読書記録
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2004/09/05
『わが世界観』
著:エルヴィン=シュレーディンガー 監修:橋本芳契 訳:中村量空/早川博信/橋本契
ちくま学芸文庫 267P
この著で、尊敬していた中村量空氏が故人だったということが判明。
激しく鬱になる。
ああ、何故このような若く才能溢れる御方が早々にして亡くなられてしまうのか……。
而も未だ無名で、もっと年齢を重ねれば必ずや著名な学者として大成されたであろうに。
本当に極めて残念なことです……。
鬱。
閑話休題。
シュレーディンガー哲学が読み取れる貴重な一冊。
若い頃に書かれたものと、晩年に書かれたものとで別れており、
若い頃の方が活力的で読み易く、晩年のは文がダラダラ続いて技巧的になって読みにくくはなっています。
まぁ成熟したのでしょう、良い方に進んだかどうかはまた別として(良文・悪文の二極化ですね)。
殆ど物理学的面には触れておらず、そのことをもっと語って欲しかったというのは確かにあります。
ですが、生物学的アプローチはかなりなされています。
分子生物学を拓いたのも彼ですし、後年は特に生物学や言語学に興味が強く持たれていたものと思われます。
何よりやはり故・中村量空氏の解説が素晴らしい。
是非ともご一読あれ。
鬱。
推奨度
★★★★★
見出し
シュレーディンガー自伝 わが世界観 道を求めて 形而上学一般について 好ましからざるバランス・シート 哲学的驚嘆
問題・自我─世界─死滅─多元性 ヴェーダーンタの世界像 自然科学的考察への通俗的な手引き 再び非多元性について
意識・有機的なもの・無機的なもの・記憶 意識化について 道徳律について 現実とはなにか
思惟と存在、あるいは精神と物質との二元論を放棄する理由 われわれは、言語上の了解によってのみ、共有する世界を知る
了解の不完全性について 不二の説・光と陰 驚きの二つの原因・代償の倫理
2004/09/03
『神さまはサイコロ遊びをしたか』 著:小山慶太
講談社学術文庫 240P
必死な程に文系読者を惹き付けようという試みが見られますが、見事に成功していて面白いです。
流石に鉄仮面は無理がある気がしないでもないですが。
こういう物理学史ではとかく無視されがちなライプニッツにまで言及していたのが好評価です。
ラプラスの悪魔、マクスウェルの悪魔は有名としても、
ライプニッツの悪魔はあまり知られていないのではないでしょうか。
例をふんだんに使っていて、特に、
古典物理から量子物理への移り変わりに関するおにぎりの例などは、巧いな、と感心させられました。
推奨度
★★★★★
見出し
コペルニクスと神秘思想 ケプラーと魔女 魔法使いの時代 科学者とエクソシスト ケプラーと月世界旅行 超新星の爆発 魔法使いの島
『宇宙の神秘』 楕円への飛躍 知の突然変異 ガリレオの望遠鏡 ケプラーの母 占星術の予言 ニュートンと鉄仮面 仮面の囚人
パリの宇宙とロンドンの宇宙 地球の形 帰ってきたハレー彗星 太陽系は安定か? 神との訣別 悪魔とナポレオン
力学が予知した海王星 「鉄仮面」の正体 幻想の消滅 ライプニッツとフランケンシュタイン レマン湖畔の怪談 デカルトの「機械人間」
錬金術師の燃焼理論 呼吸と燃焼 カエルの起死回生 ライプニッツの悪魔 マクスウェルと宇宙の死 伯爵になったスパイ 熱の正体は?
