッセルと全体論的思考 現代物理学における全体論的傾向
現代生物学における全体論的傾向 要素心理学からゲシュタルト心理学へ 共通感覚 カッシラーの文化科学論
物理学から哲学へ─自然現象と人間経験の類似性 アクシュアル・エンティティとは何か 「見かけ上の現在」と瞬間
原子的個体性と連続性 時間と空間の相互性─アレキサンダーの考察 時間の空間に対する優位性 西田の時空観念
経験の構造─抱握理論 物的抱握と概念的抱握 知識─ノエマ的限定とノエシス的限定 心理主義と客観主義の克服─フッサールの試み
自由について─サルトル 抱握と志向性 最初の与件と客体的与件 自然的対象と志向対象─フッサールの考察
パースペクティヴと射影 ノエシス-ノエマの相関 客体的内在について 志向的分析と構成的分析 志向性の目的論的性格
神と世界と人間と─永遠的客体と同時的世界 永遠的客体について 永遠的客体と主体的指向 永遠的客体と神 同時的世界について
西谷における「ある」-「なす」-「なる」の体系 虚無と空 空の場と世界の方向性
ホワイトヘッドと西田幾多郎─その文明論と知覚論をめぐって 「眼でもって見る」こと 「眼でもって」の忘却 ホワイトヘッドの文明論
螺旋的な歴史観 説得的誘因としての神 文明の五つの概念 西田の「三重の一般者」 真、善、美の直観 絶対無の自覚 宇宙の大生命
絶対と相対の逆限定的関わり ホワイトヘッドと西田の相違点 ホワイトヘッドとアメリカの哲学
2004/04/18
『フリードリヒ大王の歩兵 鉄の意志と不屈の陸軍』
著:フィリップ=ヘイソーンスウェイト 彩色画:ブライアン=フォッスン 訳:稲葉義明
2001 新紀元社 52P
フリードリヒ大王『政治遺訓』(ドイチュ語)読解のための参考書として。
研究者か余程の軍事好き以外は読む必要無いかと。
もう少し色々解説が欲しかった……。
連隊が網羅されているのは流石に凄い。
推奨度
★★★
見出し
編制 近衛連帯 戦術 制服 上衣 装備 下士官 士官 楽士 連隊 軍旗 守備連隊 民兵団
2004/04/17
『現代思想の冒険者たち02 ホワイトヘッド 有機体の哲学』 田中裕
1998 講談社 301P
今の時点で、ホワイトヘッド入門書を読んでどれくらい分かるようになっただろうと試してみました。
…………。
理解度の指標の一つとして、他人への教示がどの程度可能かというものがあります。
ベルクソンやヴィトゲンシュタインなら(ならなどと云ってはいけないくらい彼らも難解ではありますが)、
何とか少しだけは核となる部分を教えられるのですが。
ホワイトヘッド。
いやさすが、20世紀哲学の中で最も難解と云われるだけあります。
っていうか、哲学史上最も難解なんじゃないでしょうか。
禅を代表とする仏教思想は、分かり易いのだけど深い。
ホワイトヘッドや西田幾多郎は、分かり難くて深い。
譬えて云うなら、標高1000mの山を、
前者はグルグルグルグル周りながら段々と登っていくタイプ、
後者は4つの段をつくって250mを一気に飛んでいくタイプ。
深いという表現的には逆のものになるけれど、この比喩が一番当て嵌まるのではないでしょうか。
そして、登り切った後には両者ともども歩いて下山。
その歩みに終焉は無し。
まぁ何を書いてもどれ程のものか想像し難いと思いますので、とにかく一度読んでみて下さい。
対話の形を取っている章もあり、多分今日本語で読める最も平易なホワイトヘッド入門書だと思います。
いややっぱりもっと評価されてもいい人ですよ、っていうか知名度低すぎですよ。
現代物理学の基礎となる部分を築いた応用数学者であり高等物理学者でもある、本当化け物ですから。
ラッセルのお師匠様、何故か弟子の方が超有名。
推奨度
★★★★★
見出し
七つの顔を持つ思想家 数学者から哲学者へ 『数学原理』の射程─新しい論理学へ ホワイトヘッドの多面性 ラッセルとホワイトヘッド
いわゆる「論理主義」の立場 無限への挑戦 アインシュタインの衝撃─新しい自然科学へ 延長的抽象化─『自然認識の諸原理』
「自然の二元分裂」批判─『自然という概念』 出来事の生成性─『相対性原理』 「有機体の哲学」の成立─ポスト近代の科学と宗教
