読書記録
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2004/08/23
『哲学の最前線 ハーバードより愛をこめて』 著:冨田恭彦
講談社現代新書 208P
現代哲学はフランスよりアメリカの方が好きだったりします。
日本では殆ど知られていない現代アメリカ哲学。
そもそも翻訳や紹介などがされていないのが大問題ですね。
このフランス寄りの現状は、サルトルのような知的怪物がアメリカには現れなかったからでしょう、単純に。
そんな現在、マイナーとなってしまっているアメリカ哲学の入門としてお勧めです。
サール、ドネラン、クリプキ、デイヴィドソン、ハンソン、クワイン、パトナム、ローティらが登場します。
対話形式となっていて分かり易いのもまた良し。
推奨度
★★★★★
見出し
アメリカ哲学の中の「解釈学」 根本的翻訳 好意の原理 誇張された差異 われわれの考えは基本的に正しい 先入見
観察の理論負荷正 共通の母語 整合性を求めて 指示理論をめぐって オー・ボン・パン 事実と信念 クワインの全体論 観察文
固有名 クラスター説 伝統的指示理論の全体像 何が問題なのか 指示の因果説 パトナム説 サールの反論 ローティ 連帯への道
久々の再会 世界の関わり 感覚与件論 自文化中心主義 アルキメデスの点 その都度の試み エマソン・ホール 鏡的人間観
科学・再考 相対主義? 客観性と連帯
2004/08/21
『天才は冬に生まれる』 著:中田力
光文社新書 182P
冬に生まれた天才科学者達を紹介。
コペルニクス、ケプラー、ガリレオ、ニュートン、アインシュタイン、ハイゼンベルク、ラマヌジャン、ノイマン、
そしてホーキング。
ラマヌジャンに関しては日本でもマイナーだし少々の知識しかありませんでしたが、真の化け物ですね。
変態的天才、そんじょそこらの天才なんかとは格の違う天才。
ちょっと引用してみましょうか。
前提状況として、少し紹介。
ラマヌジャンは、誰からも高等教育を受けず、数学書を読み漁らずに、
当時最高の数学的頭脳を持っていたとされるヒルベルト(あのヒルベルト空間の)を超える数学者でした。
30歳で結核に倒れ、死ぬ数ヶ月前のことです。
さて。
ある日、ハーディーはロンドンから乗ってきたタクシーのライセンスナンバーを話題にした。
「1729だったよ。つまらない数だろう? 何か、悪い前兆でないと良いのだが」
咄嗟に首を振ると、ラマヌジャンは答えた。
「いやいや、そんなことはないよ。ハーディー。とっても面白い数だよ。
二つの整数の三乗の和に分解出来、かつ、その方法が二通りある数の中で最小のものだ」
12の三乗+1の三乗=10の三乗+9の三乗=1729
後数年でも長生きしていたら、どうなっていたことでしょう。
現在も未だ残っている、ヒルベルトの提示した未解決問題はサッパリ無くなっていたような気がします。
推奨度
★★★★★
大見出し
聖しこの夜 天地無用 惑星の音楽 セリエA 孤独な帝王 時の変革者 決定の限界 本当の天才 ゲームの達人 最初を決めた男
渦理論
2004/08/20
『確定性の世界』 著:カール=R=ポパー 訳:田島裕
信山文庫 124P
ポパー最後の二つの講演。
ポパー好きならお勧めかもしれませんが、正直微妙なところ。
何が微妙かというと、何とも云えない微妙さ。
薄いので手に取ってみるのもいいでしょう。
推奨度
★★★
大見出し
確定性の世界─因果性についての二つの新見解 知識の進化論に向けて
2004/08/19
『湯川秀樹の世界 中間子論はなぜ生まれたか』 著:中野不二男
PHP新書 224P
ノンフィクション小説のように面白い。
というか、これはノンフィクション小説なのでしょうか。
そのジャンルを全然読んできていないので、判別は不能。
とにかく面白いのでジャンルなど不問ですよ。
図解もあって、物理理論も分かり易いと思います。
湯川前の現代物理学について知りたい人にもお勧めです。
推奨度
★★★★★
大見出し
