読書記録
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2005/05/22
『チョムスキーとグローバリゼーション』 著:ジェレミー・フォックス 訳:坂田薫子 解説:生井英孝
2004 岩波書店 111P
言語学者としては超一級に有名で認められているチョムスキーですが、
本著でも散々言われ尽くしているように、批判者としては一匹狼的な彼。
今現在はそんな彼に結構スポットライトが当たっていますが、本著では、
チョムスキーがどのようなことを言ってきているのか、そしてそれはどれくらいの妥当性があるのか、
反対者達の言い分は何か、そもそもチョムスキーの批判する現代の帝国とは、などなどと語られていきます。
私なんかはチョムスキーの立場にかなり近いものだったりするのですが……。
まぁ、彼のようにおおっぴらにはなれませんね、やっぱり。
いやそもそもチョムスキーだからこそ影響が大きいわけで、
私含めて煩瑣な凡人共が何をほざこうとも見向きもされないでしょうけれど。
そういえば先日の講義で、高校の世界史の先生が、
グローバリゼーションを肯定的に語っているのを聞いて嫌気が差しました。
推奨度
★★★★
2005/05/21
『ハイデガーとハバーマスと携帯電話』 著:ジョージ・マイアソン 訳:武田ちあき 解説:大澤真幸
2004 岩波書店 126P
ポストモダンブックス。
本著も例に漏れず、優れた解説付き。
この大澤氏の解説は、特に際立って優れていると思います。
私は本論はサラッと流してでもいいですから、解説を強く読むべきだと推します。
ハイデガーとハバーマスのコミュニケーション論から、携帯電話普及のメディア論を切り込んでいくという手法は見事。
ですが、著者は携帯電話を持っていない上に、書かれた当時は2001年くらい。
しかもここ日本にいる私達からしたら、いやそれは違うんじゃないか、と首を傾げることが多かったりします。
そんなときにモヤモヤ感を払ってくれるのが、この大澤氏の解説なのです。
例えば、純粋なコミュニケーションとしてワンギリというものを例に挙げ、
著者の論を斬り捨てるところは時代劇さながらに爽快。
解説ボーナスで星は5つ。
京大院生のヴィリリオについての論文に強く負っているとのことですが、そちらも激しく気になります。
推奨度
★★★★★
2005/05/20
『日本史の考え方』 著:石川晶康
2004 講談社現代新書 243P
東大二次入試を受ける高校生というレヴェルを想定して書かれているものなので、
かなり簡易な文体で結構面白い概念を説明していて役立ちます。
時代区分論というのは歴史学に於いてはそれだけで一つの重大テーマになるわけですが、
ここでは外圧と内乱、そして統一という流れになる、「白村江」と「ペリー」を重要なポイントに据えています。
まぁ、この本のポイントなどはそこらの書評に書かれていると思いますので、そちら参照で。
日本史はさっぱり門外漢なので、頷くばかりです。
推奨度
★★★★
大見出し
「日本」以前の日本史 さまざまな日本 日本半島に囲まれて日本海が湖だった時代 列島の形成と縄文文化 三つの「日本」
いつも極東有事の列島 邪馬台国の謎 ヤマト政権 大きいことはいいことだ 謎の四世紀 ワカタケルの発見 治天下大王 「日本」誕生
朝鮮半島との交流 いつになっても石のまま 古墳より寺 統一王朝・隋の出現 ため口は許されるのか 白村江への道 百済滅亡
ろくろく見ないで白村江 帝国「日本」の虚実 律令は永遠に不滅ですか 律令体制の二重構造 あくまでも「帝国」 戸籍と軍事が優先する
「神」がめざす中国化 「日本」的な古代国家の生成 儒教・仏教で身を固める神、そして天皇 桓武新王朝 10世紀の大転換
古典的古代国家の成立 「帝国」の再生 四つの口 何も変わってはいなかった 四つの口 失われた10年 すりかわった中華
アメリカの砲艦外交 尊皇攘夷から開国へ 内乱の始まり 幕府消滅 外圧から内乱へ 戊辰戦争 よみがえる古代としての明治
三つの「日本」の再生 沖縄は「日本」なのか 北海道を「日本」にする 三面外交の帰結 いつも極東有事の「日本」
