読書記録

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2005/02/17

『観念論ってなに? オックスフォードより愛をこめて』 著:冨田恭彦

2004 講談社現代新書 219P

実に二ヶ月ぶりくらいになる、今年初めての哲学関係の本。

半年ほど前に読んだ『ハーバードより愛をこめて』の続編で、小説のような対話篇です。

私のやりたかったこと、というか、今サイトでやっているようなものの拡大版といった感じですね。

下手なミステリなんぞを読むより断然面白いです、読みやすいですし。

第一章・第二章でバークリの観念論をきっちり説明していき、第三章でロックに言及しながらバークリ論駁。

つまり、推理小説のようなものなのです、本当に。

読者は、読みながら如何にバークリの矛盾点に気付くことができるかといった感じで。

まぁ、今まで数多くの能ある学者さん達が手玉に取られてきたのですから、

京極夏彦氏の小説を途中で完全に把握できるとかいう人でもなければ無理かな、と。

いやどっちかといえばそちらの方が難しいとも思いますが。

観念論についても深く知ることができましたし、バークリについての邦語本は数少ないので、

そういった意味でも稀少で貴重です。

推奨度

★★★★★

見出し

記号としての世界 オックスフォード駅で バークリの生涯 神の存在証明 他者存在と記号 記号からの証明 神の言語 モリニュー問題

『視覚新論』 もう一つの記号関係 観念論 クライスト・チャーチ なぜ心の中の観念なのか エッセ・イズ・ペルキピー 抽象観念説批判

似たもの原理 ロック的物質肯定論に抗して マスター・アーギュメント 記号としての世界・再説 歪んだ論理 学会最終日

物そのものと観念 ロックの中の「エッセ・イズ・ペルキピー」 観念の導入 単純観念と複合観念 懐疑論?

観念論の歪んだ論理 心像論的観念理解 ロックの場合 「物そのもの」の概念 概念としての「固性」 概念としての「実在的本質」

概念的思考の特徴 マスター・アーギュメント再考 まだまだ先が 記号としての世界再々説 帰国の日に

 