エネルギー保存則の確立 エントロピーの登場 宇宙の熱的死 マクスウェルの悪魔 アインシュタインとエーテルの亡霊 タイム・マシン
ニュートンの威光 科学アカデミーの懸賞問題 神の符丁 幽霊との格闘 未婚の父、アインシュタイン 時間の遅れと空間のゆがみ
裸の王様 アインシュタインと神のサイコロ遊び 失われたアインシュタイン最後の言葉 プランクの量子仮説 光の二重人格 原子の構造
ボーアの原子模型 ドゥ・ブローイの物質波 確率と不確定性の世界 真空に詰め込まれた電子 神の手中に隠されたもの
量子宇宙と時間の扉 膨張する宇宙 アインシュタインの宇宙方程式 ビッグバン宇宙論 力の統一と宇宙の起源
宇宙のゆらぎと時間の消滅 プランク時間の向こう側
2004/09/02
『確率論をめぐって』 著:高橋陽一郎+志賀浩二
日本評論社 160P
対談・20世紀数学の飛翔シリーズ。
激しく難しい対談。
専門用語だらけで、全くの門外漢である私には殆ど何が何やらサッパリ。
数学者はこういう視座なのか、ということを知るためには格好の本ですが、
内容の理解までは到底辿り着けません。
しかしここまでサッパリ意味不明というのは本当に久し振りのことで、新鮮で面白かったです。
文体は易しいので無駄に読みやすいです。
推奨度
★★★
見出し
ボルツマンからカオスまで プロバビリティとランダムネス 日常的な感覚と数学的な定式化 1930年代の確率論 ウィーナー
ウィーナー、コルモゴロフ、レヴィ フーリエ解析と確率論 実解析をめぐって 沼と森 数学への関心 ウィーナー空間上の微積分
無限次元空間上の測度 カオス カオスの安定性 フラクタル ランダムネスと安定分布 臨界現象 エルゴード理論
カタストロフィー、ファジィ、カオス 測度とマリアヴァン・カルキュラス ストリングとフューズ 数学的モデルとは 抽象と捨象 現象と数学
コンプレクシティ(複雑さ) エントロピー 新しい数学の可能性 未来へ向けて
2004/09/01
『ヴェーダからウパニシャッドへ』 著:針貝邦生
清水書院 250P
Century Books 人と思想。
アウトラインの更にアウトラインと言っているだけに、
ヴェーダ・ウパニシャッド入門として現在ある本の中では一番簡易で入り易いものでしょう。
引用が多く、内容も最低限のところですが、
それでも専門家を目指すのでなければ充分なレヴェルであるとも云えます。
続けて、同シリーズの『シャンカラ』を読むのがお勧め。
推奨度
★★★★
見出し
インダス文明 アーリア人について リグ・ヴェーダ リグ・ヴェーダの成立年代 リグ・ヴェーダの神格について リグ・ヴェーダの自然神讃歌
ヴァルナ神と天則(リタ) インドラ(帝釈天) その他の神格 リグ・ヴェーダの創造神話 リグ・ヴェーダの詩作行為および言葉について
リグ・ヴェーダに見られる新たな思潮─懐疑思想、無神論的思想そして帰一思想 リグ・ヴェーダに見られる人間の死後の運命
アタルヴァ・ヴェーダ インドの呪法について アタルヴァ・ヴェーダの哲学的詩編 サーマ・ヴェーダ ヤジュル・ヴェーダ ブラーフマナ(梵書)
梵書の時代 梵書の種類 梵書の内容 梵書の神観念 梵書の祭式理論 梵書の世界観 梵書の死生観─輪廻説の萌芽
梵書の創作神話 梵書の中の挿話 アーラヌヤカ(森林書) ウパニシャッド ウパニシャッドの種類
ウパニシャッドの成立時代とその社会的背景 ウパニシャッドの哲人 ウパニシャッドの成立年代と成立場所 古ウパニシャッド梗概
ウパニシャッドの中心思想 実在の諸様相の相互関係 世界は一なる実在から出現し、その中へ融合し去ること
<存在>と<意識>─表層から深層へ 通常は相互排除すると考えられる諸事物の逆説的一致 生と世界とを包み込む円環 祭式
2004/08/31
『インド思想史』 著:J=ゴンダ 訳:鎧淳
岩波文庫 301P
研究者向け。
一般読者も入門者も、インド思想の概説は現在ならもっと良いものが揃っています。
シャンカラへの言及もありませんし。
1948年のものと考えれば、当時西洋人が出したものとしては優れています。
しかしながら、日本語で読むならやはり辻直四郎先生をお薦めします。
推奨度
★★
大見出し
ヴェーダ─潜在力への信仰と祭式、神々との交流 ブラーフマナの思弁 最古のウパニシァッド─梵と我
古期ウパニシャッド─輪廻、業、ヨーガ ジァイナ教 仏陀 小乗部派の仏教 大乗─空観 第二期のウパニシァッドとマハーバーラタ
バガヴァッド・ギーター 古典サーンキヤ 古典ヨーガ 革新的思想と唯物論
2004/08/30
『生命とは何か─物理的にみた生細胞』
著:エルヴィン=シュレーディンガー 訳:岡小天/鎮目恭夫
岩波新書 180P
古典的名著。
二重螺旋構造発見のクリックとワトソンに多大な影響を与えた、現在の分子生物学を拓いたもの。
しかし門外漢には難易度高過ぎです、生物学と物理学ともに精通していないと厳しいです。
斯く云う私も勿論厳しかったです。
しかし今読んでも色褪せないのは、しっかりシュレーディンガー哲学の芯が通っているからでしょう。
推奨度
★★★
大見出し
この問題に対して古典物理学者はどう近づくか? 遺伝のしくみ 突然変異 量子力学によりはじめて明らかにされること
デルブリュックの模型の検討と吟味 秩序、無秩序、エントロピー 生命は物理学の法則に支配されているか?
