読書記録
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2004/11/15
『言葉・文化・無意識』 著:丸山圭三郎
1988 河合ブックレット 99P
日本が世界に誇るソシュール研究者にして言語哲学者たる丸山圭三郎。
その氏が、ソシュール研究者から言語哲学者に変遷しつつある時期、
つまり中期にあたる時期の入門書として最適なのが本ブックレットです。
講演形式なので文体はそれ程硬くなく、中期入門として以外にも勿論オススメです。
ソシュールをどのようにして乗り越えようとしていくのか、
明確なヴィジョンはまだ不明瞭ですが、彼の晩年の思索がよく窺えます。
私としては、精神分析を氏ほど高く評価しても信頼してもいないので、反発したい点は多々ありますが……。
推奨度
★★★★
見出し
ソシュール「謎の沈黙」 ある発見─詩法としてのアナグラム “意識的主体”という罠 言葉=意識の重層性 西欧形而上学の光の外で
表層の言葉、深層の言葉 パロール主義を越えて ラング─物象化された言葉 「自覚せざる精神分析学者」 生の円環運動
形而上学批判の方法─マルクスとソシュール カオス=コスモス生成の場 「言語行為論」の問題点 ランガージュと深層意識
変態ルビとキッチュ文化 コードなき差異 言葉と音楽 現前(性)の形而上学 レクチュール(読み)の快楽
<文化>のゲネシスを解き明かす場
2004/11/14
『言語学とは何か』 著:田中克彦
1993 岩波新書 227P
言語学の碩学、田中克彦の言語学入門書。
全体としてのまとまりに欠けていたり、部分部分の見解に納得しがたい点があったりするものの、
ソシュールを取り扱っている著ではたいていそうしているような絶賛ぶりも無く、
きっちり批判するところは批判していて、言語哲学のみならず社会言語学までしっかり包含している。
当に言語学入門の決定書。
推奨度
★★★★
見出し
ソシュールの言語学 ソシュールの『講義』 ソシュールがたたかわねばならなかったもの 比較文法を称賛すると同時にそれを克服する
青年文法学派 アメリカの言語学 心理主義の克服 オトからの出発 心理主義とのたたかい 言語の相対性と普遍性
記述言語学とドイツ意味論学派 チョムスキーによる大転換 社会言語学 社会言語学の必然性 言語とは変化するものである
クレオール学とソビエトの言語学 言語の純粋、系譜主義とたたかう ソビエト言語学
2004/11/14
『ロシア語のかたち』 著:黒田龍之介
2002 白水社 111P
流石語学の白水社、良い企画をしてくれるものです。
覚えにくいことこの上なしなキリル文字が、一度通読するだけでかなり頭に入ってきます。
しかも通読に時間はそれ程かかりません。
一日一回、一週間毎日毎日通読していれば、確実に文字を覚えられることでしょう。
私も本格的にきっちり覚えるとなったら、本書を利用させて頂きます。
ただ、CDは要らないから安くして欲しいです。
推奨度
★★★★★
大見出し
名前を書こう! 文字に慣れよう! 手書きの文字と数字を読もう! 読んでみよう推理してみよう!