2005/02/15

『聖書vs.世界史』 著:岡崎勝世

1996 講談社現代新書 254P

始め半分はかなり退屈でした。

ですが、そのキリスト教的普遍史がボロボロと瓦解していく過程は面白かったです。

別にキリスト教が嫌いというわけでもないのですが、キリスト教史のようなものには結構もう飽き飽きしていたり。

ライプニッツのくだりなんかは、特に面白く読めました。

まぁ、中世史やる人はやはり必読の書といった感じでしょうか。

推奨度

★★★★

見出し

普遍史の成立 聖書の描く人類史 聖書の構成 人類史の第一期=ノアの大洪水まで 第二期=ユダ王国滅亡まで

第三期=四世界帝国の時代 「終末」とヨハネの黙示録 聖書の種類 キリスト教年代学と普遍史の成立 キリスト教の成立

エウセビオスとヒエロニムス カルデア人の古さの問題 アッシリアの問題 エジプト人の古さの問題 アウグスティヌスの『神の国』

「第四の国」=ローマ帝国 古代的普遍史の集大成 キリスト教護教活動として 始点と終点のある時間

終末観と人類史6000年間の観念 三大陸からなる平円盤状の世界観 「化物世界詩」の継承 中世における普遍史の展開

キリスト紀元の発生 種々の年号 ディオニシウス・エクシグウス ディオニシウスの算定方法 イングランド教会の役割

キリスト紀元使用の一般化 中世における普遍史叙述 ベーダの年代記 ベーダの役割

オットー・フォン・フライジングと中世的普遍史の完成 楕円ヨーロッパ オットーの使用した年号 12世紀を代表する世界史

中世の化物世界観と普遍史 TO図 ヘレフォード図による普遍史の図像化 化物世界誌 イシドールス『語源論』の世界 東西交流の再開

マルコ・ポーロ 化物世界誌にからめ取られた新情報 マンデヴィルの『東方旅行記』 「カタロニア図」の世界 妖怪変化に満ちた世界

普遍史の危機の時代 ルネサンスと普遍史の危機 イタリア・ルネサンスとマキャベリ 「政治的世界」の発見 「人間の発見」

新しい歴史観 エジプト史の亡霊 ヘロドトスの描くエジプト史

ディオドールスの描くエジプト史 マネトの再生 宗教改革と普遍史の危機 ヨハネス・スレイダヌス プロテスタントの代弁者として

聖書をめぐる議論の新時代 年代学論争と聖書の批判的研究の開始 トマス・ホッブズ スピノザ リシャール・シモン

大航海時代と普遍史の危機 コロンブスによる「人間」の発見 新大陸の認知 メルカトルの世界図 インディアンはアダムの子孫

バリャドリの論戦 モンテーニュ 様々なインディアン起源論 アコスタのアジア起源説 危機を持ちこたえた普遍史

中国史の古さの問題と普遍史の危機 ポルトガル人と中国 イエズス会の中国布教 メンドーサ『中国大王国誌』

マルティニ『中国古代史』 パスカルと中国 ライプニッツと中国 フォシウスの問題提起 ゲオルク・ホルンの解決策 ホルンの後継者たち

科学革命と普遍史の危機 ニュートンの世界史叙述 天文学による年代決定 エジプト史の短縮 預言の研究 プロテスタント的普遍史

ニュートンの時間と世界 アリウス派だったニュートン 歴史学における位置 年代学論争 スカリゲル『時間修正論』と年代学の形成

ユリウス周期 スカリゲルの年号体系 プロテスタントとカトリックの「時間」を巡る争い 『時間論の宝庫』とエジプトの問題 ペタヴィウス

アッシャー ボシュエ ペズロン 普遍史から世界史へ 啓蒙主義的世界史の形成 ヴォルテールによる歴史学のコペルニクス的転回

ニュートン物理学的な時間 年号表記の問題 普遍史的世界の否定 中国の問題の意味の変化 普遍史の問題

ケラリウスと「古典的三区分法」 ガッテラーとゲッティンゲン学派 『普遍史序説』 『世界史』での変化 普遍史の自己否定の歩み

シュレーツァーと世界史 創世紀元の否定 キリスト紀元の自立と「古典的三区分法」 創世紀元の重み 聖書の批判的研究の新展開

ミハエリス 普遍史と万国史

 

