読書記録

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2004/12/10

『イギリス王室物語』 著:小林章夫

1996 講談社現代新書 219P

政治面のことには殆ど触れず、大抵は王達の私生活に関してのことが書かれています。

事実は小説よりも奇なりとはよく言ったもので、面白いエピソードが山盛りですので、

普段小説しか読まないような人にもお勧めです。

真面目な堅いものを期待して読むのはお門違いでしょう。

推奨度

★★★★

見出し

イギリス王室とは 王室のニュース・バリュー 王室をつらぬく血脈 王室はいつはじまったか 華麗なるネットワーク

イギリス王室の「特色」とは ノルマン王家からプランタジネット王家へ ランカスター王家対ヨーク王家

ヘンリー8世─残虐非道と呼ばれても わがままが生んだイギリス国教会 残虐非道の専制君主 永遠のやんちゃ坊主 学識の豊かさ

跡継ぎが欲しい ローマ・カトリックとの断絶 イギリスの精神的支柱をつくる エリザベス1世─空前絶後の王である私

イギリスの第一期黄金時代 難問山積のエリザベス朝 女であることを武器に 優柔不断か類稀なバランス感覚か 寵臣ダドリーとの仲

34歳年下のデヴルーへの恋 女王であることの快楽 ジェームズ1世─悪魔学の専門家 親の仇から譲られた王位

血なまぐさいスコットランド スコットランドを捨てる 聖書を英訳させる 悪魔学の著者 ホモセクシュアル チャールズ2世─放蕩に死す

ひたすら女性が好きだった 苦しい亡命生活 公認愛人数13人 オレンジ売り娘が侯爵家の開祖に 夜のお忍びが大好き

無茶苦茶な国王への人気 ヨット遊びの創始者 ジョージ1世─総理大臣を生んだ政治的無関心 王位継承という問題 総理大臣第一号

ドイツか来た王様 美人が苦手 絶世の美女を死ぬまで監禁 辣腕ウォルポール バブルがはじける 妻の呪いで死去

ジョージ4世─快楽の王子 ハノーヴァー家の品行の悪さ 普請道楽 酒、宝石、骨董、競馬 ブランメルのダンディズム

皇太子、ブランメルに膝を屈す 借金返済のための結婚 どっちもどっちの新郎新婦 父は狂気へ 離婚騒動で国論が二分

快楽の中で文化が成熟する ヴィクトリア女王─大英帝国の絶頂と貞淑な女王 女王の御代は繁栄する 家庭生活の模範

社交嫌いのアルバート アルバートの活躍 静かな田舎暮らしを愛する 最愛の夫の死 大英帝国の繁栄 エドワード8世─王冠か恋か

屈指のプレイボーイ 寂しい子供時代 華麗な女性遍歴 ファッションの美しさ 運命の出会い 王妃としては条件が悪すぎる 王冠を捨てる

失われるイギリス王家の威光 今日のイギリス王室 開かれた王室 大金持ちの女王の苦悩

 