2004/11/12
『ヨーロッパ分断1943 大国の思惑、小国の構想』 著:広瀬佳一
1994 中公新書 204P
現代史にさっぱり明るくない私には、知らないこと尽くしで興味深く二次大戦の側面を垣間見られました。
シコルスキがここまでのやり手だったとは露とも知らず、
いやはや彼が謀殺されていなかったら東西冷戦構造がかなり変わっていたことでしょう。
少し残念だったところは、エピローグで一気にソ連崩壊のところまで話が飛んだり、
そもそも結構な基礎知識を要求してくるところがあるので、全くの初学者にはオススメしにくいといった点でしょうか。
推奨度
★★★★
見出し
中欧を求めて 戦後ヨーロッパ秩序の模索─緩衝国家群の政治力学 双頭の鷲の下で 独立 戦間期のポーランドとチェコスロヴァキア
シコルスキとベネシュ邂逅 ベネシュの構想 大国主導の秩序とオルタナティブとしての中欧 ヒトラーとスターリンの間で
戦間期のソ連外交と「被包囲意識」 独ソ秘密議定書 ヒトラーの「生存権」と“ミッテル・オイローパ” スターリンの思惑
独ソ戦勃発とスターリン 対立の予兆 交渉の制度化 「連邦」と「連合」 戦後構想の提出 思惑の違い
ポーランド=チェコスロヴァキア協定 ユーゴスラヴィア=ギリシャ連合構想 チャーチルとスターリンの間で 英ソの冷たい同盟
モスクワの英ソ交渉 イギリス外交における中欧 イーデンの対ソ宥和 チャーチルの決断 モロトフ訪英と英ソ条約 自制令
ソ連の国家連合反対 分裂と依存 ポーランドとチェコスロヴァキアの領土問題 対立の先鋭化 中欧の大連合へ シコルスキの死
ベネシュの対ソ認識 ソ連との条約締結へ ローズヴェルトとスターリンの間で ローズヴェルトの対外認識 外交スタイル 対ソ宥和
国家連合構想をめぐる米ソの思惑 モスクワ1943─中欧国家連合構想の破綻 1943年 イギリスの中欧に関する戦後構想
モスクワ外相会談 モスクワ会談の帰結 ヨーロッパの分断と「東欧」 テヘラン首脳会談 ロンドン亡命政府の地盤沈下 ベネシュの訪ソ
軍事的責任圏の悲劇 「中欧」から「東欧」へ 「東欧」から「中欧」へ 中欧への回帰 ヴィシェグラード協力 中欧イニシアティブ
中欧の今日的意義
2004/11/11
『はじめて読むフーコー』 著:中山元
2004 洋泉社新書 222P
フーコー入門の決定版、素晴らしい。
フーコーは、哲学は勿論、歴史学、心理学、法学、性差学などを志している人も避けて通れない道だと思うのですよ。
まずは第一歩ここから、
構造主義入門などで短く書かれているフーコーに関することよりも、数倍分かり易いことでしょう。
最後に、フーコーの著作をざっと概観しているあたりも懇切丁寧な作り。
読後、フーコーのことを「ナイス変態スキンヘッド!」と喝采したくなること間違いなし。
推奨度
★★★★★
見出し
ミシェル・フーコーの生涯 懊悩する青年 息苦しい町に生まれて ヘーゲルの哲学にふれる 同性愛に悩む アルチュセールとの出会い
精神医学との決別 ビンスワンガーと現存在分析 スウェーデン、ウプサラにて 『狂気の歴史』『言葉と物』の反響
『狂気の歴史』と取りくむ ポーランドの罠 『狂気の歴史』への賛辞と批判 『言葉と物』の衝撃 1968年の五月革命
コレージュ・ド・フランス教授に就任 闘う知識人の旗手として 監獄情報グループ(GIP)を組織 イラン革命のルポルタージュ
二度の日本訪問 アメリカでの体験 友愛について語る 死の床 ミシェル・フーコーの思想 狂気─理性の他者 狂気の歴史
狂気の位置づけ─ルネサンスと近代の断絶 大いなる閉じ込め 街路の照明と市民の新しい感性 狂気の「不道徳性」
鎖からの解放と新しい隷属 心理学の逆説的な位置 精神医学の権力 「社会を守る」排除のモデルと管理のモデル
真理─その条件と系譜 逆説的な真理 真理の条件 中世のエピステーメー 古典主義時代のエピステーメー 近代のエピステーメー
真理と権力の密接な関係 真理の系譜学 司法の権力 パレーシア ソクラテスのパレーシア ディオゲネスのパレーシア
真理と主体の関係 権力─生の権力 ギリシアのポリスにおける権力 司牧者権力 真理と権力 国家と権力
死なせる権力から生かす権力へ 身体の政治解剖学 ミクロな権力 主体─その桎梏 主体の逆説
ギリシアにおける魂(プシュケー)の概念 自己への配慮 ストア派の自己への配慮 実存の美学 キリスト教の自己の技術
