読書記録
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2004/05/05
『フッサール 心は世界にどうつながっているのか』 著:門脇俊介
2004 NHK出版 185P
シリーズ・哲学のエッセンス。
志向性に一番の重きを置き中心として解き進めていく入門書。
しかしただの入門書に終わらず、フッサール現象学を21世紀に甦らせるための問題提起をしているニクイ本。
元弟子の後期ハイデガーとヴィトゲンシュタインとの対比で進めていくのが面白いのではなかろうか。
推奨度
★★★★
見出し
心はどうつながっているのか 心と世界は「真理」を通してつながっている 心は特別な存在 クオリアと志向性 志向性の二つの特徴
志向性のシステムとしての私たち 信念─世界を表象する志向性 フッサールの三つの顔 「表象」とは何か? 表象主義の転換
フレーゲの意味論 表現の抽出 連想的な「動機づけ」の確立と排除 「心的なもの」の表現としての言語?
言語表現にはいくつかの位相がある タイプとしての意味 文中心主義には到達しなかったフッサール 文なのか信念なのか
「第5研究」における知覚の志向性 志向性理論の輪郭 ノエマの概念 ドクサの概念─真理へ向かう存在
「現象学的還元」とは何だったのか 連続と断絶─知覚の位置をめぐって 表象主義から表現主義へ
2004/05/04
『社会言語学』 著:ルイ=ジャン=カルヴェ 訳:萩尾生
2002 白水社文庫クセジュ 185P
言語哲学とはまた違う言語学。
(社会)言語学の概観と、言語学者としての著者の入門書的な著。
もうつべこべ言わず、この二文が濃縮エキスです。
「言語学の研究対象は、一つの言語ないし複数の言語であるにとどまらず、
言語の観点から見た社会共同体にまで及ぶ」
「言語学は、言語の観点に立った社会共同体の研究として定義されるほかない」
ただ、これはこれで言語哲学はどうなのだろうという疑問も。
推奨度
★★★★
見出し
言語の社会的概念形成へ向けての闘い ソシュールとメイエ─対立の起源 言語に関するマルクス主義の立場
バーンスタインと言語的ハンディキャップ ウイリアム・ブライト─統合の試み ラボフ─社会言語学は言語学である 言語接触 借用と干渉
近似言語 言語の混合、コードの転換、言語戦略 クレオール語の実験場 媒介言語 ダイグロシアと言語紛争 言語行動と態度 先入観
言語の安定と不安定 肯定的な態度と否定的な態度 過剰訂正 態度と言語変化 言語変数と社会変数
言語変数の例─音声学上の変数 「アメリカ黒人のヴァナキュラー言語」 言語市場 隠語─階層横断的、遍在的かつ通事的な変異の例
言語共同体あるいは社会共同体? 社会言語学か言語社会学か? ミクロなアプローチ マクロなアプローチ 社会的ネットワークと諸言語
言語政策 多言語状況の二とおりの官吏─「インヴィヴォ」な管理と「インヴィトロ」な管理 一つの言語に対する働きかけ
複数の言語に対する働きかけ
2004/05/03
『ワインの文化史』 著:ジャン=フランソワ=ゴーティエ 訳:八木尚子
1998 白水社文庫クセジュ 161P
章によっては欠伸が出るところもありましたが、概ね楽しめました。
ワインが無性に飲みたくなってくる本。
ワイン好きならワイン史を知っておくべし。
推奨度
★★★★
見出し
ワイン以前の「酒」 ワインとその文化 神話の世界の飲み物 文明の源で ワインの文化 オリュンポスからナパ・ヴァレーまで
ワインと宗教 神秘の飲み物 ディオニュソスからノアまで ワインの神々 キリスト教徒のワイン ワインと守護聖人 聖なる飲み物
葡萄栽培者の守護聖人 聖バッカス 聖ヴァンサン ワインと祝祭 「祝祭」の飲み物 ディオニュソスからボージョレ・ヌーヴォーまで
葡萄の収穫祭とワイン産地のカーニヴァル ワイン関連の友好団体とワインの祭り ワインとその消費 歴史を担う飲み物
アンフォラからガラス瓶へ 容器と中身 「食べるワイン」から「楽しむワイン」へ ワインとヨーロッパ ヨーロッパの飲み物
ワイン文化とビールの国 ヨーロッパの葡萄栽培園 ワインのヨーロッパ単一市場 ワイン以後の「酒」
2004/05/02
『フォイエルバッハ論』 著:エンゲルス 訳:秋間実・藤川覚
1978 大月書店 107P
フォイエルバッハ論?
