読書記録
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2005/04/23
『啓蒙主義』 著:ロイ・ポーター 訳:見市雅俊
2004 岩波書店 126P
ヨーロッパ史入門シリーズ。
本作の訳と解説は、前回のような変な体言止めが無く読みやすかったです。
啓蒙主義というと、どうしてもこれまでの研究の方向性からしてフランス中心、
そしてヴォルテールなどを中心とした高貴なものと思いがちですが、決してそういうわけではなく、
フランス以外の地域にもあれば、むしろ、ヴォルテールら以外の下部に於いても支配的なものではなかったのか、
と、従来の見方を批判しつつ最新の研究動向をうまくまとめた優れものの入門書。
まぁ、最終的には、まだまだこれからの研究に期待しましょう、というような括りになっているのですが、
それは確かにその通りで、メジャーながらもまだまだ研究の狭い分野なので、今後どうなるか楽しみです。
推奨度
★★★★
見出し
啓蒙主義とはなにか 目標は人間科学 啓蒙主義の政治学 理性による宗教改革 誰が啓蒙主義者か 統一性か多様性か
運動か、それとも心性か 結論─啓蒙主義は重要であったのか
2005/04/22
『ウィトゲンシュタインと精神分析』 著:ジョン・M・ヒートン 訳:土井紀子
2004 岩波書店 121P
ポストモダンブックス。
精神分析でも、特にヴィトゲンシュタインと関係が強いフロイト中心。
なので、その後の精神分析全体には云えないことも偶にありますが、
概ねヴィトゲンシュタインの駁論は絶妙なものでしょう。
精神分析は如何に上手く魅力的に患者を騙すか、っていうのは基本ですね。
推奨度
★★★★
2005/04/20
『ヨーロッパ大陸の哲学』 著:サイモン・クリッチリー 訳:佐藤徹 解説:野家啓一
2004 岩波書店 183P
1冊でわかるシリーズ。
このシリーズでなかったり、またはタイトルが違えば、また評価は変わったかもしれませんが、
さすがに入門書としてコレは如何なものか。
まず相応しいタイトルなら、『ヨーロッパ大陸哲学と英米哲学の違い』とか。
要は、「現象学・構造主義・ポスト構造主義と論理実証主義・言語分析哲学」の対立を描いたもの。
その共通している祖はカントを最後にして、後は全く世界を異にしている、と指摘。
ではどうしたらいいかということで、メルロ=ポンティやパトナムを持ち出しています。
まぁ、固有名が説明無しでバンバン出てくるので、激しく中級者向け。
推奨度
★★★
見出し
知識と知恵のギャップ 大陸哲学の起源─カントからドイツ観念論への道のり 眼鏡とものを見る目─哲学のうちの二つの文化
哲学は世界を変えられるか─批判と実践と解放と 何をなすべきか─ニヒリズムへの応え方
誤解のケーススタディ─ハイデガーとカルナップ 科学主義と非明晰主義─哲学の伝統的苦況を回避すること
「敢えて賢者たれ」─理論の徹底研究と哲学の将来性 いわゆる「ドイツ観念論最古の体系プログラム」
2005/04/18
『魔女狩り』 著:G・スカール/J・カロウ 訳:小泉徹
2004 岩波書店 126P
ヨーロッパ史入門シリーズ。
最近増えているらしい魔女狩り関連の本の中では勿論、今まで出版された全てに於いてもまず間違いの無い一冊。
少し前から最近の魔女研究まで、文化人類学やらフェミニズム学やらとにかくジャンル問わず引っ張ってきて、
快刀乱麻を断たんとばかりに次々に論駁していきます。
その論理が筋道立っていて明快なため読みやすく、最後まで引き込まれっぱなしで読み進めてしまうこと間違いなし。
いや、勿論人によりますが、このテーマが好きなら間違いなし。
胡散臭いオカルト本ではなく、きちんとした歴史学書なので、そのあたりもご安心を。
魔女狩りの終焉を、単純な18世紀のパラダイムシフトとして捉えてはいないところが最高でしょう。
推奨度
★★★★★
見出し