2004/12/08

『エロイカの世紀 近代をつくった英雄たち』 著:樺山紘一

2002 講談社現代新書 227P

ベートーヴェンの生きた時代、1770〜1827までの時代を色々な視点から見た作品。

必然フランス革命が色濃く出ています。

ベートーヴェンを中心にしているというわけでも、人物史というわけでもなく、

結構政治から文化から色々と着眼しているので、この時代を通観するのには読みやすいので便利でしょう。

ただ、内容の重複部分が多過ぎるかと。

推奨度

★★★★

見出し

英雄の世紀 ふたつの世紀 合衆国誕生とフランス革命 伝播する革命 時代は英雄を待望する ヘーゲルが目撃したもの

「市民革命」の行く末 啓蒙の賢人から普遍の天才へ 零落のドイツ ゲーテと18世紀 啓蒙のドイツ 疾風怒濤、ウェルテルの時代

「賢人」から「天才」へ 革命の進行とともに 天才ナポレオン 啓蒙都市民の誕生 戦乱のドイツ ハプスブルク・オーストリアの再起

プロイセンの台頭 ドイツ二元主義にむけて 啓蒙専制君主たち ドイツの両方国家群 都市のドイツの復興 啓蒙市民たちの世紀

ヨーロッパ国際関係のなかのドイツ 華麗な婚儀のなかで 外交革命のあとさき 宿敵同士、ハプスブルクとブルボン ライン同盟が択ぶ道

フランスからの風 台頭するろしあ さらに外周では フランス革命への対抗 ドイツの国際性とは ナポレオン革命

それは1789年に始まった バスティーユからロベスピエールへ ナポレオン登場す さまざまの改革 「ナポレオン革命」の理路

パリ、「文明の首都」 「二都物語」のひとびと ナポレオン・ショック 神聖ローマ帝国の末期 再編されるドイツ諸邦

ナポレオン軍、破竹の戦い プロイセンは改革、オーストリアは外交策 ベートーヴェンの政治思想 没落するナポレオン 市民と英雄

会議は踊る 大団円にむけて 「市民」の登場 市民軍の規律 戦場の英雄像 ファウスト、いまひとりの英雄 理想への冒険者

古典主義からロマン主義へ ロココからの出立 新古典主義の制圧 ロマン主義の登場 ふたつの主義、ふたつの原理

バイロンの冒険性、ドラクロワの事件性 ロマン派音楽の幻想性 ウィーンはロマン主義の故郷か 機械仕掛けのベートーヴェン

産業と機械の時代にあって 静音の1820年代 ウィーン体制の確立 ブルシェンシャフトの熱狂 ドイツ精神の再興へむけて

巨匠たちの退場

 

2004/12/07

『文化=記号のブラックホール』 著:丸山圭三郎

1987 大修館書店 200P

言語学者だとか言語哲学者だとかではなく、もう一個の哲学者でしょう丸山圭三郎氏は。

本書はインタヴュー形式と、多木浩二氏との対談形式をとっていて、

氏が直接筆を執った他書よりは簡単に読めるかと。

ただ、やはりそこは丸山氏、専門用語や独自用語をバンバン使っていくので、

氏独自の語の意味というものを予備知識として有していないとまずついていけないと思います。

読んだ気になっているだけ、という結果に終わることのないよう、熟読が奨められますよ。

しきりにラカンを持ち上げていますが、うーむ、もう一度ラカンを読み直してみるべきか……。

特に難し過ぎて読む気が無くなるんですよね、ラカンって。

推奨度

★★★★

見出し

アメリカ構造主義について チョムスキーの限界 実体論的関係論 現前の記号学 唯言論 意味=現象 身分け構造 コードなき差異

人間とはなにか 認識論と存在論 ことばの存在喚起機能 モノの手ごたえ カオスを持ってしまった動物 無意識について

教育の原理的考察 アヴェロンの野生児 仙郷淹留説話 影の文化 ラカンを読む 比喩について ソシュールのアナグラム

ノンを言いつづける 言語と貨幣のフェティシズム 貨幣と言語の類似点 「メタ的」な性格 物象化の錯視 「本物志向」とフェティシズム

欲求から欲望へ 欲動と喜び 文化のフェティシズム 病める動物=ホモ・パティエンス <身分け>と<言分け> エロスとタナトスの欲動

過剰と快楽 修辞学的プラティックのために 人間学としての言語研究 言語そのものの無根拠性 プラティックという不安

意識と言語の共起性 「もの」のディスクール化 シニフィエの超越性 無意識と下意識の分離 シニフィアン-シニフィエ関係を壊す

本能と衝動 言語と歴史 「意識的ではない」実践の可能性 「読む」行為

 

2004/12/06

『帝国』 著:スティーヴン・ハウ 訳:見市雅俊

2003 岩波書店 205P

1冊でわかるシリーズ。

読み始めてから気付いたのですが、とっても身近な訳者。

正直あまり肌に合わない人ですが、そういったことを一切捨象して読みました。

訳し方の当たりはずれが大きいですね。

その中でもどうしても許せないところが一つだけ、変な体言止めの使い方がとかく気持ち悪いです。

何故このような使用法をするのかサッパリ。

解説のところでも使っているから、何か思い入れがあるのでしょう、きっと。

本の内容自体は無難なところですが、

訳者が書いている通りアジア史、特に日本についての知識が著しく欠けているので、

その辺りまで押さえられればもっと良かったのでは、と。

推奨度

★★★

大見出し

誰が帝国主義者か 陸の帝国 海の帝国 帝国の終焉と余波 帝国を研究し判断を下すこと 雑種・普遍主義・日本─解説にかえて

 