戦乱と研究 1939年─ソルヴェー会議へ アインシュタインの書簡 ローマからベルリンへ 朝長振一郎との異国での再会
「独ソ通商協定が締結」 急ぎハンブルクへ向かう 「会議出席は不可能の模様」 アメリカ、“ウラン爆弾”製造に着手する
1942年─日本のF研究 すべてはとうに手遅れだった……
大発見の連鎖─19世紀末 1907年 喉に刺さった小骨─陰極線の正体 1894年─「レーナルトの小窓」
1895年─レントゲン、謎の“線”を発見 日本へも伝えられたX線発見のニュース 1896年─自然放射能「ベクレル線」の発見
1897年─トムソンによる電子の発見 マリー・キュリーの予測 1898年─「ポロニウム」と「ラジウム」の発見 ラザフォードのα線とβ線
ノーベル財団発足とレントゲンへのレーナルトの中傷
原子の構造に迫る─1903年〜1913年 相手にされなかった長岡理論 日本の自然科学黎明期 理解されない“相対論”
ベータ線は電子そのものではないか アルファ線の正体を探る 金の薄膜に跳ねかえされるアルファ粒子 “原子核”という概念のはじまり
1911年─ラザフォード、原子核の存在を確認 1911年─ウィルソンの霧箱 1911年─ミリカン、電子の電荷を測定する
1911年─日本では……
“自分の世界”への静かなる挑戦─1914年〜1932年 1914年─ラザフォード、「プロトン(陽子)」を発見 1919年─中学時代の秀樹
「小川君は、アインシュタインのようになるんだろうな」 1919年の「日食」の日 スーパースター出現と反ユダヤ主義による攻撃
アインシュタインの来日 内向的な少年の“世界”を奪った数学の試験 『量子論』との出会い わきたつ日本の物理学界
ど真ん中への“静かなる挑戦”
新しい粒子を求めて─1932年〜1934年 スミとの結婚 不眠症の日々 ふくらむ焦燥感 原子核の構造への関心
チャドウィック、「中性子」を発見 謎解き第二ラウンド─「核力とは何か」 自然界の四つの粒子 留学拒否 仁科芳雄の助言
苦楽園への引越し 「ニュートリノ」の存在を知らず 絶望から一転……
国際舞台での苦闘─1934年〜1939年 1934年9月─次男誕生 独り言の日々 陽子と中性子を結びつけるもの
ほんとうに“新しい粒子”なのか 菊地研究室のコロキウムでの発表 英文の論文「素粒子の相互作用についてI」 無反応
ヨーロッパとアメリカ中心の物理学 メソン・クラブ 戦争のにおい 核分裂によるエネルギー発生 原子爆弾誕生の可能性
ソルヴェー会議への招待状
日本人初のノーベル賞受賞─1939年〜1949年 1939年─ニューヨーク上陸 コロンビア大学での歓迎 アインシュタインとの初対面
カリフォルニア大学ローレンスのサイクロトロン研究 オッペンハイマーゼミでのレクチャー 中間子論への関心高まる 戦争下での研究
マンハッタン計画 1947年─『ネイチャー』誌に中間子確認の報告が掲載 1948年─プリンストンでの研究生活の開始
アインシュタインの涙の謝罪 1949年9月─コロンビア大学へ移る 「寝床の中で考えているときでした」 ノーベル賞授賞式
ボーアとの12年ぶりの再会
2004/08/18
『90分でわかるプラトン』 著:ポール=ストラザーン 訳:浅見昇吾
青山出版社 93P
in 90 minitues。
多分ストラザーンはプラトンが好きじゃないことでしょう。
確かに最初に物理学・化学を専攻した彼は、ソクラテス以前の哲学者達側でしょうし。
全く以て深く突っ込まれていませんが、それでも再初歩の入門としてお勧めです。
そこはストラザーン、やはり文章は冴えていて面白い。
多分これは60分以内で読めます。
推奨度
★★★★
2004/08/17
『ショーペンハウアー』 著:遠山義孝
清水書院 254P
CenturyBooks人と思想。
出版されたのは少し遅いですが、現在これ以上の日本語で読めるショーペンハウアー概説書は無いでしょう。
人と思想の構成上、第一部で生涯を、第二部で思想を。
カント、ニーチェ等にも軽く触れていて、思想史上の位置づけもよくできています。
