読書記録

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2004/06/10

『自殺へ向かう世界』 著:ポール=ヴィリリオ 訳:青山勝+多賀健太郎 序文:港千尋

2003 NTT出版 157P

速度学の創始者ヴィリリオに初チャレンジ。

いやとんでもなく博学で多種多様あちこちから色んな人がわんさかそれこそ縦横無尽に出てきます。

本著は速度を主軸にしている本というよりは、ヴィリリオ社会学とでも称したましょうか、そんな本です。

根底にあるのはあくまでも情報化という高速化なのは勿論ですが。

主軸としては、911とテロですね。

しかしアメリカ合衆国の基盤がグノーシス的信仰というのは一体何のことなのやら……。

以下引用。

「そうした情報操作のシステムにおいては、光学的に正しいことが政治的に正しいことの後を継ぐことになる」

推奨度

★★★★★

 

2004/06/10

『パワー・インフェルノ グローバル・パワーとテロリズム』

著:ジャン=ボードリヤール 訳:塚原史

2003 NTT出版 157P

911を受けての世界的に物議を醸したボードリヤール最近の代表作。

頑とした視座からものを見ているためとても安心して読み進められる。

可能性の薄さに言及しながらも陰謀説に触れることも忘れずに、

911に対する著書の決定版と言っても過ぎません。

現代アメリカ研究、またはツインタワーに関しての建築学という面から見ても、一読すべきものです。

一部で批判されているようなテロへの賛意・容認などというものは、甚だしき曲解です。

以下引用。

「テロリストの行為が「自由意志」にもとづいた完全な自律性のうちになしとげられることを、

私たちは想像できないのだ」

推奨度

★★★★★

大見出し

テロリズムの精神 パワー・インフェルノ ツインタワーのためのレクイエム テロリズムに関する仮設 グローバル・パワーの暴力

 

2004/06/09

『ドゥルーズ 解けない問いを生きる』 著:檜垣立哉

2002 NHK出版 126P

シリーズ・哲学のエッセンス。

著者も後書きで書いています、単純化し過ぎなのではと。

しかしこれくらい単純で門戸を大きく開いておかないと、ドゥルーズに入ってこないでしょう。

あくまでこのシリーズはエッセンスなので、全体を詳細に語る道理など皆無。

ここから興味を持った人が入っていけばよいのですよ。

オススメです。

以下引用。

「未来を生きる時間のあり方は、パッションとしての個体において語られなければならない」

推奨度

★★★★

見出し

はじめに─解けない問いがあらわになってくること 哲学とは何か ドゥルーズと哲学 いまという時代 人間とそれ以降

解けない問いに直面する 情報と生命 ドゥルーズの思考 ドゥルーズとこの時代 世界とは解けない問である─ドゥルーズの<哲学>素描

世界とは卵(ラン)である 生成する流れの論理 異質的な連続性 可能性ではない潜在性 世界はどのように捉えられるのか

流れをそのままにつかまえること─理念と内在 かたちなき生成 理念と内在の意味 定点をもたないこと─現象学的ではないドゥルーズ

現象学と定点の探求 無限の速度での俯瞰 視点なき世界と生成 視点のなさは不在を意味しない─デリダ的ではないドゥルーズ

デリダと不在の思考 解けない問いへの姿勢 ポジティヴィストとしてのドゥルーズ─フーコーとの共振 プルーストとカフカ 世界とは何か

問題としての世界 生命と問題 理念と問題 出来事のロジック ライプニッツと出来事 共立不可能的な世界 固体化と分化のプロセス

システムと個体 特異的なものである個体 時間とは何か 三つの時間のモデル 第三の時代と生成の亀裂 時間と情動

<私>ではない<個体>が生きること─結論に代えて ドゥルーズの倫理 個体と生 個体には固有性も中心もない

個体の論理は、共同性も他者も死も中心化しはしない 個体の倫理と生命 生命の政治的思考 個体とは偏ったものである

 