2005/02/13

『読書案内─世界文学』 著:W.S.モーム 訳:西川正身

1952 岩波新書 169P

偶には過去の名著も読まねば、ということで。

原著の発行年は1940年なので、例えばその同時代の作家については口を噤んでいます。

過去の名著を挙げていくだけでページがいっぱいいっぱいだから、とも云っていますが、

やはり時を同じくしている人に対して正当な評価を下すことの困難性というのを、モームは熟知していたのでしょう。

引用したい名言がとにかくいっぱいありますが。

「ひとはだれでも、そのひとにとっては、自分自身が最良の批評家である。

ある書物について、学識ある人びとがなんといおうと、また、どれほど口をそろえてほめたたえようと、

あなたの興味をひかないならば、その書物なあなたにはなんのかかわりもないのだ。

批評家はしばしば過ちを犯しがちであること、批評の歴史を見ると、一流の批評家でさえ、

いたるところで失策を演じていること、あなたがよんでいる書物が、あなたにとって、どのような価値をもつか、

それをきめるのは、けっきょくあなた自身であることを、忘れないでいただきたい。

これからわたくしがすいせんして、あなたの注意を促そうとする書物のばあいも、もちろん同じことである。

わたくしたちは、だれひとり、自分以外のひとと完全に同じだという者はない。

やや似ている、という程度にすぎない。

だから、わたくしに大きな意味をもったからといって、その書物が、そっくりそのまま、

あなたにも大きな意味をもつであろうなどと考えるのは、愚かなことである」

素人批評家がとかく増大しまくりなこのインターネット普及時代。

一流の批評家ですら……、いわんや素人批評家をや……、って感じですね。

後、読書人口減少に対しては、モームも引用しているジョンソン博士の言葉から二次引用。

「読書をしないような連中は、考える材料を何ひとつもってもいなければ、

いうべきこともほとんど何ひとつもてるものではない」

推奨度

★★★★★

見出し

楽しみのための読書 アメリカ文学 トロロップ メレディス ジョージ・エリオット イギリス詩選 読書の楽しみ 読書の仕方 デフォー

スウィフト フィールディング スターン ボズウェル ジョンソン ギボン ディッケンズとバトラー オースティン ハズリットとラム サッカレー

エミリー・ブロンテ セルバンテス モンテーニュ ゲーテ ツルゲーネフ トルストイ ドストエフスキー とばしてよむことも読書法のひとつ

フランス文学と英文学 ラ・ファイエット プレヴォー ヴォルテール ルソー バルザック スタンダール フローベール

コンスタン、デュマ、アナトール・フランス プルースト わたくしとアメリカ文学 ベストセラーについて アメリカの文学研究の特色

アメリカの文学者の特殊事情 フランクリン ホーソーン ソーロー エマソン ポー ヘンリー・ジェイムズ メルヴィル マーク・トウェイン

バークマン ディキンソン ホイットマン

 

2005/02/11

『ゲーテとベートーヴェン 巨匠たちの知られざる友情』 著:青木やよひ

2004 平凡社新書 251P

厳密なる実地調査と資料精読に基づかれた、名著。

初め、単なる安っぽい伝記物のようなものかと思っていましたが、全く異なっていました。

いやはや、そんなバイアスをかけていては、BCの名折れですよね、反省しました。

著者自身述べていますが、

かつて此程まで誤解されている二人の関係というものは、ゲーテとベートーヴェンをおいて他に無いでしょう。

とにかく仲違いしたままで終わってしまった、と、かのロマン=ロランも云っています。

が。

それは誤解である、と、快刀乱麻を断ってくれたのがコレ。

文体も読みやすいですし、熱中できる一冊ですよ。

推奨度

★★★★★

見出し

対称的な二人の巨匠 アポロンとディオニュソス それぞれの出自 天才児の育ち方 青春の惑いのとき─ゲーテ

父との葛藤と自由の代償 回心と覚醒 <ヴェルテル>体験と女性遍歴 宮廷音楽家からの出発─ベートーヴェン 自由都市と宮廷都市

少年音楽家とその自立 貧しさに鍛えられる ブロイニング家の人々とフランス革命 成熟のとき─ゲーテ ワイマルのゲーテ

フランス革命をどう見ていたか 「青春」からの使者ベッティーナ 両巨匠をつなぐもの 『ヴェルテル』と『悲愴』の同時代性

“ミニョン”の出現 両巨匠をつなぐベッティーナ ゲーテとベートーヴェンの往復書簡 夏の保養地ボヘミア ゲーテとカールスバート

ベートーヴェンのボヘミア旅行 ゲーテとベッティーナの決別 ベートーヴェン、二度目のボヘミア旅行 ベートーヴェンと謎の手紙

ゲーテ、テプリッツへ 世紀の出会い 魅惑されたゲーテ 齟齬のはじまり ベートーヴェンの幻滅とゲーテの寛容 知られざる幸福な再会

フランツェンスバートでの出来事 幸福な再会 それぞれのナポレオン観 二つの世界の交響 『西東詩篇』の世界 ゲーテと音楽

ベートーヴェンの絶望の『日記』 東方への傾倒 ベートーヴェンと訪問者たち ゲーテの沈黙とベートーヴェンの政治意識

ゲーテの回春とベートーヴェンの手紙 ゲーテの沈黙 ベートーヴェンの政治意識 ベートーヴェンの臨終

 