「二つの文化」の架け橋─『科学と近代世界』 「個」と神─『宗教とその形成』 『過程と実在』のコスモロジー プラトンの精神 活動的存在
存在論的原理 主体主義の原理の再定式化 相依性の原理 神と世界 哲学対話─『過程と実在』を読む 文明の危機を越えて
哲学対話─無明の長き夜 哲学対話─「深いエコロジー」 哲学対話─自然・生命・こころ 哲学対話─「かけがえのない個を大切に」
ホワイトヘッド・西田・ポスト近代科学
2004/04/16
『プラトン対話篇ラケス 勇気について』 著:プラトン 訳:三嶋輝夫
1997 講談社学術文庫 151P
かの有名なプラトン対話篇、述べるまでもないと思いますが師ソクラテス出演。
プラトン入門として読むのにオススメだけれども、実は平易であって底の深い書。
入門として読み、そのままプラトン読み漁ったらもう一度この書に立ち返るのが良いでしょう。
プラトンもかの『国家』で、洞窟から出た哲学者は洞窟へまた戻らなければならないと言っています。
ヴィトゲンシュタインもかの『論考』で、
この本で哲学的懐疑が無くなったら哲学を棄てなければならないと言っていますが、これは少し違いますか。
まぁ解釈に難い書なんですが、
私的には、我を張り過ぎず抑え込むことが勇気である、と云っているのではないかな、と……。
はてさて。
推奨度
★★★★
2004/04/15
『武士道』 著:新渡戸稲造 訳:須知徳平
1998 講談社BilingualBooks 301P
何やったのか分からないけど五千円になっているワケ分からない人。
とか思っていてはいけません。
凄い人ですよ。
刮目して読みましょう。
原文は英語。
100年も前に書かれた本とは思えないくらいの内容です。
現代日本・現代国際論にも充分通じる、というか現代人が書いたものと何度素で錯覚したことでしょう。
現代人が訳したからというのも少しはありましょうが。
それにしても、こんな本が100年も前に書かれているというのに、
何故に諸外国知識人どもは日本へのワケワカランバイアスをたくさん抱え込んでいるのでしょう、読めよこれ。
以下引用。
「100年の後、武士道の習慣が葬り去られ、その名さえ忘れられてしまう日がきても、その香気は、
『路辺に立ちて眺めやれば』目に見えない遠い彼方の丘から、風とともに漂ってくるであろう」
一つ返しますか。
「武き道 花乱れ先 見えねども 百過ぎし日の 吾が拓かむ」
推奨度
★★★★★
見出し
道徳体系としての武士道 武士道の淵源 義または正義 勇気・敢為堅忍の精神 仁・惻隠の心 礼儀 真実および誠実 名誉 忠義
武士の教育および訓練 克己 切腹および敵討ち 刀・武士の魂 婦人の教育と地位 武士道の感化 武士道はなお生きられるか
武士道の将来
2004/04/14
『続ほっとする禅語70』 監:野田大燈 文:杉谷みどり 書:石飛博光
2004 二玄社 157P
何はともあれ読みましょう。
以下引用。
「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く」
を実践している素晴らしい本です。
推奨度
★★★★★
70
光陰如矢 真玉泥中異 魚行きて水濁る 春水満四澤 咄々々 雲門の餅 一以之貫
花は無心にして蝶を招く/蝶は無心にして花を尋ねる 竹影掃階塵不動 一夜落花雨/満城流水香 閑古錐 落花流水を送る
看々臘月盡 紅爐上一点雪 花枝自短長 不識 雲収山岳青 騎牛求牛 自灯明 随處作主 山僧活計茶三畝/漁夫生涯竹一竿
結果自然成 鏡分金殿燭 渓邊掃葉夕陽僧 勢、使い尽くすべからず 海神知貴不知価 古今無二路 竹篦は竹篦にあらず 夢中夢
達磨安心 花謝樹無影 下載清風 任運騰騰 悟無好悪 担雪填井 百雑砕 松直棘曲 風従花裏過来香 行到水窮處
別に是れ一壺の天 香厳上樹 鶏寒上樹鴨寒下水 関/南北東西活路通 いろは 挨拶 春来草自生 帰家穏坐 喫粥了 忘筌
画餅充飢 花鳥風月宿 洗心 単刀直入 裂古破今 吹毛常磨 一雨潤千山 知恩方解報恩 元気 歩歩是道場 千里同風 快哉
一樹春風有両般/南枝向暖北枝寒 且緩々 冷暖自知 独釣寒江雪 三級浪高魚化龍 家和万事成 桃花笑春風 遠観山里色
日面仏/月面仏