読書記録
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2005/05/09
『古代ローマの市民社会』 著:島田誠
1997 山川世界史リブレット 90P
90年代流行りの社会史ですが、古代ローマの社会史をこんな手軽に読めるという点で大変美味しい一冊です。
山川の世界史リブレットは高校生でも読めるレヴェルに書かれているものが殆どですので、
社会史というとつまらなそうなイメージがあるかもしれませんが、歴史は門外漢という人でも十二分に読めます。
まぁ、それほど市民個人個人に肉薄しているものでもないです。
推奨度
★★★★
大見出し
ローマ市民社会のイメージ ローマ市民社会の形成 ローマ市民と政治 ローマ市民と家・社会
2005/05/08
『ローマはなぜ滅んだか』 著:弓削達
1989 講談社現代新書 241P
古代ローマ研究では大御所な御方。
これを初めて読んだのは高校生のときで、今回は再読。
当時の、単純に面白いという好奇心だけでの視座とは全然違う目で読めていることが実感できて、
普通に面白かったのと別の意味でも面白かったです。
叙述によって時間軸が飛びまくるので、突然話題が変わって、これはさっきまで言っていた五賢帝の時代なのか、
それとも帝政末期に移ったのか、共和政期に移ったのか、と、少し考えなければならなくなります。
で、そのまま考えてもよく分からないままということがあったりもします。
そういう難点に目を瞑れるならば、オススメ。
結構エロエロです。
ローマ滅亡の推論は、16年経った今なお、有力なものだと思います、少なくとも私はかなり賛意的。
推奨度
★★★★
大見出し
「ローマはなぜ滅んだか」となぜ問うのか ローマ帝国の繁栄とは何か 道路網の整備 ローマ帝国の経済構造 経済大国ローマの実体
爛熟した文明の経済的基礎 悪徳・不正・浪費・奢侈・美食 性解放・女性解放・知性と教養と文化 ローマ帝国の衰退とは何か
第三世界(「周辺」)への評価の岐れ道 ローマはなぜ滅んだか
2005/05/06
『[ヨーロッパと中世・近代世界]の歴史』 著:ジャック・ル・ゴフ 訳:酒井昌美
1997 多賀出版 132P
西洋史やってて知らない人がいたら、そいつはモグリというくらいに超有名なル・ゴフ。
ですが、私はこれがル・ゴフの著作読むの初めてでした。
感触としては、よくありがちな煙に巻くような偉ぶったものではなく、好印象。
翻訳がそれだけ上手というのもあるのですが、その割にはこの訳者さん、解説の日本語は少々下手でした。
で、内容は、最近はもうル・ゴフの影響を受けた人ばかりなので、
そういう人達の話を聞いてきていると、特に目立って新鮮なことはありませんでした。
ル・ゴフの視点がサラッと概観できるという点は勿論として、
中世〜近代までの論点の確認もできるということで、初学者には向いていると思います。
散々言い尽くされてきているであろう諸々の点は他のレヴューに任せるとして、
やっぱり気になったのはボードリヤールの近代否定にル・ゴフが全面とまでは云わないけれど賛成して、
ポスト・モダン概念の長所をわずかたりとも認めないということ。
書かれた時代が時代だから仕方ないと思うのですが、やはりもうここまで情報化が進むと、
近代の次まで考えずにはいられないでしょう。
思いっきり暴論を云わせて貰いますと、私の6割程度の考え(非十割)としては、
近代の始まりと現代の始まりは、二つの革命の普及から始まると考えています。
乃ち、印刷革命とIT革命。
IT革命普及前までは、全部近代。
まぁ、IT革命の方は、グーテンベルクのように、ノイマン一人の功績として称えることはできないですが、
あの怪物さんは現代を築いた人として、もっと注目に値する人だと思うのですよ。
暴論終わり。
推奨度
★★★★
大見出し
その誕生と老齢化
2005/05/04
『アンシャン・レジーム』 著:ウィリアム・ドイル 訳:福井憲彦
2004 岩波書店 120P
ヨーロッパ史入門。
アンシャン・レジームというのは、もう、世界史を一回でもかじれば聴き慣れることとなる言葉かと思います。
旧体制、と訳されるのが一般的でしょう。
このアンシャン・レジームは、色々の時代、人々によって、どのように語り尽くされてきたか、
そして、現代に何故アンシャン・レジームが深く語られるようになってきたのか、
ということを短くまとめあげてある美味しい入門書。
トクヴィル、バークは勿論、ウォーラーステインなども取り上げられてます。
同シリーズの『啓蒙主義』と併せて読むのが吉ですよ。
推奨度
★★★★
見出し
アンシャン・レジームという観念の変遷─1789年から1914年まで はじめのうちの定義 意見の分裂 学問的分析に向かって
さまざまなアンシャン・レジーム 政治的な側面からの考察 社会的な側面からの考察 経済的な側面からの考察
文化的な側面からの考察 ヨーロッパの尺度からの考察 アンシャン・レジームの範囲 アンシャン・レジームの開始期について
アンシャン・レジームの終了期について
2005/05/02
『サイードと歴史の記述』 著:シェリー・ワリア 訳:永井大輔
2004 岩波書店 119P
ポストモダンブックス。
サイードがお亡くなりになってから一年半も経つのかと思ってしみじみ。
内容は極めて平易、しかし奥は深いです。
サイードの立場を批判している人達も取り上げられますが、著者からすればそんなの取るに足らない反論のようです。
確かに私もその通りだと思いますが、サイードに詰めが甘いという点があるのもまた事実。