2005/02/10

『黒い聖母と悪魔の謎 キリスト教異形の図像学』 著:馬杉宗夫

1998 講談社現代新書 213P

図像学の対象となるものは、主観を排した美術作品です。

こういったものは、近現代に近付くにあたって限りなく少なくなってきますね。

まぁ、当たり前といっては当たり前なんですが。

もっと、上手い下手関係無しに、学としての分析というものが美術の方にも取り入れられないものかとも思いますが。

個人作品みたいな感じになると、難しいんでしょうかね。

それはさて置き。

中世史を専攻するなら外せない一冊という印象。

オカルト的要素とかは殆どありません、

純粋に学としての色が強いので、逆にそういうものを期待すると拍子抜けするやもしれません。

これは解き尽くされていないというのも結構ありますが、著者独自の見解が色々出ていて、オススメです。

推奨度

★★★★

見出し

図像学(イコノグラフィ)とは 悪魔の出現とその形態 ロマネスク聖堂に表現された「悪徳」に付き添う悪魔

悪魔の登場する場面とその役割 悪魔表現の出現 『黙示録注釈書ベアトゥス本』にみられる悪魔 ロマネスク美術に現れた悪魔

悪魔崇拝と宗教との関係 ロマネスク美術と『黙示録』 ポワティエ市サンティレール聖堂の謎の柱頭彫刻

サン・スヴェールのベアトゥス写本 <ベアトゥス本>写本とは サン・スヴェールのベアトゥス本の特徴 モサラベ美術とは

『黙示録』的時代背景 右と左の序列─左は悪い方向 コンク、サント・フォワ聖堂への道 <最後の審判>図像の出現

右と左の位階の問題 中世における視点(内なる視点)と逆遠近法の問題 神の視点の存在 謎の黒い聖母像

ロカマドールの謎の聖母像 黒い聖母の存在する場所 巨石崇拝に結びついた土地(ル・ピュイ) シャルトル大聖堂の場合(聖水崇拝)

<黒い聖母>の象徴的意味 <黒い聖母>像のタイプと聖母崇拝 『旧約聖書』伝壁画のなかの横顔像

サン・サヴァン聖堂壁画(『旧約聖書』伝) 東側祭室や西側玄関口壁画との関係 サン・サヴァン身廊天上壁画の特殊性(横顔像の存在)

主要場面における横顔像とその意味 第二の横顔像のタイプ 結論 目隠しされた女性像─シナゴーガ表現

ストラスブール大聖堂の目隠しされた女性像 サン・ドニ修道院長シュジェールの創意 予型論(タイポロジー)的解釈とその表現

シナゴーガ(ユダヤ教会)の表現 <シナゴーガ>表現の背後にあるもの 「葉人間」の正体 サン・ブノワ・シュル・ロワール修道院

謎の柱頭彫刻 グリーン・マン(葉人間)の存在 「葉人間」の正体(樹木信仰) ケルト文明の伝統の融合 古代ローマ文明の融合

「葉人間」の意味と人頭崇拝の伝統 怪物ガルグイユの象徴的意味 パリ大聖堂の怪物群とガルグイユ ガルグイユの起源

雨樋の歴史とガルグイユの登場 ガルグイユの歴史とその類型 ガルグイユの象徴的意味 一角獣のタピスリーの意味

パリ、クリュニー美術館<一角獣を伴う貴婦人>タピスリー 表現されている主題(五感覚) 一角獣とライオンの象徴性とその意味

新しい解釈 四本の樹の意味と天幕の前に立つ貴婦人の意味 紋章の意味と製作の背景

 