決定論と意志の自由について
2004/08/29
『複雑系の意匠』 著:中村量空
中公新書 205P
難解というかややこしいのでそこまで推奨はできませんが、脱帽しました。
華厳経と複雑系を絡めるとは、凄まじい発想力。
シュレーディンガー研究の第一人者ということもあり、かなりリスペクトです。
“華厳縁起の方程式”の段だけで文化的価値は高いと思います。
推奨度
★★★★
見出し
科学の潮流 新アトランティス 聖域はどこに 単純思考から複雑思考へ ピュタゴラスの呪縛 聖なる数 宇宙のハーモニー
封じ込められたクロノス 天界の摂理 知のダイナミクス 二十世紀の科学革命 進化する生命 複雑性と多様性 非線形思考への転換
システムの自己組織化 考えるコンピュータ 複雑系探求の最前線 カオスの深淵 人工生命 ゆらぐ経済システム 縁起のパラダイム
華厳縁起の方程式 因と縁 インドラの鏡 関係化のウェーブレット ソフトなルール 関係性のサイエンス
2004/08/28
『物理学と神』 著:池内了
集英社新書 253P
タイトル通り、物理学に於ける神の概念との関係を述べた本。
とにかく広い分野を網羅しています、一般物理学から経済物理学まで。
特に力を入れているのが、著者の専門である宇宙物理学です。
最新の宇宙物理学がよく分かって宜しいです。
推奨度
★★★★
見出し
「なぜ」に答えられない科学 神の変遷史 神の名による神の追放 アリストテレス体系とキリスト教神学 地動説=地上からの神の追放
無限者と無限界者 無限宇宙の系譜 世界の多数性 神への挑戦─悪魔の反抗 科学者が創りし悪魔 ラプラスの悪魔
マクスウェルの悪魔 永久機関 無から有は生じない 第二種永久機関 錬金術 熱機関としての地球 灼熱の宇宙
神と悪魔の間─パラドックス パラドックスの効用 ゼノンのパラドックス アキレスと亀 動く矢は不動である 半分は一に等しい
エピメニデスのパラドックス オルバースのパラドックス─無限宇宙の夜空は明るい オルバースの不透明宇宙 シャーリエの階層的宇宙説
パラドックスの解決 神のサイコロ遊び 科学と技術の自立 原子への肉薄 原子の構造 量子論の登場 確率の世界 神の一撃
量子世界の神と悪魔 神は賭博師 「ゲーム」と「賭博」 「カオス」あるいは「複雑系」 カオスは混沌ならず フラクタルな神
神は退場を!─人間原理の宇宙論 宇宙は無限に存在する? 「無」とは何か? はじめに「無」ありき
宇宙は、なぜ、このようにあるのか? 人間原理 宇宙における人間生息数の時間変化 弱い人間原理 強引な人間原理
少しばかりの批判を 神は細部に宿りたもう 対称性とは 対称性の破れ 対称性の破れが世界を創る 対称性の破れとノーベル賞
神の見えざる手 企業の成長力学 株と為替の取引 神は老獪にして悪意を持たず 宇宙論の危機 宇宙は地球より若い?
「危機」の原因はどこにあったか? 宇宙は銀河より若い? 「光あれよ」─ビッグバン宇宙 定常宇宙論教 宇宙項教 やはり、既存仏教か
2004/08/27
『ぼくのドイツ文学講義』 著:池内紀
岩波新書 200P
内容については見出し参照。
内容についての講義というより、各作者への言及が強いと思われます。
まぁ、短いページ数でそんな多量になど扱えるはずもありませんので。
興味のある作品の項だけを読むのも良いでしょう。
推奨度
★★★★
大見出し
眺める人─リヒテンベルクのこと 「まあ、待て、お前は実に美しい」─『ファウスト』第二部 ノヴァーリスと数学
「ねがいがかなった」─もう一つのグリム童話 ハイネの謎 ユーディトの水浴─『緑のハインリヒ』異聞 制服の力─「ケペニック事件」
詩人リンゲルナッツ 家族の肖像─カフカ『変身』 歩く人─ベンヤミン、ロート、アメリー
2004/08/25
『ボーヴォワールは語る 『第二の性』その後』 著:アリス=シュヴァルツァー 訳:福井美津子
平凡社ライブラリー 187P
現代日本での価値はかなり薄れている、ボーヴォワールとの対談集。
あくまで西洋的で、ジェンダー問題以外はとんと無知なのではと疑えてしまう。
日本人が、研究者以外で敢えて読む必要性は感じられませんが、
確かに同感できる先進的な点も少しはあり、お勧めするには微妙なところです。
推奨度
★★★
大見出し
私はフェミニストである 私たちの関係について 『第二の性』三十年ののち 老いについて、性について─七十歳を迎えて
この社会に反対する一票を 女性であるだけでは十分でない