読書記録
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2005/03/04
『「個性」を煽られる子どもたち 親密圏の変容を考える』 著:土井隆義
2004 岩波ブックレット 71P
下の本同様、こちらもきっちりとした統計の証拠を出して論を進めているのですんなり納得させられます。
こちらは教育学ではなく社会学からのアプローチですね。
私が数年来していた“本当の私批判”をガンガンやってくれているのが大変気持ち良かったです。
最近の若者がよく聴くらしいヒットしているとかいう曲の歌詞を取り上げてネタにしているあたりも、
なかなかに取っ付きやすいのではないでしょうか。
私は全くあてはまりませんでしたが、私の近くにいる人なんかで、コレを読んであぁ当て嵌まるなぁ、
と思わされることが結構ありました。
親密圏という概念用語はいいですね。
推奨度
★★★★★
大見出し
親密圏の重さ、公共圏の軽さ─子どもの事件から見えるもの 内閉化する「個性」への憧憬─オンリー・ワンへの強迫観念
優しい関係のプライオリティ─強まる自己承認欲求のはてに
2005/03/04
『「学び」から逃走する子供たち』 著:佐藤学
2000 岩波ブックレット 62P
うーむ、興味深いです。
きちんと実地へ赴いて統計調査をとって、証拠に基づいた論の展開なので説得力があります。
しかしこれはもう5年前のものになるのですが、未だに明るみに出てこないですね。
カリキュラム/プログラムだけの問題ではないということは、私も常々主張していることではあるのですが……。
基本的に頭の足りない人々の巣窟のようですからね、文部科学省っていうのは。
推奨度
★★★★
大見出し
創られた危機と無視される実態 危機の実態─「学び」からの逃走 「学力低下」の真相
「勉強」の時代の終わり=東アジア型教育の終焉 社会の変貌と教育改革の失敗 「勉強」から「学び」へ
2005/03/03
『ヘッセの読書術』 著:ヘルマン・ヘッセ 編:V・ミヒェルス 訳:岡田朝雄
2004 草思社 238P
読書に関する若かりし頃から死の直前までのヘッセのエッセイをまとめたもの。
若い頃は結構過激で独断的な論を展開していて、それもピリッと辛みが効いていていいのですが、
やはり老年にさしかかって熟してきた卓見によるものの方が唸らされますね。
とにもかくにも、一度は読んでおいた方がいい読書論・文学論・言語論ということは間違いありません。
推奨度
★★★★★
大見出し
書物(詩) 書物とのつきあい 本を読むことと所有すること 保養地での読み物 言葉 読書について
世界文学文庫/世界文学文庫リスト ベッドで読んだもの 本の魔力 本のほこりを払う 愛読書 日本のある若い同僚に
「パン(ブロート)」という言葉について 書くことと書かれたもの
2005/02/28
『部首のはなし 漢字を解剖する』 著:阿辻哲治
2004 中公新書 201P
色々な話の切り口から、取り上げた部首についてを展開していきます。
東洋史学なり中国文学なりをやるなら、部首を学ぶことは必要不可欠だと強く思わされました。
そうでなくても、雑学的に読めるので面白いです。
私なんかは小学校でロクに部首を教わらなかったので、知識がかなり欠けているなと思いました。
推奨度
★★★★
2005/02/26
『数学と人間の風景』 著:森毅
1994 NHK出版 217P
畑違いであり且つ広い関心を持っている人の語りというものは本当に面白く、為になる。
やはり偏狭なものより幅広の方が趣も深いものかな、と。
色々と、そうかそういう見方もあるなぁ、と思わされました。
最近はこういう、あっさり薄味だけどいつまでも満腹感の残る種類の本がとにもかくにも好みになっています。
推奨度
★★★★★
大見出し
数学的考え方 数学を好きになるには 数学も文化に依存する 幾何学はギリシャのものか 魔術師たちが生んだ数学─ルネサンスへ
尺度で目盛られた世界 17世紀の数学者たち 18世紀のサロン文化 近代─制度化された社会の功罪
未来へ─情報制度化のブレーク・スルー 僕の数学物語 人生は20×4
2005/02/24
『学ぶことの法則』 著:鷲田小彌太
1995 丸善ライブラリー 169P
彼の云うところによると、月に10冊以上の本を軽く読んで、精を出して学んでいるような人は、
とにかく稀に見る勤勉家か変人らしいです。
私は前者ではないので後者でしょうかね、まぁ、彼が万物の公理を司っているという仮定が正しければの話ですが。
とにかく独善的に論が進められていくので噛み付きたくなる部分も多々あるのですが、
しかしそれ以上に同意できるところが多いので、結局好評価です。