2005/02/07

『現代に生きるファウスト』 著:小西悟

1996 NHK出版 286P

『ファウスト』関係の本は昔に結構読み漁ったものですが、まだ読んでいないものもたんまりあるので、

今後読み潰していこうと思い至り、の第一弾。

文字が大きく、一頁にぎっしり詰まっていないでゆったりしているので、

『ファウスト』本編同様に読みやすく仕上がっています。

著者が繰り返し言っているのですが、『ファウスト』の研究書はどうにもこうにも難解めいたものが多すぎて、

それが本編をとっつきにくいものにしてしまっている、というのは確かなことだと思います。

『ファウスト』がお堅いモノだと思っている人は、まずコレを読め、というくらいにやわらかい一冊です。

詩訳もとても良い具合にできていて、美しさに思わず感嘆です。

ところどころに詩の原文が載っているというのも、抜かりありません。

『ファウスト』最大の魅力は、やはり文と詩の美しさですからね。

推奨度

★★★★

見出し

文学作品に輝く巨星 詩と情熱─ゲーテ・波乱の生涯 戦争と革命の時代を生きる 『ファウスト』の魅力と見どころ 巨大山脈への誘い

時代を超える現実批判と風刺 『ファウスト』の笑い─その今日性 第一部あらすじ 「ことば」信仰と「アカデミズム」批判

悲劇を演出する詩の美しさ 政治権力、戦争、拝金主義批判 グレーチヒェン悲劇 無限に広がる物語の世界 第二部あらすじ

壮大なドラマにひそむ現実批判 幻想のなかの祈り 戦争批判をこめて 時間と空間を超えて ファウストの夢と妖怪メフィスト

うごめく人間たちの欲望 理想国家への夢 開発に命を賭して 最高の幸福─ファウストの死と救済

 

2005/02/04

『モーツァルト考』 著:池内紀

1996 講談社学術文庫 233P

それほど特に目新しい発見というのは私は無かったですが、

ただつらつらと無機的にモーツァルトの生涯を書いてあるような通り一辺倒の解説本とは趣を異にしていて、

作者の個人的意見や感想が強く前面に出ている語り口調のものなので、

そういうものが合わないという人以外には、モーツァルトのことを軽く知りたい人の入門として結構オススメです。

音楽批評のための用語がモーツァルトの時代ですらまだまだ全く無かったというのは、結構驚きかもしれませんね。

推奨度

★★★★

見出し

時代の申し子、時代の頂点 ゆるやかな文化共同体 18世紀の文化遺産 人生は楽しむものだという認識 啓蒙君主の時代

フリーメイソンとローマ・カトリック 当時のウィーン 時代の申し子モーツァルト 「小さな大人」の旅の日々 ザルツブルクという町

「恋シキ南ノ太陽」 小さな、しかし完成された大人 「びっくり」のカタルシス 興行の旅から成熟の旅へ 音楽は料理と同等

批評家モーツァルト 手紙のなかの天才 旅、旅、そしてまた旅 いとしいベーズレちゃん、ウンコしなさい 手紙は耳で楽しんだ

ひとつのドラマがそこにあった ウィーン定住以後 「意味」のない世界 ウィーン時代とフリーメイソン カンテラ小僧の話

引っ越し魔にして派手好み フリーメイソンとは何か モーツァルトが信じたこと 「魔笛」とフリーメイソン オペラの魅惑

「イドメネオ」─天才が愛着したオペラ・セリア 「後宮からの誘拐」─こころよい若々しさ 「フィガロの結婚」─無個性の美しさ

「ドン・ジョヴァンニ」─悪の魅力のふしぎさ 「コシ・ファン・トゥッテ」─もっとも現代的な 死の一年 経済的窮迫の謎

借金、借金、そして「レクイエム」 デスマスク

 

2005/02/02

『絵本が育てる子どもの心』 著:松居直

2004 日本キリスト教団出版局 60P

キリスト教の出版社だからといって敬遠するのはよくないです。

後半に少し出てくるキリスト教のくだりがつまらないというのは確かですが、

それ以外のところが実に良いことを書いていますのでオススメです。

絵本というのは大人だってバカにできません。

推奨度

★★★★

大見出し

長崎の事件を手がかりに 沈黙の中に言葉を聞く ヤングアダルトの増加 「生きるとは何か」に煩悶した青年時代 言葉の世界に入る

言葉を五感で聞く 遊びと言葉 雨の降り方を表現する言葉 失敗してもいい、言葉を使う喜びを体験する 豊かな言葉に包まれて

絵本は「読み手」の言葉 聖書の読み方 読み手の思いが子どもの中に伝わる 大切な、日本語の調べ 絵本は「読んで語る」

聖書を「聞く」ということ 聞く力を育てる

 