自己の放棄と他者への服従 他者への従属 性と告白
2004/11/09
『哲学の謎』 著:野矢茂樹
1996 講談社現代新書 204P
身近な謎について現代哲学を道具にして思考していく対話編。
とても面白い、小説気分で是非一読あれ。
私がやろうとしていたことをそのままやられていた、という気がして悔しいと思わないでもないですが。
思想家の名前も出てこないので、カタカナアレルギーの人にもお勧め。
問題としてはラッセルやヴィトゲンシュタイン、”構造主義”が主になっている印象。
色々あって極めてオススメの一著。
推奨度
★★★★★
見出し
意識・実在・他者 生物が絶滅しても夕焼けは赤いか 死と他者 実在の世界はどこにあるのか 実在が視野から消える
他人の意識も視野から消える 死んでも世界は終わらないか 他人の意識 純粋に内面的な意識 夢中の死 記憶と過去
五分前世界創造仮説 何が「正しい」記憶なのか 神の視点と人間の視点 記憶される過去・語り出される過去 時の流れ 時間の中断
時間の流れの速さ 時の川岸 永遠の「いま」 複視点的世界了解 意味変貌・自己認識・時の流れ 私的体験 逆転スペクトル
君が「赤」と呼ぶ色は何色なのか 知覚世界の自閉 意味の自閉 私的言語 経験と知 経験の一般化 斉一性の原理 知の本能と習慣
何を一般化してもよいのか 室内鳥類学 経験の意味 規範の生成 正常と異常 狂気・病気 「異常」ということ 孤独な規律 見本・手本
規範の学習 意味の在りか 意味への問い 個と一般 一般観念 意味理解 言語の構造 語と文 ものの名前 行為と意志
猫の顔洗いは行為なのか 意志という動力 未知の惑星にて アニミズム 意志から意味へ 意図の探求 馬と乗り手 自由
人間もまた物の塊にすぎない 自然という観点・実践という観点 随意筋と不随意筋 「しないでもいられた」 決定された世界
非決定の世界 虚構の介入
2004/11/08
『ライプニッツ』 著:ルネ・ブーヴレス 訳:橋本由美子
1996 白水社文庫クセジュ 130P
相変わらず文庫クセジュは文字が小さくて細かくて目が疲れます、歳だからですか。
ライプニッツ入門の著ですが、「コレ入門?」っていう難解さ。
まぁライプニッツなので仕方ないと言われてしまえばそれまでなのですが。
ブーヴレスはフランス人なので、セールやドゥルーズを多く引っ張ってきていますね。
ホワイトヘッドなんかは訳者が少しだけ注をつけているだけです。
個人的には、ライプニッツの哲学的面以外の部分に焦点を当てた論が読みたいですね、歴史学、とか。
ライプニッツ関連書自体少ないのに、贅沢な悩みですか、というか私が研究しろ、という感じですか。
しかしライプニッツはドイツ語でなくラテン語で書き残しているという罠。
推奨度
★★★
見出し
ライプニッツの生涯と知的発展 人生と著作 知的発展─機械論と普遍的生気論 数学、論理学、科学、認識論 体系
ライプニッツの諸原理、実体概念、モナドの王国 無限、二つの迷宮、道徳の哲学 神
2004/11/07
『もっと光を』 著:小塩節
1999 北水 262P
前半にゲーテの紹介と軽いゲーテ論、後半はゲーテ思想を踏まえたエッセイ集という形になっています。
比較言語に対照言語、他文化との共存、外国語の習得などについての文が軽快に書かれています。
知見に納得できない点もあるにはありますが、文字も大きく読みやすいので是非オススメの一冊です。
それにしてもやっぱり星一は偉大ですね。
未だに、物理学史や科学史の著作を見てもあまりお目に掛からないのが残念です。
推奨度
★★★★★
大見出し
もっと光を 最後の日 W.の一文字 旅人の夜の歌 ゲーテの山歩き 夕暮れから夜へ「夜の歌」 人間 82歳の誕生日前日に 英語訳
ゲーテと音楽家たち 若きウェルテルの悩み ファウスト 主人公ファウスト博士 強烈な自我への讃歌 『ファウスト』のテーマ
「死」について ゲーテの本音 死への諦めと憤り 言葉の事典 原風景 日本語を学ぶ 対等に討論する 言葉を大切にする
ドイツ語を学ぶ 日本語とドイツ語 湯とホットウォーター 文化が背景の言葉 同士の大切さ 自己表現をいかにするか 「世界」という言葉
コミュニケーション さあ、世界へ 試行錯誤の国際化─日本の場合 日本の伝統文化のいろいろ 日本の生活文化を伝えよう
ドイツの良さ、日本の良さ ドイツの家庭、そして死について 世界的な交流の歴史 日本だって友人がほしい 星一を知っていますか?