2004/06/08

『レヴィナス 何のために生きるのか』 著:小泉義之

 2003 NHK出版 109P

シリーズ・哲学のエッセンス。

読み始めてから著者に気付く。

失敗したかと思いながら読んでいくも、この著では毒は殆ど出ておらず、良かったです。

哲学というか倫理学。

しかしまあレヴィナスを取り扱う上ではやはり倫理学寄りになるのは必然でしょうか。

しかしこの問いへの答えは、私のようなものを持っている人はやはり少ないのでしょうか。

ここでは敢えて挙げませんが。

以下引用。

「何のために生きるのかという問いに対しては、来るべき他者のために生きて死ぬと答えることになる」

推奨度

★★★★

見出し

生きていてよいのか 自分のために生きる こんなもののために生まれてきたんじゃない No Music,No Life 幸せに生きること

ただ生きること 逃走の欲求、形而上学的欲望 他者のために生きる 倫理の始まり 他者の顔 他者の最初の語 基盤としての倫理

弱者の像 言葉の受肉 「私」の受肉 人類のために生きる 来るべき他者のために とはいえ、私は死ぬ

存在と無、生成と消滅、存在と死 肉体の愛 他者のための生殖 生命の断絶と連続 生殖の存在論へ

 

2004/06/06

『雑学者の夢』 著:多木浩二

2004 岩波書店 183P

シリーズ<グーテンベルクの森>。

著者の読書体験を語るシリーズです。

雑学者の著者の読んできたジャンルの中でも、言語に主軸を置いたもの。

特にベンヤミンに一番多くページが割かれています。

しかしフランス寄りの人は何故にヴィトゲンシュタインを読まないのだろうか不思議でならない。

以下引用。

「読書とは、いつなにかを生産するかもしれないにせよ、

必ずしも最初から照準を定めて行うものではないように思っている」

推奨度

★★★★★

見出し

記号と構造 記号論との出会い─ロラン=バルトを読む 写真のメッセージ 外示的意味と共示的意味 記号論への展望 移動の戦略

ソシュールの哲学 言語には差異しかない 言語は本来、社会的である 「構造」の概念を知る ゼロになりうる々 言語記号の恣意性

統合関係と連合関係 言語学者バンヴェニストの役割 言語の象徴能力 構造とは何か 記号から言説へ

人間は言葉を話すから主体である フロイトの対話的言語 言語学者による無意識の定義 初期ベンヤミンの言語論 事物を名づける

事物の言語と人間の言語 世界に浸透する言語 「翻訳者の使命」 記号と歴史

だれにでも埋もれている記憶─「1900年頃のベルリンの幼年時代」 生まれ故郷ベルリン 子供はシンボルの宝庫をつくる 時代遅れのもの

迷宮とその入口 記憶と未来 境界─ロッジア 動物園とティーアガルテン 書物を越えた書物─『パサージュ論』 案内人ヘッセル

図書館としての都市 「概要」=「パリ─19世紀の首都」の意味 細部への関心 「根源」と経済的な事実 「集団的夢」とは 商品の魔術

ボードレールの都市 ブランキと永劫回帰 『パサージュ論』の形式を考える 「考えられなかったこと」の重要さ─フーコーの歴史

「言説」に語らせる歴史 「まなざし、空間、死」 医学と人間科学 死の鏡に映る生命 もっとも具体的なるもの 世界としての散文

 

2004/06/03

『ロシアの文字の話 ことばをうつしとどめるもの』 著:小林潔

2004 東洋書店 63P

ユーラシア・ブックレット。

ロシアの文字について知りたかったら、研究者でも無い限りこれ一冊で十分。

薄くて読みやすいし、中世期の発生からコードまで話題の進展具合が凄まじくて面白い。

推奨度

★★★★★

大見出し

そもそもの始まり─グラゴール文字とキリル文字 キリル文字より前のスラヴの文字 キリル文字とその資料 キリル文字のさまざまな書体

活字印刷の始まり 18世紀の文字改革 ёの字の話 18世紀から20世紀へ─印刷書体の変遷のことなど 20世紀の改革

学者たちの文字談義 旧ソ連内外でのロシア文字の利用 ロシア文字とデザイン ロシア文字とコンピュータ・コード

現代ロシア語の音と字母

 