自分のことを学生だと思わず蚊帳の外の人と思えば、結構気持ちよく読めるモノです。
まぁ、あまり学んでいないような人とか親御さんには、軽く一読してみてはどうでしょう、と推奨できます。
文章も内容もとても簡単なので……、西田関連に比べたら。
推奨度
★★★★
見出し
学ばなければ、学ぶ意味はわからない 学ぶ最良の方法は、教えることだ まず基礎からではなく、まず、先端から齧れ
大学、総じて学校の最大の効用は、むりやり、否が応でも、学ばせるところにある 受験勉強をおろそかにするな
強制されたものは、最初は、すべて面白くない。授業が面白くないことの宿命が、ここにある
独りで学ぶことができないもののためにこそ、学校はある
どんな面白くない授業であっても、卒業したら、懐かしくなる。もっと真剣に取り組んでいたらなぁ、というため息が出るものだ
大学卒業後、ビジネスマンになってから、よく学ぶのは、大学時代に学ばなかったからだ
大学時代、学んでも、学ばなくても、卒業したら、学ばなければならなくなる
2005/02/23
『西田幾多郎の生命哲学 ベルクソン、ドゥルーズと響き合う思考』 著:檜垣立哉
2005 講談社現代新書 234P
とりあえず2005年の新刊ということで手に取ってみました。
確かに西田関係の本にしては易しいと云わざるを得ないのですが、
とてもではないですがまともに読み通し切れませんでした。
最近この手の哲学系のものは全然読んでいないせいか、いきなり西田に触れようとしても、
正直「どーだっていーじゃんよー」みたいな気分に陥ってしまいました。
前半のベルクソンと関連しているところは、まだベルクソンならそこそこには分かっているのでよかったのですが、
後半のドゥルーズ関連のところはなかなかに難航しました。
何せドゥルーズ自体にほとんど手をつけていないので、
ドゥルーズと西田を関連づけられ論じられたところで、首を捻ってしまいます。
そもそも私は西田の偉大さは認めるものの、九鬼や三木の方が同意できる点が多いので、
そんなに彼に触れることをお奨めする気もあまり無く。
故に、★は三つで。
誰か、もっと噛み砕いた形の簡便な西田入門書を書いて下さい。
ちなみに、西田思想に対する姿勢は、徹頭徹尾、
肯定否定ともども思い入れ過多になっていなくて素晴らしいものと思います。
何ていうか、またそのうち準備体操した後に読み直してみれば、違った評価になるような気がします。
推奨度
★★★
見出し
西田幾多郎とは誰か 西田の哲学の魅力 西田幾多郎という人 西田の時代 西田の場所 思考の転換期のなかで
西田の「世界的同時性」 生命の西田哲学 西田が論じたひとつのこと 「純粋経験」から「自覚」へ 「場所」と「絶対無」、そして「行為」
西田の議論の核心 「純粋経験」─「有機体的一者」への希求 「純粋経験」とは何か 西田の方法論 花の匂いをかぐ私
崖をよじ登る身体 「異質的で連続的」な流れ 「自ら差別相を具えた」システム 潜在的なもの 「一者」であることへの希求と罠
「有機体的関係論」としての『善の研究』 ホーリズムがもたらす背理 「自覚」という装置─「無限」のなかでの「自己限定」 「自覚」の導入
「自覚」とは何か 西田の「自覚」とベルクソンの「純粋持続」 「自覚」の無限の展開 自分も描き込まれている地図を描くこと
「微分」と「無限論」 無限から内包量=強度へ なぜ「数」の議論になるのか 「場所」の論理─「関係」の多層的な階乗
あらたな議論のステップ 「場所」の議論はいかに成立したか 「超時間的」なもの 関係性が階乗化していく
赤という色が「於てある」場所 「述語」論理 「述語面」と「一般的なもの」 「叡知的世界」とは何か 定点なく見るというパラドックス
彼方に必要とされた「超越」 生命論としての「場所」 「関係性の階乗化」の果てに 「絶対無」の展開─「非連続」の理論的導入
田辺元による西田批判 どちらから語るのか 「絶対無」を描きなおす 「種」と「個体」の対立 「無」の「自覚的限定」の意義 「永遠の今」
「死」を含む「生」、「他」を含む「自己」 「個体論」の新たな展開 否定性が「個物」を内から動かす 「行為的直感」─「ポイエシス」の世界
「個物」からなる世界 「個物」が描く生命 相互媒介する世界 「ポイエシス」としての「個物」 「現実」の「創造」 「身体」と「歴史」
「種」としての生命 「絶対矛盾的自己同一」─「生成」のためのロジック 「多」と「一」との矛盾的自己同一 「課題」としての世界
群論的世界 「有限数」と「無限数」 「ポイエシス」としての生命論 生命論の第三の段階 生成のロジックに繋がる時間
生命論の現在と西田 「自己創出」する生命
2005/02/21
