読書記録

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2004/07/03

『プーシキンへの誘い』 著:藻利佳彦

2001 東洋書店 63P

ユーラシア・ブックレット。

プーシキンへの誘いだから当然かもしれませんが、一点の批判も見られないのが少々残念。

彼はかなり女性同業者に対して冷たいです。

しかしそんなことと文学的偉業とは何らの関係もありませんけどね。

推奨度

★★★★

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プーシキンとわたしたち 出版と詩人の自立 詩人への道、予言者への道 詩『詩人と群集』─対話時の機能

 

2004/07/02

『闇に光る19世紀ロシア文学─ゴーリキーの『母』誕生までの歩み』 著:ピョン・ジェス

1997 梓書店 48P

梓ブックレット。

男性文学者中心に語られています。

ドストエフスキーが大嫌いという時点で決定的に著者とは好みが合いませんが、

それでもドストエフスキーもゴーリキーも好きなので普通に読めました。

全体的に毒もなく、19世紀ロシア文学概観にはかなり適しているかと。

推奨度

★★★★

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貴族階級の知識人による、農奴制批判の文学 雑階級の知識人による、革命家が描かれる文学 社会主義思想の成長

 

2004/07/01

『不思議な恋文 女帝エカテリーナとポチョムキンの往復書簡』 著:小野理子

2001 東洋書店 63P

ユーラシア・ブックレット。

ロシア史の女傑エカチェリーナ2世も一人の人間だということが強く分かります。

勿論彼女だけでなく、こうした理性と情愛の狭間に揺れ動いた人は多いのでしょう。

ヘンリ8世のように血迷わなければ自由だとは思いますが。

実際ポチョムキンが有能だったということも幸いしたのでしょう。

有能じゃなければ彼女が恋慕したとも思えませんが、しかしこればかりは何とも云えない道ですからね。

推奨度

★★★★

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女帝の恋 わが胸に住まうは君のみ、されど… 世界史のなかのポチョムキン

 

2004/07/01

『ロンドン塔』 著:出口保夫

1993 中公新書 182P

血のロンドン塔のことが深く知れると同時に、イギリス史の通史も学べるどころか、

生活史にまで触れられる、何ともまぁお腹一杯になれる良著。

知らないこともかなり多く、語り口も面白く易しく、取り敢えず一読をオススメします。

ヨーロッパ初の動物園はここにできました。

推奨度

★★★★★

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漱石とロンドン塔 ビーフ・イーターたち ホワイト・タワーを見る 荘厳な聖ジョンズ・チャペル ヘンリー8世の鎧 タワー・グリーンの処刑場跡

