読書記録
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2004/11/03
『パブ 大英帝国の社交場』 著:小林章夫
講談社現代新書 198P
数年前に一度読んだ本、もう内容はかなり忘れておりました。
キャッチフレーズにある、大英帝国の400年を読む、というのはかなり誇張ですが、
読み物として普通に面白いので、オススメです。
推奨度
★★★★
大見出し
パブとイギリス人 パブの起源 パブで出す酒 パブの多彩な機能─中世と近世 激動する時代の中で─18世紀
巨大パブの誕生─19世紀以降
2004/11/02
『こどもたちに語るポストモダン』 著:J-F・リオタール 訳:管啓次郎
ちくま学芸文庫 204P
“こどもたち”という単語に騙されてはいけません。
ここで云う“こども”というのはリオタールの同僚達の子供のことであり、一般的な幼年の子供ではありません。
故に、別に内容が容易というわけでもありませんので、
確かにポストモダン入門というかリオタール入門としては使えますが、読んでいて面白いものでもないのであしからず。
個人的には最後の章だけ読めば事足りるような気がしないでも。
推奨度
★★★
大見出し
「ポストモダンとは何か?」という問いに対する答え 物語の欄外に記された言葉 世界史[普遍的物語]についての手紙
正当性についてのメモランダム さまざまな理性=理由の混乱についての速達 テロルならびに崇高への追伸
<ポスト>のさまざまな意味についてのノート 新しい舞台装置のための短信 抵抗についての注釈 哲学の流れを主題とする意見書
2004/10/31
『孤独になったアインシュタイン』 著:佐藤文隆
岩波書店 199P
シリーズ・グーテンベルクの森。
前半で現代物理学史の概観をしてから、後半で著者の半生や身の回りのことを語る、という内容。
正直なところ、グーテンベルクの森シリーズには合っていないような気がしないでもないですが、
そこのところは、まぁ、読んでいて面白いのでキニシナイ、ということで。
推奨度
★★★★
大見出し
アインシュタインのずれ 20世紀物理学の見方 量子力学とワイマール時代 マッハと量子力学 学問と生活世界 自学自習のすすめ
「思想としての科学」を夢見て 研究情報のメディア 体系と普遍─教科書の成立 江戸から受け継がれた教養 本との付き合い雑記帖
2004/10/30
『知の教科書 ソシュール』 著:加賀野井秀一
講談社選書メチエ 210P
内容自体は悪くないものの、どうにも文体というか著者の態度が非常に鼻について苛つかされます。
読者やその他のソシュール研究者にこうまでして突っかかって喧嘩売る必要性も感じられないのですが。
ここまで偉そうに語るのなら、せめて“すべからく”の用法くらい間違えないで欲しいものです。
そういうのが気にならない人には、ソシュール入門としても構造主義入門としてもお勧め。
推奨度
★★★★
見出し
言語の謎とソシュール ソシュールの生涯と思想 ソシュールの生い立ち ピクテとの出会い 14歳の処女作
自信と不安のはざまで─鼻音ソナントへの模索 ドイツへの留学─インド=ヨーロッパ比較言語学 ソシュールの驚き
『覚書』の完成─毀誉褒貶のただなかで アヴェの励ましと学位論文 パリ時代─ブレアル、メイエ、クルトネ、そしてレジオン・ドヌール勲章
ジュネーヴ大学就任講演 スイスでの生活─言語一般への問い 一般言語学研究とアナグラム研究 一般言語学講義
ソシュールのキーワード 『一般言語学講義』の問題点 キーワードを用いたソシュール理論の図式化 ランガージュ、ラング、パロール
共時と通時 体系と辞項 シーニュ、シニフィアン、シニフィエ 言語記号の恣意性 三次元で読むソシュール ソシュール以後の言語学
言語学を超えて─レヴィ=ストロースとメルロ=ポンティ 構造主義の展開─サルトル、フーコー、アルチュセール