『フランス革命の社会史』 著:松浦義弘
1997 山川出版社世界史リブレット 90P
かなり個人的な嗜好で、フランス革命というのはとてもとても好きではないのですが。
しかし好きでないからといって全くハズしてしまうというのは、近代史をやる上では禁忌にも等しいことなので、
忘却防止ということで偶には何か読まないと、ということで、コレ。
薄くて気楽に読めて、フランス革命の研究史から、
フランス革命期の図像の重要性などまで、結構興味深いことが書かれています。
思えば、何故か知らねど大学で初めてやったテーマが、このフランス革命期の図像でした。
ので、本当に気軽な復習といった感じでした。
推奨度
★★★★
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フランス革命の何が革命的だったのか フランス革命へのまなざし アンシャン・レジュームの国家と社会
政治文化の革命としてのフランス革命 フランス革命とユートピア フランス革命と抵抗・暴力 現在からふりかえって
2005/02/20
『ドイツ史10講』 著:坂井榮八郎
2003 岩波新書 232P
ドイツ近世史の大御所先生。
なので、専門のところは優れているというのは明らかです。
古代〜中世史もかなり面白く読めますが、如何せん研究者の多い近現代史はわざわざコレを読まずとも、
といった感じで、少し弱いかもしれません。
全体的には、手堅くお勧めできます。
推奨度
★★★★
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ローマ・ゲルマンの世界からフランク帝国へ ドイツ史のあけぼの─ある戦場跡をめぐって ローマ帝国時代のドイツとヨーロッパ
教会国家としてのフランク帝国 神聖ローマ帝国とヨーロッパ 「ドイツ国」のはじまり 初期中世帝国の確立 帝国の拡大とイタリア政策中
世的世界の理解のために カール四世と中世後期のドイツ 中世後期のドイツとヨーロッパ カール四世とボヘミア王国
ハプスブルク家マクシミリアン一世と帝国改革 宗教改革時代のドイツとヨーロッパ 教皇庁とヨーロッパ諸国
宗教改革と皇帝、諸侯 ドイツとヨーロッパの宗教的分裂 絶対主義の歴史的役割 三十年戦争の災害と復興の課題 ドイツの絶対主義
絶対主義的改革の時代 ドイツ統一への道 「はじめにナポレオンありき」 ウィーン体制 1848年の革命 ビスマルクによるドイツ統一
ドイツ帝国の光と影 ドイツ帝国の構造 ドイツ帝国の政治と経済 帝制期ドイツの社会の諸相 第一次世界大戦とワイマル共和国
第一次世界大戦 ワイマル共和国 ワイマルは短命だったのか ナチス・ドイツと第二次世界大戦 ナチス・ドイツの「国民革命」
ヒトラーの世界観と第二次世界大戦 なぜあのドイツ人が…… 分割ドイツから統一ドイツへ 占領、そして二つのドイツへ
二つのドイツの相剋 統一ドイツとヨーロッパ
2005/02/18
『読書力をつける』 著:阿部謹也
1997 日本経済新聞社 198P
知のノウハウシリーズ。
勝手に好印象を持っていて何なんですがとてつもなく幻滅。
まず些細なところから云えば、表題と内容は全く外れています。
著者は“読書”というものを、書物を読むだけじゃなくてこの世の中のあらゆることを読む、
という意味で使用する、と最初に述べますが。
誰がそんなことを予測してこの本を買えるでしょう。
そして最大級に痛いところ。
著者は文中で、
哲学はあらゆる学問を包括するということを打ち出している中世の思想家フーゴーに同意しているのですが、
それにも拘わらず、哲学はどうやって生きるかを問うことだけでそれ以外に思想というものは有り得ない、
結局自分の周りから出発するものだけしか無い、と、激しく射程を狭めて限定してしまっています。
著者は“世間”というものを長年研究している人なのですが、
全編通して自分の立場が絶対的で他が間違っていると主張して憚りません。
そうではない、と否定しているところもありますが、そこはそこ、著者自ら云っているように、
口で述べる以上に態度で示されていて、ソレは口以上にモノを云っているのですよ。
部分部分面白く読める分だけ、余計に全体を通してしまうと読後の不快感が腹にたまります。
推奨度
★★
大見出し
何を読むか 「読書」を読み解く 「読む」とはどういうことか さまざまな読書論 読書の歴史 教養とは何か 「個人の教養」の誕生
「教養観」はどのようにしてつくられたか 集団的教養とは 生きる知恵を学ぶ─哲学とは何か ヨーロッパで最初の読書論
哲学とは「いかに生きるか」 歴史をどう見るか 「自分のなかに歴史をよむ」とは エリートの歴史と民衆の歴史