聖ピーター教会 豪華絢爛の宝物館 城壁を歩く ビーチャム・タワーの烏たち 鍵おさめの儀式 「塔」の築城 ローマ時代の砦

タワー・ヒルの要塞 ロンドンを制する者は…… ウィリアム征服王とロンドン 征服王の初期の築城 ガンドルフと最初の木造の「塔」

「塔」の聖なる礼拝堂の方位と構造 「塔」の恐ろしい外観 ホワイト・タワーの構造 ルーフス兄弟と「塔」 スティーヴン王とキーツの詩

ヘンリー2世とトマス・ア・ベケット 華麗な「塔」の完成 信仰厚いヘンリー3世と「塔」の増築 華麗なウェイクフィールド・タワー

「塔」に造られた動物園 13世紀の「塔」の生活 宮廷の人々 騎士達の生活 ロンドン橋の完成と中世のロンドン

エドワード1世とビーチャム・タワー 聖ピーター教会の献堂 中世動乱期の「塔」 リチャード2世の華麗な戴冠式 人頭税に立ち上がる民衆

タイラーとジョン・ボール 堅牢なる城塞「塔」 マイル・エンドでのリチャード王とタイラーの死 リチャード2世、涙の譲位

ヘンリー4世とバース勲章の騎士達 王の身の回りを世話する人々 「塔」のエドワード5世とヨーク公 姿を消した王子達

リチャード3世とボズワースの戦い 流血の時代 チューダー時代の「塔」 ヘンリー8世の王宮と改革 エラスムスとヘンリー8世

ヘンリー8世と王妃たち ウルジーの失脚と大法官トマス・モア 「塔」でのフィッシャー司教 トマス・モアの処刑

シェイクスピア『サー・トマス・モア』 「塔」に入るアン・ブリン アン王妃の最期 キャサリン王妃の処刑 エドワード6世の戴冠式行列

エドワードの夭折 ジェーン・グレー「塔」に入る メアリー女王の即位 ノーサンバランド公の処刑 ジェーン・グレーの最期

エリザベス女王と「塔」 P・ヘンツナーの「塔」訪問 兵器庫と造幣局 エリザベス女王と廷臣たち エセックス伯への寵愛

悲運なエセックス伯の最期 サウサンプトン伯と「塔」 ローリー卿の「塔」の生活 ローリー卿『世界史』を書く ローリー卿の辞世の句

「塔」の刻字 「塔」に留まらなかったジェームズ1世 ガイ・フォークス事件 残忍な拷問台 ビーチャム・タワーの刻字 ベイリーの人生訓

ギフォードとアランデルの刻字 ソールト・タワーの刻字 クロムウェル時代の「塔」の荒廃 チャールズ2世による「塔」の復活

ピープスの宝探し 大火「塔」を襲う 世俗化した近代の「塔」 18世紀のロンドン 観光名所となる「塔」 宝物館の王冠 宝物館の盗難

ライオン・タワーとチャールズ・ラム 1841年の「塔」の大火 ウォータールー・バラックの完成 発掘された遺骸 ヘスの「塔」幽門

漱石と『倫敦塔』 ロンドンに来た漱石 「夢の織物」としての「塔」 チャペルを見落とした漱石 「塔」とシェイクスピア ドラローシュの絵

エインズワースと漱石

 

2004/06/29

『シュレーディンガーの思索と生涯 波動のパラダイムを求めて』 著:中村量空

1993 工作舎 197P

著者が前書きで書いているとおり、シュレーディンガーのことが更に好きになれました。

もっぱら物理学者として有名というか、猫として有名というか。

シュレーディンガーという名前の猫だと思っていて、

シュレーディンガーなどという人間は存在しないなんていう有り得ない思い込みをしている知人もいたものです。

大体、その猫だって不確定性批判の例として出したものなのに不確定性肯定の意でばかり用いられる。

斯く云う私はどちらかといえば非決定論派寄りなんですが。

それはさておき。

思想家としてのシュレーディンガーは余りにも知られていない。

その思想について深く触れているわけではありませんが、サワリの部分は見られます。

ショーペンハウエルの影響からインドのヴェーダンタ哲学、そして老子思想。

俄に知っているだけの人なら驚くことでしょう。

科学と思想は切っても切り離せないものというのは、

私も波動一元論並びに一般的一元論を唱えたシュレーディンガーと意を一にします。

推奨度

★★★★★

見出し

ウィーン世紀末とウィーン精神 エルヴィン少年の夢 知への挑戦 ボルツマン対マッハ 無極のシュレーディンガーと双極のボーア

オーストリア帝国の崩壊 軍役のとき 量子論への接近 父の死、母との別れ 探求の道 二元論を超えて 発見の予兆 波動のパラダイム

遍歴の果てに チューリヒからベルリンへ 亡命への旅 ダブリン高級研究所 祖国への帰還

 

2004/06/28

『武器を焼け ロシアの平和主義者たちの軌跡』 著:中村嘉和

2002 山川出版社historia 198P

ドゥホボールというロシアのキリスト教一派。

聖書批判・教会批判と大きくロシア正教とは懸け離れていますが、何よりも隣人愛と平和を唱えた人々。

しかしそんな中でも派閥ができて、

書物全般に対する排斥や反体制テロ行為に走るというのは如何ともしがたい愚行じゃないでしょうか。

一般的にかなり知られていない人々だと思いますし、コサック関連としてもトルストイ関連としても一読あれ。

推奨度

★★★★

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今、カナダで 神は心の中に カフカースへ 武器を焼け 迫害 立ち上がるトルストイ ロシアを離れて

 