精神分析・失語症・詩─ラカンとヤコブソン 記号論─バルトとその周辺
2004/10/29
『寝ながら学べる構造主義』 著:内田樹
文春新書 207P
門戸を叩くときはこの辺りからにすれば、構造主義嫌いにならずに済むかもしれません。
著者が専門家でないので、いささか暴力的過ぎる点もありますが、それがまた痛快だったり。
作者曰く横町のオジサンがだべっている感じで受け取ってくれとのことですから、
こちらも気構えずに読めばそう批判する程悪いところは無いでしょう。
やっぱりラカンは好きになれませんでしたが。
ついでに云うなら、アルチュセールを取り上げて欲しかったですね、フーコーかラカンを消して。
引用は、ここまで言い切ったか……、という部分。
あながち外れてもいないので笑えます。
「レヴィ=ストロースは要するに「みんな仲良くしようね」と言っており、
バルトは「ことばづかいで人は決まる」と言っており、
ラカンは「大人になれよ」と言っており、
フーコーは「私はバカが嫌いだ」と言っているのでした」
推奨度
★★★★★
見出し
先人はこうして「地ならし」した─構造主義前史 私たちは「偏見の時代」を生きている アメリカ人の眼、アフガン人の眼
マルクスの地動説的人間観 フロイトが見つけた「無意識の部屋」 ニーチェは「臆断の虜囚」を罵倒する
始祖登場─ソシュールと『一般言語学講義』 ことばは「ものの名前」ではない 「肩が凝る」のは日本人だけ!?
私たちは「他人のことば」を語っている 「四銃士」活躍す─フーコーと系譜学的思考 歴史は「いま・ここ・私」に向かってはいない
狂気を査定するのは誰? 身体も一個の社会制度である 王には二つの身体がある 国家は身体を操作する
人はなぜ性について語りたがるのか バルトと「零度の記号」 「客観的ことばづかい」が覇権を握る 読者の誕生と作者の死
純粋なことばという不可能な夢 レヴィ=ストロースと終わりなき贈与 実存主義に下した死亡宣告 サルトル=カミュ論争の意味
かくてサルトルは粉砕された 音韻論とはどういうものか すべての親族関係は2ビットで表せる 人間の本性は「贈与」にある
ラカンと分析的対話 幼児は鏡で「私」を手に入れる 記憶は「過去の真実」ではない 大人になるということ
コミュニケーションにこそ価値がある
2004/10/28
『20世紀の思想 マルクスからデリダへ』 著:加藤尚武
PHP新書 242P
限られたページ数なので、網羅は勿論されていませんが、
所謂現代哲学の大まかな枠組みを捉えるには便利で優れものな入門書。
多少、西田や丸山について穿った見方や曲解も見られますが、それでも結論部は一読の価値あり。
軽く引用。
「自然科学の言葉と、人文・社会科学の言葉とが翻訳不能になるところに、脳死問題や環境問題の困難さがある。
こうした異なる分野の間の橋渡しをする、「分かりやすさをつくり出す」ことが哲学の使命なのである」
まぁ、ソーカル程度に批判されるようではまだまだということですか。
推奨度
★★★★★
見出し
プロローグ─思想の20世紀 20世紀哲学の特徴 18世紀における理性の位置 19世紀に理性は自己主張する 理性と進歩への懐疑
理性の時代における国家 20世紀は夢が悪夢になった時代 進歩と革命への期待 J・S・ミル─もっとも現代的な理性人
功利主義の検討 少数者の利益の保護 他者危害の原則 ハリエット・テイラーとの恋愛 マルクス─永遠の批判者
『ドイツ・イデオロギー』 言語・意識・社会 上部構造と下部構造 現代思想はすべてマルクス主義 人間の意志と欲望を見つめて
ニーチェ─生の根源性 教師ショーペンハウアー 「神の死」とは何か 「神が死んだ」のちの人間 キリスト教の欺瞞
ディオニソス的な人生の肯定 フロイト─欲望の暗い森 正常と異常のあいだ 「嫌悪」の役割 幼児性欲の意味 伏流水型の構造