2004/12/05

『哲学・世紀末における回顧と展望』 著:ハンス・ヨナス 訳:尾形敬次

1996 東信堂 58P

日本ではとにかくグノーシス研究者の世界最高峰として知られる御大ハンス・ヨナス。

斯く云う私も哲学者としての側面はもう殆どといっていいくら知りませんでしたが、なるほど物凄く興味深い。

要するに、彼の持っている問題はシュレーディンガーのそれと同じなのです。

身体と精神という二元論の批判と一元論の奨め、

形而上学を完全に捨て去った哲学への批判、実生活から遊離しきってしまっている学問への批判、

環境破壊と科学技術の過進歩への批判、しかし原始回帰思想をも批判して、

科学技術のより良い方向への発展にしか人類の幸福は成し得ないという思想。

哲学はその方向付けに役を買わねばならないという考え方をとっても、全てシュレーディンガーと軌を一にしています。

これは是非ともハンス・ヨナスの哲学をもっと深くやらねばならないと思いました。

それにしても、古ドイツ語で著作を記すあたりが素敵過ぎな姿勢です。

推奨度

★★★★

大見出し

フッサール ハイデッガー 第二次大戦後の哲学 次世紀に向けた哲学の展望

 

2004/12/04

『ジョージ王朝のイギリス』 著:ジョルジュ・ミノワ 訳:手塚リリ子/手塚喬介

2004 白水社文庫クセジュ 156P

何となく読みにくい文体の揃っている文庫クセジュの中でも、かなり読みやすいものだと思います。

内容はジョージ4世を省いて、

ハノーヴァー超ジョージ1世〜3世までの時代の内政・外交・文化等々を余すことなく概観。

スコットランド・アイルランド問題も勿論欠かしてはいません。

俗に言う“長い18世紀”全てをカヴァーしているわけではありませんが、

年代的な18世紀のイングランドはこれ一冊でかなり満足いくことでしょうでしょう。

著者がフランス人ということもあって、冷静な分析が光っています。

推奨度

★★★★

見出し

ジョージ1世、2世時代における体制の強化(1714〜1760) 啓蒙主義のヨーロッパで称賛された議会制度

ウォルポールの時代(1714〜1742) ウィリアム・ピット(大ピット)の時代(1742〜1761) ジョージ3世とその大臣たち(1760〜1793)

不安定な政局からノース内閣まで 急進派の扇動と小ピットの政治改革(1793まで) スコットランドおよびアイルランド情勢

外交および植民地政策─制海権からアメリカの喪失まで 世界規模の外交政策(1714〜1763) 大英帝国の誕生 アメリカの喪失

経済、人口、および社会の推移 緩慢な成熟(1714〜1790) 産業革命の到来(1790〜1815) 階級社会 文化の発展

大問題を棚上げした、社会的かつ愛国的宗教 エリートたちの文化─実用的かつ懐疑主義的な生活技術 科学に対する好み

革命期およびナポレオンのフランスとの戦争(1793〜1815) イギリスの世論とフランス革命 革命期のフランスとの戦争

ナポレオンとの戦争

 

2004/12/03

『西ヨーロッパ(下)』 著:松村赳/西川正雄/山口定

1993 朝日新聞社 210P

主には下に述した上巻と同じ感じですが、現代史については、やはり10年も前のものなので、

なるべくこれではない最近書かれたものを参考にする方がよろしいかと。

別にこの本の叙述が大きく間違っているというわけでもないのですが、

まだEU前ですからね、それが視野に入っていないという点はやはり流石に問題が。

推奨度

★★★★

大見出し

「ヨーロッパ近代」への問い 市民社会の芽生え 啓蒙専制君主の登場 産業革命とフランス革命 ナポレオンとウィーン体制

「自由」と「統一」を求めて 錯綜する列強の利害 第一次世界大戦とその結末 ファシズム・第二次世界大戦・東西冷戦

ユーロ・ペシミズムと冷戦からの脱却

 

