読書記録

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2004/11/28

『コミュニケーションの日米比較』 著:津田葵

2001 大阪大学出版会 86P

特に当たり障りなく無難な内容です。

が、日記の方にも書いた通りに冒頭の引用は必読です。

まぁ、私が引用してしまったので、アレですが……。

でも、そもそもこれ、一般書店には出回っていない本だと思います。

推奨度

★★★

大見出し

コミュニケーションの諸相 日本の訪問セールスから見たコミュニケーション アメリカのデパートでのコミュニケーション

説得的談話における日米のコミュニケーション アカデミックな場での日米のコミュニケーション

コミュニケーションと現代生活─国際化する言語生活

 

2004/11/26

『イギリスの歴史』 著:W・A・スペック 訳:月森佐知/水戸尚子

2004 創土社 298P

ケンブリッジ版世界各国史。

原書が1992年のものなので、WWII以降の見解については多少古い点もありますが、概ね精確に安全に読める一著。

ただ、外交史の方を期待して手にとった私としては、本当に内政オンリーなので期待はずれでした。

名誉革命以降の内政史を詳しくやりたい方には、+1の推奨。

推奨度

★★★

大見出し

18世紀のイギリス イングランド・スコットランドの合同からアイルランドとの合同まで 19世紀のイギリス

ピット内閣からパーマストン内閣まで 第二次選挙法改正法からブール戦争まで 20世紀のイギリス

ブール戦争から第一次労働党政権まで ボールドウィンからアトリーへ エリザベス女王の即位からヨーロッパ経済共同体加盟へ

 

2004/11/25

『日本語の21世紀のために』 著:丸や才一/山崎正和

2002 文春新書 179P

対談でとてもさっぱりと読めます、意見さえ合えば。

教育改革についてなどかなり過激なことも云っているので、保守的な人にはその点は合わないことでしょうが、

それを差し引いても面白いところが多数ありますので、是非オススメです。

斯く云う私はと云いますと、

ここに書いてあることは突き詰めすぎた理想論であるが故に勿論全面的に賛同はできませんが、

それでも教科書検定制度は撤廃してしまった方がいいというのには賛成ですし、

文学趣味的な現代文試験廃止には諸手を挙げて大賛成ですね。

推奨度

★★★★★

見出し

言語の時代としての21世紀 20世紀は「言語の世紀」 スターリンが書いた言語論 言語表現の二面性 権力に使われた嘘の言語

大衆社会と識字率 無口な日本人 衰微した社交サロン 記号が言葉に取って代わる 現代日本人の日本語への関心 標準語の成立

書き言葉しかなかった共通語 話し言葉は地方語で 旧士族の間でできた人工語 明治国家の言語的革新 日本語は進化する?

言文一致運動の失敗 第三者に理解される言葉を 記述こそ学問の基礎 隠語の世界だった文壇 二音連結と七・五調

原日本語のリズム 日本語論ブームの背景 紋切り型になった現代日本語 政治家は言葉をどう使ったか 日本語教育への提案

母親の口からやまと言葉がきえていく 国語学と日本語学 川端康成も使った「見れる」 母と子の間の言語表現 国語改革論の錯覚

テレビの影響 ジャーナリズムの言葉の貧弱 学校教育のジレンマ 教育を独占した近代国家 バタビア方式のすすめ

学校教育に必要なもの 入学試験と現代文 素晴らしい「教科書」がある メッセージのない検定教科書 検定制度を壊したら

歴史教育に教科書はいらない 国語教科書と倫理性 正典とアンソロジー 無理をした明治国家の正典概念 漱石と鴎外のちがい

話し方は難しい 英語で演説原稿を書いた伊藤博文 世界を制覇する日本の大衆化

 