内面性の厳密な記述 フッサール─意識内在主義の源流 事象そのものへ 心理主義の批判 判断停止と現象学的還元
「生活世界」の探求 ハイデガー─西欧の精神史的運命 『存在と時間』の哲学 実存する人間 「死」を先取りする哲学
森のなかでの思索 サルトル─決断と連帯の狭間 サルトルの実存と存在 自由であるべく呪われた存在 自我にとっての他人
晩年のサルトル レヴィナス─他者との関わりの仕方なさを見つめる 自己の存在のなかにいる他者 無限によって人間の尊厳を語る
他人を倫理で受け止める 死に対する勝利 解釈学と構造主義 デリダ─読むことから見た人間 ルソーの思想形成についての考察
身代わりの経験・本当の経験 記号の支配 差延と脱構築 嘘つきデリダ レヴィ=ストロース─構造としての文化の追求
近親相姦を禁止とするルール 人類は無数の歴史をもつ 文化はつかの間の開花 フーコー─理性と狂気の相関
理性は狂気を必要とする 正常と異常を区別する者 同性愛者の苦悩と闘い 科学とは何か ラッセル─論理と経験の間
数学定理はトートロジー 直接証拠と伝聞証拠 論理的原子論 イギリス貴族の面目 ウィトゲンシュタイン─哲学的虚妄との戦い
思想とは有意義な命題である トートロジーの証明 後期ウィトゲンシュタインへ 哲学の役割とは何か
クーン─パラダイムが起こす「革命」 変貌する科学史 新しい見方が起こす革命 考え方の枠組み=パラダイム パラダイム間の相剋
社会性と正義 ロールズ─正義の声と公民権 ロールズの『正義論』とは何か 「正義」と「無知のベール」 アファーマティブ・アクション
ハバーマス─最大の知的情報通 合理的批判の可能性 コミュニケーション的合理性 機会の対称的配分 討論倫理学の基本原則
日本の思想 西田幾多郎─西洋と対峙する東洋の精神 「純粋経験」とは何か 井上圓了の『哲学一夕話』
井上哲次郎の「現象即実在論」 西田哲学における倫理 真善美と宗教 丸山眞男─近代主義日本文化への批判
裁かれるべきは日本社会 『日本政治思想史研究』のメッセージ 日本社会の後進性批判 丸山の西欧観の歪み
エピローグ─クワイン、ガダマー、そして21世紀への展望 普遍的真理の追究 マスター・キーの不在 論理実証主義・現象学・経験主義
未体験ゾーンへの突入 脳死という難問 生命倫理学の成立と伝統の回復 技術の変質 二つの文化をつなぐ使命 新しい哲学の課題
2004/10/26
『未完の物語─シェリングの神話論をめぐって』 著:山口和子
晃洋書房 226P
シェリングというのはあの時代にあってかなり正道から外れていた人で、
今まで正直よく分かっていませんでしたが、本書を読んで更に分からなくなりました。
シェリング関係の本を読むのは実は初めてで、これが良著なのかどうかは微妙なところです。
文体はやはりドイツ哲学によくあるタイプのガチガチな感じで読んでいて楽しいものでもありません。
それこそ本当に、わざわざ足を踏み入れる必要は感じられませんが、
シェリングは勿論、スピノザやニーチェについて研究したいという人なら読んでもよいのでは、と。
推奨度
★★★
見出し
初期シェリング神話論 神話論とフランス革命 神話的世界への憧憬 神話的哲学と詩 自然哲学と神話 近代批判
美的観念論における神話 美的観念論への道 『知識学の解明』における知的直観と美学 美と真理 新しい神話 物語としての哲学
神のうちなる自然 神のうちなる過去 存在の力 歴史としての学 後期シェリング神話論 積極哲学と詩 神のポテンツと神話
神話と芸術 結論─未完の物語
2004/10/23
『イタリア・ルネサンス』 著:澤井繁男
講談社現代新書 216P
いつもの筆舌に尽くすような軽快な文体ではなく、少々真面目で一般向けな意識をしている雰囲気が。
その分面白味は減っているが、堅実さでその点はカヴァーです。
何だかんだで読む手は止まらず知的好奇心も満たされます。