墨で塗りつぶされた国 早熟な西欧型「日本」 日本語を捨てよう 英語時代 言葉の大量生産 すぐに帰った渡来人
今もまだまだ江戸時代 極東有事で軍事優先 天皇の軍隊 仲間で作った内閣制度 神の恵みの「大日本帝国憲法」
100分の1の民主主義 極東有事の利益線 儒教的な天皇 今もやっぱり江戸時代 神の説く儒教道徳 「帝国」のゆくえ
天武を始祖とする物語 明治天皇はなぜ神となったのか 「神」から「象徴」へ アメリカを中華とする象徴天皇制
2005/05/18
『フーコーとクイア理論』 著:タムシン・スパーゴ 訳:吉村育子 解説:土屋恵一郎
2004 岩波書店 103P
ポストモダンブックス。
このシリーズは大抵そうなのですが、どちらかというと本人よりもフーコーの批判的後継者を強く描き出しています。
クイアの重要性、そして、クイアの限界性についても解説で批評されているあたりが、バランスとれていて良いです。
このシリーズでは、解説を先に読んでから本論を読むという順序をオススメします。
まぁ、大抵の人が、後書きの方から読んでいるとは思いますけれど。
推奨度
★★★★
2005/05/17
『数学者は城の中?』 著:H・M・エンツェンスベルガー/岡本和夫 訳:渡辺正
2003 日本評論社 75P
詩人エンツェンスベルガーが、一般人の数学離れについて語った講演を収録したもの。
で、それを読んで、数学者の岡本氏が書いた論文を収録。
どちらも簡単ながらに読み応えがあって美味しい本です。
私は後者の方をオススメしますが、前者だって面白いですよ。
岡本氏が、アンケートで数学の授業を何語で教えているか、と訊かれたときの答えが、さすが。
「数学です」
推奨度
★★★★
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上がったきりの跳ね橋─数学は文化の外に? 都会の孤独─数学文化の良知
2005/05/16
『モンテーニュ』 著:ピーター・バーク 訳:小笠原弘親/宇羽野明子
2001 晃洋書房 136P
およそ哲学の本と銘打っているものは、秩序立っているべきだという主張に対し、異論は少ないでしょう。
ということで、モンテーニュもニーチェ同様に、私の中では文学者です。
文学作品なら、そこから何を汲み取ろうが無限解釈性の名のもとに自由なのですよ。
本著は、多角的に“16世紀の”モンテーニュという人物像を描いていったもの。
モンテーニュを考える際に於いての道しるべとなるものでしょう。
ピーター・バーク自身が優れた思想史家なので、安心して読める良著です。
さて、こんなことを考えてみました。
モンテーニュがこれを読んだとしたら、こう言うでしょう。
「あぁ、面白い本だったよ。
……ところで、このモンテーニュっていうのは一体誰なんだい?」
推奨度
★★★★★
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モンテーニュとその時代 モンテーニュと人文主義 モンテーニュと懐疑 モンテーニュと宗教 モンテーニュと政治
心理学者としてのモンテーニュ 民族誌学者としてのモンテーニュ 歴史家としてのモンテーニュ モンテーニュと美学
『エセー』の展開
2005/05/14
『哲学のエチュード』 著:道躰滋穂子
2002 水声社 154P
哲学について盤石とした基礎入門書をお薦めするとしたら、コレはそのうちの一冊に挙がります。
哲学の主要テーマというのは幾つかに大別できるものですが、これはあらかた網羅しています。
もちろん、こんな薄い本なので、専門家から見れば足りないところも多いですが。
それにしても、これだけの人達の名が挙がってきます。
アウグスティヌス、アリストテレス、ヴィトゲンシュタイン、ヴェイユ、エピクロス、オリゲネス、カント、キケロ、
キルケゴール、ゴルギアス、サルトル、スピノザ、ゼノン、ソクラテス、タレス、デカルト、デモクリトス、トマス・アクィナス、
ニーチェ、ハイデッガー、パウロ、パスカル、パルメニデス、ピュタゴラス、ヒューム、フィヒテ、フッサール、プラトン、
プロティノス、ヘーゲル、ベルクソン、メルロ=ポンティ、モンテーニュ、ヤスパース、ライプニッツ、ラッセル、