と思わず首を傾げてしまいたくなるくらい、フォイエルバッハに対して殆ど言及されていません。
マルクス好きかエンゲルス大好きという人以外はオススメしません。
内容も少々偏狭的。
が、よもや現象学が発達するとはエンゲルスは思えなかったのでしょう。
19世紀人の意識という点では重要な見地を垣間見える本なのかもしれません。
哲学というより、歴史的に鑑みて、★三つ。
推奨度
★★★
2004/05/01
『孔子と古代オリエント』 著:磯部隆
2003 大学教育出版 181P
大風呂敷を広げすぎたというか、流石に無茶でした。
もしかするともしやするかもと思い読んでみましたが、これは要点読みすべき本です。
絡ませ具合が断然足りない。
いやそもそも絡ませられないような……。
ただ、著者の冒険心に感服し★三つ。
こういったムチャクチャな試みというのは大好きです。
推奨度
★★★
見出し
方法の問題 古代の官吏の身分倫理 孝 忠 信 愛 仁とマアト 官吏と国家の性格 家産制的官吏 家産制的福祉国家
家産制的労役国家 家産制的身分変動 儒教的オリエント的平和主義 問題および資料 曾子学派 子貢学派 子夏学派および結論
孔子における礼・天・道
2004/04/30
『壁のなかの言葉 ルソーの「対話」への序文』 著:ミシェル=フーコー 訳:松本勤
1990 哲学書房 95P
狂気の思想家フーコーによる、後期ルソーへのアプローチ。
言語学、シニフィアン-シニフィエのディレンマという視座からジャン=ジャックを解釈。
思わず唸ってしまいます、流石フーコー、狂気と作品の分離という観念は激しく同意です。
『黒猫』をプレイする際にも、これは念頭に置いておいて欲しいものです。
以下の文が兎にも角にも肝なので、引用。
「ある作品にその空間を、その形式上の構造を、言語の作品としてのその存在そのものを課する言語が、
作品の内部に宿る第二の言語に、精神錯乱との構造上の類似を与えることはあります。
区別しなければなりません。作品の言語は、それは作品それ自体の向こう側にあって、
作品がそちらに向かって行く地点、作品が言わんとすることです。が、
それはまた作品それ自体のこちら側にあって、そこから先で作品が語りだす出発点でもあるのです。
この言語に対して、正常であるとか病的であるとか、
狂気とか錯乱とかのカテゴリーを適用することはできません。というのも、こちらの方の言語は、根本的な飛越え、
純粋な違反行為なのですから」
推奨度
★★★★
2004/04/29
『解釈学の成立』 著:ディルタイ 訳:久野昭
1973 以文社 117P
現象学創始のフッサールと並んで、現代哲学の指針を示した解釈学創始のディルタイ。
彼の核となる部分がこの著書から読み取れます。
しかし、彼はあくまでもこれは前段階に過ぎないと強調します。
いわば、この著書で学ぶべき事は、この著書を了解すること。
跳び箱を跳ぶのに、踏み台を用意する、その用意という行為にあたるのが、まさにこれです。
哲学に限らず、解釈というものをする人間は、ディルタイに触れてみましょう。
推奨度
★★★★
見出し
解釈学の成立 他の人格およびその生の表示の了解
生の表示 了解の基本的形式 客観的精神と基本的了解 了解の高次の形式 自己移入・追構成・追体験
2004/04/28
『東洋におけるヒューマニズム』 吉川幸次郎
1977 講談社学術文庫 120P
大体が60年代のものということがあり、時代性を強く感じます。
読みたい本が絶版、西洋へのコンプレックス等々。
それでも当時にしてはかなりの識者です。
面白い章もあれば読むに足りない章もあります。
今年で生誕100年ですねー……。
私のような若僧が偉そうに、とか思われていることでしょう。
一般人はまだまだ東西の壁が厚いと思いますが、しかし、
ヘリゲル(彼の存在は知っていたのかどうか)、ヴォールファルト、プロセス研究など筆頭として、
現在の東西横断的学問のことを知ったら、著者は喜ぶことでしょう。
でもそう考えると改めて井筒俊彦は凄まじい。
推奨度
★★★★
大見出し
東洋におけるヒューマニズム 文明の三極 中国における人間 神様のいない文明といる文明 森と海 エロスと東西
東方における人と歴史の概念 虚構と事実 東と西の間
2004/04/27
『芸術と宗教─哲学的反省─』 著:G=ヴォールファルト 訳:有福孝岳
1997 晃洋書房 169P
著者の博覧強記ぶりに脱帽。
こんな凄まじい教授が今のドイチュにいたとは……。
以下引用。
「もっとも美しいものとはまた、もっとも恐るべきものであり、
或いは少なくとも『もっとも恐るべきものの端緒』である」
これこそ古代日本人の精神観念であり、この境涯に達したことは驚嘆に値すると思います。
いや本当日本でもっと有名になってもいいと思います、この方。
個人的にかなりリスペクト。
推奨度
★★★★★
大見出し
自然─老子と禅における自然と自由の概念─ ディオニュソス的アポロン─ニーチェの古代受容をめぐる考察─
哲学的沈黙─キルケゴール、ニーチェ、ハイデガー、およびウィトゲンシュタインにおける沈黙の概念への哲学的注釈─
像の沈黙─哲学的美学と造形美術との関係に関する注釈─
芸術と宗教─クザーヌス、ヘーゲル、ニーチェおよび現代に関する哲学的論考─
智─ヘラクレイトス断片B108との関連での、哲学という概念の元初的意味について─
2004/04/24
『古代日本人・心の宇宙』 著:中西進
2001 NHKライブラリー 218P
言語学や信仰学も含む総括的な民俗学の書。
しかも日本だけに留まらず、中国・ケルト・ギリシア・アフリカ・ネイティヴアメリカ・オーストラリア等々の例も頻出。
しかし比較民俗学というわけでもない、古代日本の思考回路の“をかし”がよく分かる本だと思います。
水の宇宙という思想はタレースにも見られることですし。
初めに言葉ありきで世凡て言語なりというのはヴィトゲンシュタインと通ずるところがある。
ピュタゴラスやカバラ的な数字観念ともまた違ったものがある。
実に面白い。
推奨度
★★★★★
大見出し
聖なる世界樹 神がみの天地 太陽の生と死 宇宙の水 動物たちの宇宙 形のことば 数の宇宙 時間 悲しみと祈り〜こころの宇宙(1)
逆〜こころの宇宙(2) いのちの宇宙 ことばの宇宙 水とことばの宇宙 永遠の宇宙