ルネサンスというと思想・芸術関係の本が多いと思われますが、
都市やファッションについても触れられていて、非常に興味深いです。
推奨度
★★★★
見出し
「再生」の源を求めて なぜイタリアにルネサンスが興ったか 暗黒から再生へ ギベルティとヴァザーリ ペトラルカの登場 プラトンの影響
ペトラルカの「ローマ」 乱世のイタリア 都市の繁栄と市民生活の変化 <鉄の時間>と<生ける時間> 黒死病の来襲
ルネサンス文化の源泉 文化と戦争 フェデリーコ2世とシチリアの文化 南仏プロヴァンスの詩と愛 北イタリアを揺るがす新思想
三つの戦争とフィレンツェ 散文学の誕生 知的躍動に満ちた時代 新しい教育と生き方の誕生 新しい教育 二人の教育者 市民的教育
宮廷人 モンテーニュの批判 女子教育と魔女 女子教育 魔女 キリスト教と豊穣信仰の闘い 人文主義 新しい職業
キリスト教的人文主義 宗教的融和 実存的人間観 調和と無限 「いのち」と自然を記述する ルネサンスと宗教問題
ローマ教会の腐敗、人文主義者の批判 ロレンツォ・ヴァッラの危機感 サヴォナローラの刑死 カトリック内部の改革運動と反動攻勢
ルネサンスと宗教改革 生命主義の時代 宗教から生命へ 生命主義の顕われ 自然を読み記述する 自然魔術の記述方法
魔術から科学へ 古典の発見と広がり 生きるための「知」 汎知主義 「知」を表す言葉 百科全書的知 家訓 印刷術の発達
古典文献への熱情 印刷術と出版人 ギリシア人の役割 都市と芸術を創る 都市国家イタリア 現実と理想 マキャヴェッリの「夢」と現実
場としての都市 理想都市 各都市の繁栄 ルネサンス人の国家観 文学と美の繚乱 文学と模倣 ダンテと『神曲』 能動的模倣
現実との乖離 ルネサンスの美神と愛 「美」「神」「愛」の関係 職人と興亡 ファッション
2004/10/22
『ヨーロッパ史をいかに学ぶか』 著:阿部謹也
河合ブックレット 99P
前日に読んだ本との落差が激しいせいか、とても気持ち良く面白く読めました。
河合塾の予備校生を相手に講演したものを収録した本。
新鮮味溢れる質疑応答もあって、実に面白い。
初心忘るべからず、ですね。
今更こんな子供向けの、と侮るのは危険なバイアスです。
推奨度
★★★★★
見出し
ヨーロッパ史をいかに学ぶか ヨーロッパが浸透した時代に ヨーロッパ史のわからなさ、面白さ “男女の愛情”という異文化
ヨーロッパ観察の類型を脱する 自己の内庭と境界 個と世界の緊張の中で 人格の集合体としての家族
個人の尊厳─ヨーロッパ風人格の軸 エロイーズの挑戦─神を通過した個人の成立 「世間を騒がせること」の「罪」 想像力と歴史理解
日本文化の二重構造 江戸以前を生きた個人 文化を成り立たせる二つの根源関係 理性の文明と感性の文化と
異文化間の境界線上で 近代病としての普遍主義 異文化への回路─自分の足許をみつめる 異文化の水面下へ
古代の記憶は生きているか 贈与互酬関係の教会への吸収 「海の魚は川にいるべからず」 生活体験を共有すること
芸術の実験精神と映画 対等な人間関係へ─東洋史を学ぶ意味 ドイツの後進性、日本の後進性 共通の岩盤を掘りあてる
事件の背後の歴史を読む
2004/10/21
『教養としての歴史学』 著:堀越孝一
講談社現代新書 206P
何で著者に喧嘩売られなきゃならないのだろう。
完全に文法の崩れた口語体で講義をそのまま収録したような形。
内容に特に深みも無く、要領を得ず、全くお勧めできないという、読書記録つけ始めて以来初の評価一つ。
それでも投げずに最後まで読み通すことだけはできるので、まだ最低とは云えないのでしょうが。
推奨度
★
大見出し
調査者ヘロドトス アリストテレスの史学 予表された歴史 単純な歴史家と卓越した歴史家 博学の大家たち ヴィーコの遠近法
ギボン、ヨーロッパ史の構想 ランケ、カエサルの副官 ブルクハルト、バーゼルの文化史家