2004/06/03

『ヒストリカル・ガイド ロシア』 著:和田春樹

2003 山川出版社 201P

時代区分を首都ごとに分けて通観していく、ロシア史入門書。

概観書は幾つかありますが、多分これより薄く簡易で読みやすいものは無いでしょう。

勿論そのせいもあって内容に少々物足りなさも感じましたが、入門としては十二分かと。

人物伝にはドストエフスキーも欲しかった。

推奨度

★★★★

見出し

ロシアが世界に与えたもの 新しい文明を求めた試み ロシア史の新しい時期区分 ロシアと日本 ロシア─風土と文化 ロシアとはなにか

国土と気候 言語と宗教 暦について 祝祭日 キエフ・ルーシ 騎馬民族と農民 ルーシ建国と建国神話 女帝オリガ キリスト教の受容

『イーゴリ戦記』のなぞ 分領制の始まり モスクワ・ロシア モンゴル帝国の支配 モスクワの台頭 ツァーリズムの形成

イヴァン四世の即位 雷帝イヴァン ボリス・ゴドゥノフの統治 スムータ時代 ロマノフ朝の成立 ペテルブルク帝国 王冠をかぶる革命家

北方戦争と改革 女帝の時代 エカチェリーナ女帝と農奴たち 皇太子、父帝を殺す ナポレオン戦争 皇帝の死とデカブリスト反乱

ニコライ一世の政治 帝国と辺境 クリミア戦争と大改革 経済成長と批判者 アレクサンドル三世のロシア ウィッテとニコライ二世

世紀初めの混沌 日露戦争 血の日曜日から十月詔書へ 憲法と国会 ストルイピンの挫折と危機の再燃 世界戦争のなかのロシア

帝政の倒壊 十月革命 赤いモスクワ ドクトル・ジヴァゴの世界 モスクワに遷都したソヴィエト政府 世界革命の首都 ネップのもとで

アヴァンギャルド文化 農業集団化と五カ年計画 スターリンの帝国 独ソ戦 社会主義世界の中心 スターリン批判

スプートニクとキューバ危機 文明の成熟と閉塞 第三のモスクワ ゴルバチョフとペレストロイカ ソ連邦の終焉 エリツィンの変革

救世主堂とテロ

 

2004/06/02

『弔いの哲学』 著:小泉義之

1997 河出書房新社 137P

シリーズ道徳の系譜。

良くも悪くも著者は過小林秀雄的。

合う人は合う、合わない人はとことん合わないでしょう。

私は後者寄りでした。

デリダは分かっていない、アドルノには憤った、アンダーソンは最低の歴史家だ。

毒筆極まれり。

要所要所ではその通りだとも思うんですけどね、如何せん読者に喧嘩売るような姿勢のせいで、

そこすらもイメージが悪くなったりですよ。

推奨度

★★

大見出し

葬礼論 亡霊論 戒律論 贖罪論 忘却論

 

2004/06/01

『裏切りの哲学』 著:若森栄樹

1997 河出書房新社 111P

シリーズ道徳の系譜。

現在進行形で明確に具体的に裏切られ続けている現在の精神状態で読んだため、

どんどん思い出されて身体に悪かったです。

多分、現在進行形でなくとも色々と想起されること間違いなしなので、苛々したくない人にはお勧めできません。

推奨度

★★★★

大見出し

人はなぜ裏切るか 「裏切り」とは何か? 物と物との関係 真実の啓示 父と裏切り

「裏切り」の哲学 三島由紀夫の裏切り イエスと裏切り

 

2004/05/31

『パスワード 彼自身によるボードリヤール』 著:ジャン=ボードリヤール 訳:塚原史

2003 NTT出版 148P

面白い。

★5つにしようか迷った挙げ句結局4つに。

これといった理由は述べられないのですが、訳者曰く「再入門書」なので、いや読みやすいのですが、

うーん何と云ったらいいのやら、ヴォリューム不足と端的に評してしまうのも何だかですし。

いや5つでもいいです。

ボードリヤールに関しては全然明るくなくこれが初の彼の著作なのですが、印象は変わりました。

極めて社会学者的な哲学者だと思います、最近は各所でもそういう見方が広まっているようで。

しかしこの本を読んだ後、改めてヴィトゲンシュタインに感心したのは私だけでしょうか。

以下引用。

「概念に終わりがあるとしても、あえて言うなら、ある形態から別の形態へと移行する際に、

概念はみごとな死をとげるのである──それが思考の最良の方法だ」

推奨度

★★★★

大見出し

モノ 価値 象徴交換 誘惑 卑猥 透きとった悪 ヴァーチャル 偶然 カオス

終末 完全犯罪 運命 不可能な交換 二重性 思想 終末の言葉