魔術と魔法 魔術(witchcraft)と妖術(sorcery) 日常の魔術(low magic)と高度な魔術(high magic) 魔術、魔法、法
魔女論はどのようにして学問的に定型化されたか 魔女迫害─地域研究 魔女迫害─誰が犠牲者になったのか 魔女迫害の原動力
魔女狩りを説明する 魔女迫害の理論 魔女が実在するという信仰は本当にあったか 魔女としての女性
魔女裁判はなぜ終息したのか 変化する信念
2005/04/16
『学問の方法』 著:ヴィーコ 訳:上村忠男/佐々木力
1987 岩波文庫 229P
スピノザやらライプニッツやらに比べると知名度が低いながら、
よく初期デカルト批判者として挙げられたり、歴史学のはしりとして挙げられたりと、
何かと話題性に欠けるような一部で熱狂的に迎えられてるような、
複雑な二面性を持つあたりがイタリア人だと思ってしまうヴィーコ。
そんな彼の初の大講演をまとめたものがこちら。
確かに、フランシス・ベーコンの系譜にあるなということがよく分かるでしょう。
まあまあ読みやすいのでデカルト派に不満を覚える人は手にとってみるのもよいかと。
ローマに於ける法賢慮というのは、なるほどと納得。
推奨度
★★★
大見出し
講演の構成 諸科学の道具から得られるわれわれの学問方法の利点 新しいクリティカの不都合
幾何学の方法が自然学に導入されることによる不都合 解析について(機械学との関連における)
われわれの学問方法は医事にいかなる不都合をもたらすか
われわれの学問方法がそれの目的と関連して道徳と政治の学および雄弁にもたらす不都合 詩作について キリスト教神学について
賢慮に属する諸主題について技法集が編まれていることの不都合 法賢慮について 芸術作品の最良の手本について
印刷について 大学について 講演の結論
2005/04/14
『愛の断想・日々の断想』 著:ジンメル 訳:清水幾太郎
1980 岩波文庫 152P
前半の『愛の断想』については、正直退屈を通り越して鬱陶しくなってくるくらい。
自分がスレた人間だということをまざまざと思い知らされてしまいます。
いつか改めて読めば、心打たれることがあるのでしょうか。
後半の『日々の断想』については、まさに名箴言集。
引用したいものは幾つもありますが、とりあえずBCとしてはコレかなと。
「究極の最高の客観的価値は、これを主張することは出来るが、証明することは出来ない。
自分の価値というのは、証明すべきであって、主張すべきものではない」
まぁ、なかなかに難しいのですが……。
本棚に置いておきたい一冊。
推奨度
★★★★
2005/04/12
『科学は不確かだ!』 著:R・P・ファインマン 訳:大貫昌子
1998 岩波書店 165P
まさに、ウホッいい男、なファインマンさん。
謙遜を利かせた皮肉が脂タップリ乗っていて美味しいですよ。
とりあえず、次の引用に尽きると思います。
「人類が犯す唯一の過ちは、若気の性急さのあまり、答えがわかったと決めこんでしまうことです。
よし、これこそ答えだ、もう他の答えなど誰も思いつけるわけがない、と。
こうなると僕らは行き詰まってしまいます。
なぜなら現在の人類の限られた想像力のなかに、閉じ込められてしまい、
それを超えて広がることができないからです」
推奨度
★★★★
大見出し
科学の不確かさ 価値の不確かさ この非科学的時代
2005/04/10
『パウル・クレー 記号をめぐる伝説』 著:R・クローン/J・L・ケーナー 訳:太田泰人
1994 岩波書店同時代ライブラリー 164P
二人の著者が、それぞれ一編ずつ論文を書いています。
クローンの方は、ソシュール言語学からバルト、ラカン、クリステヴァなど、記号論まで手広く論じられていて、
その方面に通じていないと読みこなすのは相当苦を覚えることかと思います。
後のケーナーの方は、ソシュールにも触れていますが、ジョイスをメインとして文学寄りのネタで切り込んでいて、
クレーの作品鑑賞も細かに論じているので、言語学を知らないごく普通の読者も読みやすいかと。