2004/06/26

『バートランド・ラッセル小伝 自由なる世界人の教育』

著:ヘルベルト=ゴットシャルク 訳:鈴木祥蔵

1989 明石書房 224P

ラッセルというと、まず数学者というイメージが圧倒的。

次いで哲学者で、この時点で驚く人も多いかと思います。

そして教育学者や倫理学者とまでいうと、さらに多くの人が意外に思うでしょう。

それぞれに於いて重要な著作を遺しているにも拘わらず、なかなか取り扱われないラッセル。

今この荒れ続きの21に於いて読まれなければならないラッセル入門書でしょう。

付録の訳者小論二篇もオススメ。

以下訳者付論から引用。

「インヴィジブルと云われる差別の事実をこの目で見極めて欲しいのです。

そういう見極めをやって、皆さんがこれから大学で先行する学問の中に人権の思想を取り入れて、

差別に転化するかもしれない学問を、差別に転化しない、

或いは平和の役に立つ学問に改めていくためのパラダイムの変更、

或いはヒッポダイムの変更を是非やり遂げていくことが、今の大学の任務になりつつあると思います」

悲しいことに大半はこんなこと念頭から外れているのが現状ですね。

推奨度

★★★★★

見出し

家系、幼年時代、青年時代 社会主義と数学 政治と民衆 ケンブリッジとハーヴァードで 第一次世界戦争・投獄

ソヴェト・ロシアと中国への旅行 著書・講演 “学校”と道徳 戦時下の合衆国滞在 平和、栄誉 オーストラリアで過ごした日々

水素爆弾実験

付録 自由なる世界人の教育 個人の世界の統一 知性を研ぎすます教育 人権・平和と学問 私の戦争体験から

悲しみの山並みの裾野に立って 我が国の差別的状況 差別とは何か 真の国際化とは 大学の任務とは

 

2004/06/25

『同時代人丸山眞男を語る』 著:加藤周一/日高六郎

1998 世織書房 107P

福沢諭吉の過大評価的概念を多くの人に与えるといった弊害はあったものの、

間違いなく20世紀知識人の中の金字塔の一人である丸山眞男。

未だ亡くなって10年も経っていないのでそれ程過去の人というわけでもありませんが、

丸山眞男研究というのもこれから発展していくことでしょう。

その際に重要になってくるであろう、

加藤周一と日高六郎という同年代のこれまた高名な知識人達が語った丸山眞男。

特に最後の討論は一読すべし。

推奨度

★★★★

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日本語を使う 外の人にもわかる 言葉と音楽との関係 実感信仰批判と理論信仰批判 原点としての十五年戦争

日本軍国主義と普通の日本人 バッソ・オスティナートの理論 戦後史のなかの丸山眞男 精神の往復運動 「唯物史観と主体性」

<存在>と<価値>をめぐって <自己に対する義務> 丸山さんの<夜店> 「平和」論と「民主主義」論 <平和問題談話会>について

自立、批判、そして協力 「日本資本主義講座」と丸山さん 「ラディカルな民主主義」 ひとつの思い出 「復初の説」 <一身独立>

 

2004/06/24

『明治生まれの日本語』 著:飛田良文

2002 淡交社 223P

明治時代に定着した21語を選抜して個々の成り立ちを解説。

知っているものも多かったですが、ポチは流石に全然知りませんでした。

ポチッとな、とか、点、とかいう意味のポチではなく、犬の名前として真っ先に浮かぶあのポチです。

斑模様のポチポチしている、というところからだそうですが、正確には不明な様子。

ちなみに私は、犬と云えば銀牙、猫と云えばプルートゥが真っ先に浮かんでしまいます。

推奨度

★★★★

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文明開化が生んだ日本語

東京(転用語) 電報(借用語) 年賀状(新造語) 駅(転用語) 時間(新造語) 世紀(転用語)

新しい家族をつくった日本語

彼女(新造語) 印象(転用語) 恋愛(借用語) 新婚旅行(新造語) 家庭(転用語) 衛生(転用語) 冒険(借用語)

庶民の造語、知識人の造語

ちゃう(新造語) ぽち(新造語) より…(転用語) 個人(新造語) 権利(転用語) 常識(転用語) 科学(新造語) 哲学(新造語)

 

2004/06/24

『翻訳と日本文化』 編:芳賀徹

2000 山川出版社 194P

色々な人達の論文集。

なかなかに興味深い話が多く、日本語学の本としてはかなり優れています。

杉田玄白がオランダ語に不通だったというのは意外に盲点で驚き。

しかし何故こんなにも村上春樹氏の人気が海外であるのかは、矢張り分からない。

推奨度

★★★★

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翻訳が紡ぐ日本文化史 名詩名訳の文化史的系譜─異文化遭遇の現場 日本人の教養の伝統をめぐって─中国文学・文化受容史

受胎告知─キリシタンの翻訳と絵画 『解体新書』から『西洋事情』へ─言葉をつくり、国をつくった蘭学・英学期の翻訳

中国における「翻訳」と近代ヨーロッパ─言語に見る中日文化変容の軌跡 ドイツ近代思想と日本人 訳される日本文学

ただいま翻訳中─三つ目の英訳『源氏物語』 象のつくり方─村上春樹を訳して 冒険の時代─韓国の「村上春樹」現象

翻訳することと、翻訳されること 俳句は英訳できるのか─翻訳という営みの本当の意味を考えるために 翻訳の舞台裏

翻訳ビジネスの舞台裏 翻訳と外交 映画字幕の世界と翻訳者─一秒四文字の決断

日本という翻訳の宇宙─文化を映す翻訳・翻訳が映す文化