フーコーがもう少し長く生きていたら、サイードとの相互影響で面白いことになりはしなかったかと、
とても惜しい気持ちです。
まぁ、サイード抜きにしても、フーコーが長生きしたら、それだけ面白くなったでしょうけれど。
推奨度
★★★★★
2005/05/01
『リオタールと非人間的なもの』 著:ステュアート・シム 訳:加藤匠
2005 岩波書店 112P
ポストモダンブックス。
解説にてですが、まさかスピヴァックが話題として取り上げられているとは驚きでした。
日本ではマイナーですからね、超悪文としてアメリカでは有名なのですが。
まだまともなジェンダー論者として読めますよ、超悪文ということを別にしたら。
で、本論の方では、サイボーグジェンダーとか何とかいう話題が出ていてもうネタとしか思えない部分もありますが、
ジェンダー論は捨て置いて、
リオタールの人間/非人間問題、単純な科学技術への警鐘というには簡略化し過ぎている問題を、
簡単に概観するにあたっては恰好の入門書。
内容が難しくないので、SF好きなんかも読んでおいて損はないかと。
推奨度
★★★★★
2005/04/30
『アリストテレス 何が人間の行為を説明するのか?』 著:高橋久一郎
2005 NHK出版 126P
シリーズ・哲学のエッセンス。
著者曰く、アリストテレスの言っていることは当然のことなんだが記述が難しい。
いやそれはもうその通りなのですが、この本までそれを真似なくてもいいのではと思いました。
というのも、アリストテレスが難しいと言われる由縁は、独特な用語の使い回しによるものなのですが、
見事にこの本はそれを真似していますので、読みながら「」付きのものが多くて多くて。
アリストテレスに影響を受けるというのは、こういうことなのですか。
ハイデガーも、同じく影響を受けて独自な用語をドイツ語の特質全開にして論を展開させていましたが。
まぁ、ハイデガーとは勿論違って、この本は、結論部だけ読めば、分かり易く簡単なものです。
推奨度
★★★★
見出し
意志の弱さとは何か 「意志の弱さ」という「現象」 なぜそうしないの? 問いの背景 アリストテレスのテキスト
動物の行動のもとになるものは何か 認識─欲求モデルと実践三段論法 動物を動かす部分 感性能力と欲求能力 快楽と苦痛
表象と感情 欲求が動物を動かす <不動の善> 実践三段論法と行為の必然性 選択と思案、人間の行為に先立つもの
本意から選択へ 思案 目的と手段 全体と部分 選択される行為の個別性と思案 本意か無知か 強制による「行為(?)」
「無知ゆえの」行為 いかにして善き人となるか 「意志の弱さ」という問題の形式的な解決 解決 三つの傍証 「性向」としての徳と思慮
完成としての性向 ことわりと知 徳と思慮 非難と責任の根拠 責任 徳と悪徳 善と悪 「一つの行為」という物語を作る
2005/04/29
『感性の歴史学─社会史の方法と未来』 著:アラン・コルバン 訳:渡辺響子
2000 御茶の水書房 61P
神奈川大学評論ブックレット。
キーワードは、そのまま感性の歴史学。
いやだからそれは一体どのようなものなのか、というのは、
コレ一冊読んだところで満足いくように説明できるようにはなりません。
確実に云えることは、民衆の生活レヴェルにまで降りていけ、ということですね。
推奨度
★★★★
見出し
民族歴史学と感性の歴史─歴史の一手法 歴史人類学と歴史の方法 構造主義的人類学の影響 身体の歴史
社会の想像力と感性の歴史 『娼婦』『においの歴史』『音の風景』 『記録を残さなかった男の歴史』 歴史学の方法と「感性の歴史学」
博士論文と「感性の歴史」 ミシュレとその影響 パラン=デュシャトレと『娼婦』 学生の博士論文とテーマ 現代の問題と歴史学の方法
歴史学と対象 無名の木靴職人ピナゴ 現代の問題と歴史叙述 海岸景観保護の運動
2005/04/28
『初期キリスト教とローマ社会』 著:島創平
2001 新教出版社 186P
これもまた手堅くまとまっている良著。
どちらかというと、初期キリスト教を語るというよりは、古代ローマを中心に据えています。
ネロが本当にローマ大火の犯人なのかというのは、私自身の考えとしては、そりゃ無いだろうと思いますが。
諸説を引っ張ってきては、うまく援用したり論破したりして小気味良い。
荒井献氏からの批評に対する反論も、的を射ていて、この人の持っている初期キリスト教論は、
悪く云ってしまえば良いトコ取りなんですけれど、まぁ、それだけ良いってことです。
推奨度
★★★★
大見出し
初期キリスト教の宗教的背景 初期キリスト教の歴史的背景─ローマ元首政の特質 「暴君ネロ」の再検討
キリスト教徒迫害(前期)の再検討 キリスト教と性倫理 キリスト教と女性 キリスト教と奴隷制
「ローマの平和」とパウロ─初期キリスト教と政治の問題
2005/04/27
『グノーシスとはなにか』 著:マドレーヌ・スコペロ 訳:入江良平/中野千恵美
1998 せりか書房 169P
翻訳モノのグノーシス入門書としては手堅い一冊でしょう。
勿論、特に目新しい見解もありませんし、これだけでは足りない点もありますが、
深くやろうと思ったら大貫隆氏やハンス・ヨナスのものを読めばいいわけですし、
併せて専念10月に出た日本語の入門書を読めば、間違いはありません。
推奨度
★★★★
見出し
言葉、イメージ、そして象徴─思考の諸々のかたち 身体は一つの牢獄である 天球を通じての再上昇
「私は汝にして、汝は私である」─結婚の神秘 グノーシス主義者と社会 キリスト教徒から見たグノーシス主義者
彼ら自身から見たグノーシス主義者