日本びいきのポーランド 修道院から始まったヨーロッパの大学 クラクフの学生達はものすごい
2004/11/06
『ヘーゲル 生きてゆく力としての弁証法』 著:栗原隆
2004 NHK出版 125P
シリーズ・哲学のエッセンス。
少々、ヘーゲルの弁証法という一点にのみ深く視点を置きすぎているかな、という印象。
ヘーゲル初学者は勿論、哲学に普段触れていない人などは、あまり面白いとも思えないかと。
私はそこそこ楽しめましたが……、確かに色々とクセのある人です。
小見出しの付け方とか……、多分、見ているだけでこの本手に取る気分が無くなっていくことかと。
推奨度
★★★
大見出し
制約を超え無限の可能性を孕んだ知へ ヘーゲルは体系哲学者ではなかった? ヘーゲルにおける体系とは何か─<展開>と<変化>
全体を見通した知 哲学の端緒 同一性と非同一性との同一性 哲学と経験知との違い 哲学と無媒介的な知との違い
小さく制約された頑なな、了見の狭い知から、無限の可能性を孕んだ知へ 悟性と反省の限界 私たちが直面する限界を突破する弁証法
より高次の認識を拓く弁証法 有限なものは自らを解消(止揚 aufheben)する 一面的な考え方は弁証法で否定される
ヘーゲルにおける弁証法的な否定は全面否定ではない <ある・有><ない・無><なる・成>の弁証法
自己実現の過程を説き明かす弁証法 自己実現には理念が貫徹されていなくてはならない ヘーゲル弁証法の原型は懐疑論にある
現実の世界は矛盾に満ちている 成長の根底には<規定的否定>がある ヘーゲルにおける弁証法的な否定は全面否定ではない
規定的否定は肯定的否定なものへ向けた否定である ヘーゲルと懐疑論 懐疑論の祖、ピュロン
いかなる判断にも同じように対立する判断を対置する懐疑論 二律背反とは判断が対立し合う構図である
二律背反のうちにも真理が表現されている 理性的な認識の表現 懐疑論が否定したもの 懐疑論は哲学への導き・端緒となる
自らの確実性を否定する懐疑論 否定されたものに成果を見る「規定的否定」は肯定的なものを前提する
敢えて超越論的循環を引き受けて 自らを映す思弁的な知の構造 自分とは何かを知る哲学 弁証法の在り処としての懐疑論
日常を疑うことではなく、絶望することに見定められた哲学 懐疑論把握をめぐるヘーゲルとシュルツェの対決 夜の闇にまぎれたのは誰か
否定的理性から肯定的理性へ 理性において内在的に超出する なぜ自己否定なのか 思弁とは先物買いである
一面的で個別的な認識が陥る不思議 概念的に把握する主体の成立 自らの分裂に耐え、克服する哲学 生きることを学ぶ
2004/11/05
『世界史こぼれ話』 著:関楠生
1997 河出文庫 217P
西洋史の碩学が書いたものなので、かなり面白く且つしっかりとしたものです。
著者が言っている通り、ハプスブルクネタが多いというのはご愛敬。
こういう本を読んで面白いと思い、歴史学に足を踏み入れるというのがよく失敗するパターンだったりするのです。
個人的には、ヨーゼフ2世のエピソードがオススメ。
推奨度
★★★★
大見出し
「トゥーレの王」とはどこの王なのか? 東ローマ帝国のドッペルゲンガー ラテン帝国皇帝のドッペルゲンガー カナリア諸島の光と影
ルクレチア・ボルジアは果たして悪女か? ハプスブルク家の美男と狂女 魔女狩り異聞 ベラスケス描くマルガリータ バロック時代の聖女
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