2004/11/24

『イギリスの歴史 帝国=コモンウェルスの歩み』 編:川北稔/木畑洋一

2000 有斐閣アルマ 302P

一応イングランド前〜現ブリテンの通史ですが、

帝国・コモンウェルス時代を中心に多数の著者によって書かれたものです。

それ故場所によって出来がマチマチだったりしますが、社会史としてうまくまとまっていると思います。

あまり外交史としての側面は無いですね、文化史に至っては皆無ですが。

大英帝国の抱え込んだ大問題について詳しく知りたい方などにオススメ。

推奨度

★★★★

見出し

イギリスの風土と社会 「イギリス」の成立 島国イングランドの成立 中世イングランド王国の帝国的膨張

テューダー朝と近代イギリスのあけぼの イギリス帝国の形成 帝国形成への道 イギリス帝国の形成とアメリカの独立

帝国の再編と工業化 パクス・ブリタニカの時代 パクス・ブリタニカの確立─「自由貿易帝国主義」

イギリス帝国の経済的基盤─帝国支配の経済学 世紀転換期のイギリス帝国 帝国の変容 英領コモンウェルスへの道

帝国=コモンウェルス体制の成立 世界恐慌期の帝国=コモンウェルス 第二次大戦と帝国=コモンウェルス体制の崩壊

帝国からの自立 脱植民地化と福祉国家 ヨーロッパの一国へ 「鉄の女」の統治 新生イギリスの模索

 

2004/11/23

『ソシュールのすべて 言語学でいちばん大切なこと』 著:町田健

2004 研究社 193P

現在出ているソシュール入門書の中で、多分一番簡潔に易しく読みやすくまとめられていると思われます。

章毎に分けられていて、それぞれの末にまとめが2頁程度に渡って書かれているので、

通読しても復習が簡単にできて非常に構成も良しです。

他の言語学者を色々と引き合いに出さずにあくまでソシュールに的を絞っているあたりも、

ソシュール入門としては最適でしょう。

ただ残念ながら、やっぱりこれが全てだと銘打つ程の深みはありません。

それと、もうこれは学派的にお決まりのようですが、いい加減に能記・所記という訳し方は如何なものかと。

こんな入門書の中で一際浮いていますので、意味されるモノ・意味するモノ、

または丸山圭三郎氏の記号表現・記号内容で宜しいかと。

後は、「キレる」っていうのは全くの新語ではなくて「堪忍袋の緒が」というのが略されて使われ始めた表現なのですよ、

とかどうでもいいような補足程度しか無いので、良著です。

推奨度

★★★★★

大見出し

コトバが通じるしくみ コトバの基本単位 言語学の方法 コトバを支配する原理 言語記号の性質 言語学の課題

 

2004/11/21

『グノーシス 古代キリスト教の<異端思想>』 著:筒井賢治

2004 講談社選書メチエ 236P

来ましたよ来ましたよ遂に来ましたよ、日本語で書かれた初のグノーシス入門書!

しかも出来が素晴らしい!

あくまで王道的な二世紀のキリスト教グノーシス主義をしっかりと紹介することを主眼に置いていて、

一番の核となる部分がややこしくなく非常に読みやすく著述されています。

その為グノーシスを深く知りたいと思うような人には不満の点も多いでしょうが、

そういう人はもっと高額なグノーシス研究書は結構出ているので、そちらを参照下さいということです。

はい、そう、何を隠そうこの本何と1500円。

一般的なグノーシス関係の本は平均5000円という相場を考えると、桁外れに安い。

とにもかくにもオススメです。

と、ここまで持ち上げてきて、一点だけはきっちり批評させていただきましょうか。

グノーシスという概念をどこまで適用させられるかという問題について。

ハンス・ヨナスがもたらした功罪の、罪の方に、この概念適用の氾濫という問題があると、著者は指摘しています。

確かに私も、日本の女子高生にグノーシス主義を見出すというのは行き過ぎと思いますが、

それでも、仏教まで行き過ぎとするのは如何なものかと。

まぁ一口に仏教といっても、色々部派がありますし、北伝、南伝と、

各地に伝わっていった後々の仏教にまで適用させるのは、これまた難しいところだとは思いますが。

ですが、原始仏教は有りかと思います。

原始仏教、ひいてはウパニシャッド哲学の成立年代、インドと中東とギリシアとの交流、オルフェウス教、

ゾロアスター教などなどのファクターを見ていけば、

決して仏教が全然キリスト教グノーシスに繋がらないと考えるのは早計だというのに気付くことでしょう。

一つその点だけ。

推奨度

★★★★★

大見出し

紀元二世紀という時代 ウァレンティノス派 ウァレンティノス派のプトレマイオス プトレマイオスの教説 ウァレンティノスとウァレンティノス派

バシレイデース バシレイデースの宇宙創生神話 「無からの創造」 キリスト仮現論 マルキオン マルキオンの教説 マルキオンの聖書

グノーシスの歴史 結びと展望 ナグ・ハマディ写本とは

 