倫理的な面に強く触れ、ショーペンハウアーをこれからの思想家として前面に押し出しています。
是非一読あれ。
推奨度
★★★★★
大見出し
学者への夢 哲学大系の感性 仕上げの時代 夕映の中で ショーペンハウアーと現代 表象と意志 苦悩と解脱 生と死について
共苦=同情の倫理学とインド哲学 実践哲学の優位─カントの影響 ニーチェへの影響と仏教の視点 意志の否定と概念
ショーペンハウアーを生かす道
2004/08/15
『科学哲学のすすめ』 著:高橋昌一郎
丸善株式会社 190P
これは是非とも読んで欲しいお勧めの一著。
といっても、この一著で科学に対するバイアスが崩れたりはしないでしょうけれど、
罅の一つくらいは入ることでしょう。
高校生にも読めるレヴェルで書いているとのことなので、文章は分かり易いし例もふんだんで大変宜しいです。
一つ反論したいところは、科学者の追い求めるもので「自然や生命や宇宙」として、「美」と対立させている点。
寧ろ高度の分野を扱う科学者は「美」を追い求めているものだと思いますが。
その「美」が一般人と科学者とで違ったものだとしても、そもそも「美」自体がクオリアなわけでして。
著者もそのへんは分かっていて敢えて書いた一文だと思うのですけれどね。
少々長いですが、ファイヤアーベント自身のまとめから引用。
「要するに、科学は、科学哲学が認めているよりも、ずっと神話に近いのである。科学は、
人類によって発展させられた数多くの思考形式の一つにすぎず、
それが必然的に最良の思考形式であるわけでもない。科学は、派手で、騒がしく、図々しいものだが、
特定の思想に加担すると決めた者や、その優位性や限界性を検討することもなく受け入れた者にとってのみ、
本質的に優れたものとなる。そして、特定の思想を受け入れるか拒否するかは、
個人の自由に委ねられるべき問題である。したがって、政治と宗教の分離は、
政治と科学の分離によって補完されなければならない。なぜなら、科学こそが、もっとも新しく、もっとも攻撃的で、
もっとも教条的な宗教制度だからである。このような分離は、
いまだかつて決して十分に実感されることがなかったが、この分離こそが、
本来の人間に与えられた人間性に到達するための唯一のチャンスなのかもしれない」
推奨度
★★★★★
大見出し
科学と 哲学 疑似科学 論理 方法 信念 社会 欺瞞 権威 文化 言語 文学 反科学
2004/08/14
『古代インドの科学思想』 著:佐藤任
東京書籍 270P
興味ある人以外にはお勧めはできませんが、興味ある人にはお勧め。
何やら当たり前のことを言っていますが、そういう本です。
面白そうな章を選んで掻い摘んで読むというのもアリです。
なかなかこの本のようなアプローチは現在に至ってもされていないので、稀少ですね。
推奨度
★★★★
見出し
古代インドの科学と哲学 ローカーヤタ・唯物論 再極端の異端派 地・水・火・風を根本原理とする 快楽主義者と見られる
ヴェーダへの批判 ローカーヤタ哲学の特徴 身体論 自然論 認識手段として知覚だけを認める 宇宙発生説 合理的哲学と科学
正統と異端 無神論者と有神論者 ヴェーダを認めない論理家 無神論として残ったローカーヤタ 生命科学─医学 始源科学としての医学
アタルヴァ・ヴェーダと事火師 医術の始まり 医書としての『アタルヴァ・ヴェーダ』 火の発見者 アーユルヴェーダ・生命科学
魔術・宗教的医術から合理的医術へ 生理学者としてのブッダ 医学の流伝と医学集会 医師のシンボル、馬 インド医学の物質観
自然界と人体の元素の一致 五元素と五感の対応 五つの質から二十の対応する質へ 二十種の副次的な作用
アーユルヴェーダの方法論 六つのカテゴリー(六句義) 生命と物質(食物)の関係 身体要素の均衡関係
医学における討論の基準と科学 四つの要因と四つの資質 誤謬をさける討論の場 原子論 原子論の起源と提唱者
ウッダーラカ父子の問答 ジャイナ教の原子論 分割することができない原子 結合して集合する原子 原子の四分類 物質の四つの質