2005/02/01

『宇宙の創造と時間』 著:佐藤文隆

1995 TBSブリタニカ 174P

行った年の違う三回の講演をまとめあげたもの。

講演と質疑応答がそれぞれ三つずつにまとまっているために、

文体は口語体(といっても砕けてはいませんが)なのでごくごく読みやすいです。

一番最初のものは1983年に行われているために、少々古臭い感も強いですが、

それでもこの二十年でそれほど大きく変革していないのだなぁ、と思えます。

文中、『時間の比較社会学』という本から引っ張ってきていますが、それがかなり納得のいくものでした。

どんなことか軽く述とと、太陽に従う共同体もあれば、

牛に餌をやったり乳を搾ったりするといったことを基準にしている共同体もあり、

基準の異なった共同体が集まってより大きな共同体を作る際になって、

今我々が基準にしている“時間”というものができあがっていく、

それはあたかも夢幻のようであり、経済学でいうところの“貨幣”とまったく同じ具合で、

著者は別の意味に於いて「time is money」と云っています。

また、高度に発展して行き詰まりを見せたら今度は粗く為されていくものである、というのには全くの同意です。

科学に限らず、現代の美術・音楽・文学、皆そうあるべきもので、

個人的には美術や音楽は結構それが進んでいるのではないかと思っています。

まぁ、最初っから粗っぽいだけの粗悪品が多いのもまた事実ですが、

粗悪と識りつつもそれを味わうというのはこれまた趣深いものかと思うのですがどうでしょうか。

推奨度

★★★★★

見出し

ビッグバンの話 膨張宇宙からのメッセージ 宇宙の一生 自然界の四つの力 対称性の破れ 物理法則の歴史性 一センチ四方の宇宙

量子力学的なゆらぎ ブレーキのかかった膨張運動 宇宙は一様である 無限の繰り返し ソースを担ったゲージ理論

ビッグバンはあったのか 宇宙に神はいたか ゆらぎがあるから安定する シンメトリーが破れるとき 歴史をもつ宇宙

宇宙の誕生と時間の発生 時間のはじまり 抽象化された時間 虚無化と等量化 物理の時間 時間の相対性 量子力学の時間

世界でいちばん小さな宇宙 時間意識の四つの形態 時間の相関性 コミュニティの時間 地球を超えた法則 収縮する宇宙

素粒子化に連続革命はなかった 計測できる暗黒状態 物理の分際 時空と物質 分際をわきまえた科学 サイエンス・バッシング

科学的客観主義に対する批判 科学者は僧侶か職人か 無限大を無視する「くりこみ理論」 場の量子論、エネルギー

物質概念の希薄化 シュレーディンガーの猫 粗視化で見えるもの ヒューマンな物理学 やつして見る 複雑系の物理学

生物学と物理学 革命的変革を必要とする現代科学 神がつくったすき間 アルゴリズムの復権 引き算論理としての真空

『プリンキピア』の神様 「物質は固い」は生存の知恵

 

2005/01/30

『歴史から読み解く英語の謎』 著:岸田隆之/早坂信/奥村直史

2002 教育出版 157P

見出しは多過ぎ長過ぎなので割愛、79の謎について解かれています。

もっとも、全部が全部完全に納得のいく説明が施されているわけでもなく、

こういう発展を遂げたからこうなったのですよ、と云われても理解しかねるところも結構あります。

そこのところは個人差が大きいのでしょうが。

一番の印象としては、やっぱり古典英語は難しいなぁといったところでしょうか。

よく、日本語ほど千年前と言葉が変わってしまった言語は無い、などと云う人がいますが、

それはやっぱり自分が日本人が故の自己意識の強さだと思わざるを得ません。

推奨度

★★★★