2004/12/02

『西ヨーロッパ(上)』 著:佐藤彰一/松村赳

1992 朝日新聞社 237P

よくまとまっていて、通観するのに便利ですね。

検定が入っていない分、絶対こういった市販の通史書の方が出来具合が良いのですよね。

教科書よりも一歩深いところに足を突っ込んでもいますし。

まぁ、西洋史やるなら最低限この程度のことは、といった段階です。

推奨度

★★★★

大見出し

諸民族の交替 ローマの支配とその後継者たち 西欧世界の形成に向けて 封建制の確立と叙任権闘争 十字軍運動の熱狂

封建社会の変質 ペストの猛威と百年戦争 中世の終焉 宗教改革と大航海の時代 絶対主義国家の成立 三十年戦争と清教徒革命

「大世紀」と名誉革命

 

2004/12/01

『言語学 私のラブストーリー』 著:千野栄一

2002 三省堂 231P

一昔前に雑誌などに掲載されたものを編集した本ですが、それぞれの項目についてよくまとまっています。

各々どういうものか軽く説明した後に、著者お薦めの参考書を挙げていくという形式なのですが、

そこはやはり少々古いところがあるせいか、今ならもっとお薦めの本もあったりしてその点が惜しいですね。

勿論、今読んでも良い本ばかりを挙げていますので、こちらを参考に言語学を紐解き始めていくのもよろしいかと。

後は、少々誤字が目立つのが……。

推奨度

★★★★

大見出し

言語学へのいざない 言語調査 言語学史 音声学 音韻論 比較言語学 解読 社会言語学 ピジン・クレオル諸語 ユニバーサル

方言学 日本語の構造 言語類型論 文字論 対照言語学 言語 世界の言語 近代言語学を築いた人々 巨人ボドゥアン・ド・クルトネ

不死鳥ド・ソシュール 具眼者ビレーム・マテジウス 天才セルゲイ・カルツェフスキー 機能論者マルティネ 構造類型論者メシチャニーノフ

言語の詩人エドワード・サピア 碩学ヤコブソン 比較言語学者アントワーヌ・メイエ 日本の言語学者河野六郎

 

2004/11/29

『ウィトゲンシュタインから龍樹へ 私説「中論」』 著:黒崎宏

2004 哲学書房 210P

はい、もはや説明不要のヴィトゲンシュタイン研究第一人者の黒崎氏。

東洋学とヴィトゲンシュタインの橋渡しとしても一番活躍されています。

今回は、大乗仏教の大成者として知られるナーガールジュナこと龍樹の主著『中論』を、

ヴィトゲンシュタインを底に据えた上で、東洋学の泰斗中山元氏らの訳を元にして独自解釈を施した名著です。

ヴィトゲンシュタイン好きは勿論、仏教を研究している人にも是非とも勧めたい一著。

まぁとてつもなく難しいわけでして、私もここまで難解なものを読んだのは夏以来の気がします。

黒崎氏は言及していませんでしたが、私個人の見解でいうと、

丁度龍樹はヴェーダーンタの大成者シャンカラと対を成す存在ではないかと。

不一不異の原理を持つ龍樹と、不二一元の原理を持つシャンカラ。

これはまるで、現代物理学でのボーア・ハイゼンベルクとシュレーディンガーの対立と軌を一にしているようで、

実に面白い問題ですね。

ここらへん深くやろうと思うなら、やっぱりもっと仏教も勉強しないといけませんかね。

推奨度

★★★★★

大見出し

帰敬序 縁(四縁)の考察 運動(去ること)の考察 (眼などの)認識能力(根)の考察 集合体の考察 要素(界)の考察

貪りと貪る者との考察 <作られたもの>(有為)の考察 行為(業)と行為主体の考察 先行するものの考察 火と薪の考察

前後の究極に関する考察 苦の考察 <形成されたもの>(行)の考察 結合の考察 <それ自体>(自性)の考察

束縛と解脱の考察 行為(業)と果報の考察 アートマン(我、主体)の考察 時の考察 原因と結果の考察 生成と壊滅の考察

如来の考察 顛倒した見解の考察 四つのすぐれた真理(四諦)の考察 ニルヴァーナ(涅槃)の考察