集合の三つの形成 原子の結合 ニヤーヤ・ヴァーシェーシカ派の原子論 原子の二つの意味 原子の四つの質 原子の結合と運動
運動の原動力 仏教の原子論 アージーヴィカ派の原子論 サーンキヤ派の発生説と五元素論 インド原子論の意義 原子論と反原子論
原子論の発生と展開 世界の実在 動植物の分類 分類の始まり 植物の分類 形態的・生態的な分類 種族的な分類 動物の分類
発生様式による分類 四生説 感覚器官の数による分類 技術─冶金を中心として 知識と技能 金属文明の時代区分 ガラスの製造
製鉄技術 鉄の出現 ウーツ鋼 文献中の金属 金属製品と発火法 古代インドの採鉱と冶金術 数学・天文学・暦学 時代区分
インダス文明の時代 ヴェーダの時代 『シュルバスートラ』 実用としての数学 『ヴェーダーンガ・ジヨーティシャ』 ジャイナ教学派の貢献
ジャイナ教の宇宙構造論 ジャイナ教数学の実際 記数法と零記号の発見 紀元後のインド数学 アーリヤバタI ブラフマグプタ
ビールーニー アーリヤバタIの業績 アーリヤバタIの特徴 アーリヤバタIの評価
2004/08/13
『ウパニシャッド』 著:辻直四郎
講談社学術文庫 235P
昭和初期の著作のため、漢語だらけですが何故か読みやすい。
何故かというのはもう単純明快な理由。
文章が巧いから。
ですが矢張り語彙力無いと読み切れないかもしれません。
古典的名著の一つではあります。
付録に少々諸々のウパニシャッド翻訳がついています。
推奨度
★★★★
見出し
ウパニシャッドの語義 ヴェーダ文献中における位置 哲学思想の沿革 ウパニシャッドの分類 ウパニシャッドの主題 一元的原理の探求
梵我一如 梵・我の本質 根本原理と現象界との関係 睡眠の考察 輪廻と業 解脱 倫理観 哲学的価値 文化史的価値 文学的価値
2004/08/12
『異貌の科学者』 著:小山慶太
丸善ライブラリー 207P
科学者というと、大抵変人ですが、ここに挙がっている御仁達は変人の中の奇人です。
よくある不等号で変人度を順に表すなら、
キャヴェンディッシュ>>>>>ディラック>>>アルヴァレズ>ケルヴィン卿
でしょうか。
難解でもないし読み物としてとても面白いので、是非一読あれ。
推奨度
★★★★★
見出し
ヘンリー・キャヴェンディッシュ─1世紀後に発掘された先駆的な業績
ゴッホが描いた肖像画 埋もれていたメンデルの法則 沈黙の科学者 名門貴族の御曹司 大富豪になった科学者
王立協会とキャヴェンディッシュ キャヴェンディッシュの肖像画 発表された論文 遺された未発表論文の山
マクスウェルとキャヴェンディッシュ研究所 マクスウェルの発掘作業 歴史を先取りしたキャヴェンディッシュの電気学研究
クレオパトラの鼻─歴史に対する“if” 科学史の“お伽噺” マクスウェルの死
ケルヴィン卿[ウィリアム・トムソン]─古典物理学の殉教者
古典物理学を襲った“黒船” 孤塁を死守する老兵 グラスゴー大学の若き教授 華麗なる生涯 お雇い外国人とケルヴィン
進化論に立ちはだかる障壁 物理学の妖怪 地球の年齢 放射能の発見 物理学の“新星”ラザフォード 科学史の名場面
ケルヴィンの執念 二つの暗雲 光エーテルと地球の運動 熱放射のエネルギー 古典物理学の残照の中で
ポール・A・M・ディラック─孤高の理論物理学者
天才たちの群像 ケンブリッジの異才ディラック ディラックの三つの予言 アクロバティックな理論 宇宙線が生み出した陽電子
強い力のモノポール 対称性の美学 巨大な“怪物”粒子 宇宙の“化石” 物理法則と物理定数 宇宙と巨大数 重力定数の変化
無数の宇宙と我々の宇宙 未来への遺産
ルイス・W・アルヴァレズ─恐竜絶滅のミステリーに挑んだノーベル賞物理学者
ノーベル賞効果 門外漢が引き起こした騒動 物理学者アルヴァレズ ビールの泡と素粒子 ピラミッドの秘密の部屋
恐竜絶滅の謎─破局のミステリー 粘土層に含まれるイリジウム 恐竜を襲った巨大隕石 女神「ネメシス」 未知の天体を求めて
知的生物に進化した恐竜 進化の選択肢