2004/11/19

『インド史への招待』 著:中村平治

1997 吉川弘文館 226P

著者が現代史の専門だけあって、一応は通史なのですが現代史に思いっきり偏っています。

まぁ、インドは史料が兎にも角にも少ない、というか絶無だったりもしますので、

古代にどうしても力を入れにくいというのはありますが。

そもそも研究者自体が極小なのですが。

よって、現代史目当ての人には、推奨度はプラス1です。

推奨度

★★★

大見出し

古代インド─文明の曙と古代社会の成立 中世インド─イスラーム王朝の興亡と民衆宗教の提起

イギリスの植民地時代─支配と抵抗の相剋 半世紀の独立インド─インド型民主主義の展開 インドと外部世界

 

2004/11/18

『名前と人間』 著:田中克彦

1996 岩波新書 204P

大当たり、ここまで興が乗って読めたのも結構久し振りのような気がします。

内容の良さもさることながら、文体が読みやすくて1分で3ページは軽く読めます。

所謂通俗本に堕しきっていなく、碩学である氏のしっかりした土台に基づいた論が展開されていくのですが、

笑える自己体験が数々挿話されていて面白可笑しくもあります。

言語学に興味が無くても、こればかりはオススメしたい一著です。

推奨度

★★★★★

見出し

言語学と名前学 名前の支配 ことばと名前 名前と意味 名前とジテン 名前学から見た固有名詞 言語記号の恣意性と固有名詞

固有名詞の弁別性 固有名詞は帰属を示す 名前にはパターンがある 同化を求める民主主義 「呼びやすい」名前に─同化の一過程

固有名詞の語源 ユダヤ人の美しい名前 民間語源(フォルクスエティモロギー)について 漢字が固有名詞を変える 名づけの諸相

さまざまな名づけ モンゴル人の名前から考える オノマスチカの新しい展開へ─名前を支配する権力

 

2004/11/16

『コンプトン 英国史・英文学史』 著:コンプトン百科全書 訳:加藤憲市/加藤治

1996 大修館書店 178P

英国史の方は、大体高校世界史でやる範囲よりちょっと詳しい程度のことが書いてあるだけで、

サラッと概観することくらいにしか役立ちそうにないです。

ですが、本書の主眼は後半の英文学史に有り。

羅列に終わっている作家も多いですが、それでもこうやって短いページで綺麗にまとめている本は稀少なもの。

百科全書を訳したということで、元々のデータの信頼性は高いです。

私も知らない人がいっぱいいました、というか、知らない人だらけでした。

推奨度

★★★★

見出し

ノルマン征服以前 封建国家イングランド 絶対王政からイギリス革命へ 18〜19世紀のブリテン 20世紀のブリテン 誇大英文学

中世英文学 17世紀の時代変化 18世紀─理性の時代 ロマン主義運動 ヴィクトリア朝の文学 現代文学

 

2004/11/16

『言葉とは何か 改訂新版』 著:丸山圭三郎

2001 夏目書房 205P

初期丸山圭三郎の、ソシュール研究の入門として読むのが最適な一著。

彼のソシュール入門を読むより前に、こちらをその更なる入門として読むべきでしょう。

つまりそれだけ平易な文で分かり易く書かれているので、

それ以上先に踏み込もうと思わないような人にもお勧めです。

推奨度

★★★★

見出し

言葉と文化 言葉とは何か ホモ・ロクエンス 言語観の変遷 言語能力・社会制度・個人の言葉 言葉の構造 言葉の状態と歴史

言葉と物 言葉と⊂ 言葉の単位 言葉の恣意性 言葉の意味と価値 丸山圭三郎・ソシュール・文学