言語学をかじってみたいと思う場合は、美術論にまで手を出さなければならない、という典型的な例の良い本です。
推奨度
★★★★
大見出し
意味のかけらの宇宙─パウル・クレーの音節について パウル・クレーと書物のイメージ
2005/04/08
『エッシャーはなぜ不思議な絵を描いたのか』 著:マリアンヌ.L.トイバ 訳:本明寛
1983 日経サイエンス社 65P
エッシャー、私が二十世紀で最も好きな画家。
薄いなりに内容も薄いですが、文字がとかく無駄なほどに大きく、これは万人にお勧めしたいものです。
小学校高学年の教科書には、これくらいのものを載せたって構わないでしょう。
難しい漢字だって振り仮名を振ればOKですし、難しい単語だって、何のための国語辞典ですか、ってことですよ。
内容については、とても気になったことというか何というか、を一つ。
反転遠近図形を主題とした『相対性』という絵についてですが、パッと閃いたことが。
ある次元は一つ上位からじゃないと把握しきれないっていうのは、結構有名なことだと思います、多分。
三次元空間内にいる私達では三次元は知覚できずに、二次元による疑似三次元しか分からない、ってやつです。
で、人間どうしたって四次元の高みに昇ることなんて不可能なわけですが。
もしかしたら三次元を四次元から見るとしたら、『相対性』のような感じなのか、と。
それならばコレは決して不合理などということはないなのではないか、と。
ま、それだけです、それだけ。
推奨度
★★★★
大見出し
「花びんと横顔」─ルビンの実験 重大な雌伏期 平面から造形物へ─コフカの影響 等価の法則─ハロワーの研究
明るさの勾配と形の明瞭化 結晶の構造原理との出会い 反転遠近法─不合理図形 エッシャー芸術の本質
2005/04/07
『はじめて読むニーチェ』 著:湯山光俊
2005 洋泉社新書y 222P
ようやく来た!
ニーチェ入門の決定版!
私は「このニーチェ」を強く推奨します。
「この人を見よ」
読めば分かる、迷わず読めよ、と某レスラーみたいなことまで言いたくなるほど。
この一冊を読んでから、やっぱりますます自分の中ではニーチェは文学者だなという想いが強まりました。
まぁ、そんなカテゴライズは便宜的なものなので、
ニーチェはニーチェでありニーチェに過ぎないされどニーチェ、っていうのが真理なんですが。
美味しいトコ取りじゃないか、という批判もあるかもしれませんね。
でも、入門書っていうのはそういうモンでしょう。
入門書を読む弊害っていうのもありますが、ことニーチェに関しては、私はそんなもん一切無いと思いますが。
推奨度
★★★★★
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フリードリッヒ・ニーチェ年代記─「三段の変化」 駱駝の時代1844〜1871 獅子の時代1872〜1882 幼子の時代1883〜1900
フリードリッヒ・ニーチェの思想─「発見」と「発明」 ニーチェがおこなった「発見」と「発明」について
「アポロンとディオニュソス」という発見と発明 アポロとディオニュソスによる生の治療 アポロとディオニュソスの和合
ハイデガーとバタイユにとってのニーチェ─デフォルメされたアポロとディオニュソス 「永遠回帰」という発見と発明 実験
永遠回帰の科学的な証明 概念を血肉にする 「力への意志」という発見と発明 力を組み立てる 力の純粋な衝突 ニヒリズムの心理学
ルサンチマンの心理学 詩という方法 効果としての文体 音楽的文体は未来を予感する 新たなるリート 「アフォリズム」という方法
あらゆる書物 <永遠性>の形式 デリダにとってのニーチェ─アフォリズムという接木 キャラクターで語る方法 人物で思考する
ヴァーグナーというキャラクター ドゥルーズにとってのニーチェ─概念的人物 系譜という方法 文献学的能力
系譜という方法と力への意志 アドルノにとってのニーチェ─系譜の方法としてのパラタクシス