ルクレティウス、ロック。
意外と、「アレ、コイツとコイツは同じようなことを言っていたのか!」という目から鱗的なものがあるのが、
こういった入門書の美味しいところです。
入門書をバカにするモノは灯台もと暗しの罠に陥りますよ。
推奨度
★★★★
大見出し
哲学とは何か─そして人間はなぜ「哲学する」のか 「懐疑」と「知」について─あるいは「真理」の有無とその認識について
「真の実在」と「真の美」について─「真の美」は目に見えるのだろうか 「観念」について─先天的か後天的か
「運動」とは何か─その哲学的な意味 「時間」とは何か─人間と時間 「存在」の究極原因─われわれはどこから来たのか
「自由」について─われわれは「自由」はあるか 「自己」と自己以外のもの─観念論と実在論
われわれはどこに行くのか─円環史観と終末史観
2005/05/13
『はじめてのイタリア語』 著:郡史郎
1998 講談社現代新書 203P
出版が講談社の現代新書ということもあり、よくある文法やら会話やらが中心となったような参考書ではなく、
あくまで読み物として、二時間ほどで読み通せるような、読み通した後はイタリア語がこういう言語なんだ、
と輪郭が掴めるような、そういう面白い一冊です。
この単語の起源はこういうところから来ている、とか、普通の参考書には書いていないことまで書かれていますので、
第二・第三・第四外国語とか数多くやっていくなんて怖い怖い、とか思っているような人にもオススメですよ。
まずもって、イタリア語は発音がとにもかくにも簡単なので、横文字単語が出てきても恐れることなかれです。
推奨度
★★★★★
大見出し
イタリア語はこんなことばです 発音は簡単、でもていねいに言おう 生活のなかの基本イタリア語 性・数と冠詞 文の組み立て方
ふたつの「過去」 言いたいことを言うための表現法 イタリア語らしさ こんなことば、あんな由来
2005/05/11
『ワーグナーと人種差別問題』 著:ゴットフリート・ワーグナー 訳:岩淵達治
1995 サイレント・マイノリティのBOC出版部 96P
このバイロイト達への反逆精神がもう惚れ惚れしてしまいます。
人間的には、リヒァルトよりも断然優れたものでしょう。
何だか死後になってからしか世界的に評価されなそうな感じの御方ですが、
実はかなりの積極的実践家として評価できる人物だと思いますよ。
日本ではいまいちマイナーで、やっぱりこの本の出版元もマイナーのような……。
ハンナ・アーレント的な匂いがして良いです。
推奨度
★★★★
大見出し
ワーグナーの反ユダヤ主義─今日に至るまでの矛盾と一貫性
リアリティーとヒューマニティーの喪失─リヒャルト・ワーグナーの祝祭激理念とバイロイトにおけるその実現
ニーチェとワーグナー─ディオニュソス的芸術家から過去の解明者への道一名リヒャルト・ワーグナーから離脱するニーチェ
瞬間に生き、永遠に生きよ─テレジン収容所における文化と音楽
ヒトラー以後に生まれたドイツ人とユダヤ人はいかなるアイデンティティーを持つか?
2005/05/10
『ローマ人への20の質問』 著:塩野七生
2000 文春新書 204P
歴史学としての立場からみてしまうと、やっぱり言語道断な論の展開があります。
が、ただ、読み物として面白いことは否定できず。
映画を見て、その時代の感覚を味わうような、そんなようなものです。
間違ってもコレを読んで、論文の参考文献に挙げるようなことさえしなければ、
一般読者にはオススメできます。
推奨度
★★★★
大見出し
ローマは軍事的にはギリシアを征服したが、文化的には征服されたとは真実か? ローマ人の諸悪なるものについて
都市と地方の関係について 富の格差について 宿敵カルタゴとの対決について 古代のローマ人と現代の日本人の共通点
<パクス・ロマーナ>とは何であったのか ローマの皇帝たちについて 市民とは、そして市民権とは何か
多神教と一神教との本質的なちがいについて ローマ法について ローマ人の都市計画 真・善・美について
<パンとサーカス>とは何であったのか 自由について 奴隷について <イフ>の復権は是か非か 女について 蛮族について
なぜローマは滅亡したのか