読書記録
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2005/10/23
『『パンセ』数学的思考』 著:吉永良正
2005 みすず書房 146P
理想の教室シリーズ。
パスカルの最基底はあくまでも数学的思考だということを強く前面に出した一冊。
パスカル研究専門者ではないですが、パスカルへの偏愛っぷりはかなりのものがあります。
他のパスカルを紹介した本から引用して、それを誹謗中傷と云いますが、
一つは明らかにそうとしか思えませんけれど、もう一つはまぁ妥当性ある文章と思えたりします。
サイエンスライターらしく、現代科学の論を幾つも、例えばフラクタルだとか量子力学だとかを紹介し交えながら、
パスカルの時代を突き抜けていた点も強調。
シリーズのコンセプトらしく高校生くらいでも読める平易な文章で面白いです。
推奨度
★★★★
見出し
パスカル『パンセ』より 考える葦(B347、B348) 永遠の沈黙(B205、B206、B208) 人間の不釣り合い(B72) 無限と無、賭け(B233)
宇宙空間の永遠の沈黙 「考える葦」は日本人の常識? 頭を使えば、それでいいのか モラリストは道徳家ではない
いま、ここ、このものへの問い 『パンセ』という本の歴史 パスカルの哲学宣言 宇宙の無限の広がりのなかで
マトリョーシカ人形とフラクタル ニュートンの絶対空間と絶対時間 静的な無限宇宙から動的な膨張宇宙へ 無限大と無限小の中間
無限をめぐる三つの問題 進化というものの見方 因果律が成り立たない世界 現代科学のダイナミックな宇宙像
人間は無限大と無限小の中間者 『パンセ』を読むなら『エセー』も アキレスはカメに追いつけるか 自我とは憎むべきものである
神に向かって見るまえに跳べ 沈黙する宇宙と泡立つ真空 パスカルの数学的思考 読書にも適齢期がある 古典や聖書を読む意味
「これなに? あれなに?」の子供時代 幾何学を“発見”した12歳の少年 射影幾何学、計算機の発明、真空の実験
社交生活、賭け、確率論 パスカルは最後まで数学者だった 「愚かさ」に賭ける理性の逆説 「心」の役割と三つの秩序
無限大と無限小は手なずけられたか パスカルへの誤解をとこう
2005/10/21
『参勤交代』 著:山本博文
1998 講談社現代新書 219P
参勤交代が幕府統治の核!というのは非常によく分かりました。
まず意識改革こそ要、というのをよく分かっているあたりが流石だなと。
しかし盤石なように思えて、
実はヤジロベーのごときグラグラ感の上にあったってことなんでしょうか、幕末からのあの崩れっぷりは。
黒船来航の衝撃が本当に基盤を根こそぎ葬り去るような強さだったとはなかなか思いがたいものです。
参勤交代イラネな論が出ているからというのが大きい気もしますが、そうなってくると、
冊封の制度としてはほぼ抜かりないものということですよね。
ところでその見事な参勤交代制、全く同じものではないにしろ他で類似制度を見ることはないんでしょうか。
うーん、何か調べればありそうな気もしますが……、日本だけの特別な変わりモノ制度?
興味深いですね。
推奨度
★★★★★
見出し
万延元年の江戸勤番武士たち 参勤交代の歴史 参勤交代の源流 参勤交代制の成立 上米の制と参勤交代 参勤道中
参勤の手続き 参勤の準備 他藩領内の通行儀礼 大名と本陣亭主 参勤交代と道中事故 道中法度と道中異変
幕府役人や他藩との紛争 参勤交代と藩財政 参勤交代の人件費 藩財政に占める参勤交代経費 大名の家格と先例
参勤お目見え登城 参勤交代と家役 参勤交代制度の終焉
2005/10/20
『神風と悪党の世紀 南北朝時代を読み直す』 著:海津一朗
1995 講談社現代新書 215P
なるほど、今まで何故だろうと思っていた疑問がかなり氷解していきました。
南北朝時代の研究が何故遅れていたか、近代天皇持ち上げプロパガンダのためですか。
研究成果は象牙の塔に押しやって、教育現場では古臭い非実証的なことを教える、うむ、まさにその通り。
著者は本著をものしたときにまだ36歳、期待の新星って感じですか。
書きたいことは色々ありますが、とにかく一口に言えることとしては、中世面白いなと。
ただ、面白いの域を超え出られず、研究の方にどう活かしていくかはまだまださっぱりですが。
推奨度
★★★★★
見出し
異国の襲来 彗星 正安の蒙古襲来 十四世紀のキーワード 神国の誕生 中世の神風 神国日本の民衆運動 悪党の烙印
敬神の世と悪党 殺生禁断と悪党 徳政と伊勢神道 神領興行法 伊勢神宮の復権 荘園社会の危機 宇佐八幡宮の「再建」
社家改革としての徳政 正和の神領興行法 後醍醐天皇の専制 建武政権の徳政 地域権力の自立と建武政権 神国日本の行方
転換期の日本社会 「天に二日なきがごとく」 南北朝時代研究の復権
2005/10/18
『中世の天皇観』 著:河内祥輔
2003 山川出版社 102P
日本史リブレット。
これは読んでいてとても面白く感じれられました。
やっぱり思想というか心性系の方が社会史よりも好きなんだなあと実感。
中世の“神国”と近代の“神国”ってのは全然概念が違うものなんですね、
それをあたかも同じであるかのように使った、というか使っている、使わせている、教えているあたりが、
姑息というか何というか。
教育の歴史と歴史学の乖離っていうのは、世界史より日本史の方が甚だしいというのが結構実感されてきました。
それにしても、『愚管抄』と『神皇正統記』に一気に興味を惹きつけられましたよ。
武士の天皇観と貴族の天皇観に大きな違いがあり、
それが政治状況を一変させる影響を持っているとは、何とまぁ……、
しかし、ヨーロッパに於いても似た例ってあったかどうか?
ヨーロッパではほとんど貴族=騎士ですからね、ノーブレスオブリージュ。
推奨度
★★★★★
見出し
「万世一系」の天皇イメージ 現代人の天皇イメージ 「万世一系」イメージ由来 「万世一系」イメージの特徴 『愚管抄』と『神皇正統記』
中世にさかのぼる 『愚管抄』の成立 北畠親房の生涯 『神皇正統記』の成立 『神皇正統記』の性格 正統(ショウトウ)の理念
「正統」を著す 「第◯◯世」の天皇 「正統」とは何か 「正統」理念の天皇系図 「正統」のイメージ 中世人と「正統」理念
「万世一系」イメージと『神皇正統記』 「正統」理念系図の見方 光厳天皇と「正統」 安徳天皇と後鳥羽天皇の場合 傍流から「正統」へ
後嵯峨天皇の場合 後醍醐天皇の場合 「正統」の不在 「正統」の固化 「神国」と天皇 天照大神と天皇の系譜 天照大神と「正統」
『古語拾遺』と「天壌無窮の神勅」 「天孫降臨」と朝廷 「侍殿防護の神勅」 八幡神の登場 神と「正統」 神と天皇
「御うしろみの臣下」と摂関 神と貴族社会 君臣共治の思想 『愚管抄』『神皇正統記』と摂関制 皇位継承問題と天皇観 天皇の廃位
神意の代行 君臣のバランス 『愚管抄』の後鳥羽上皇批判 承久の乱の勃発 大江広元・三善康信の役割 幕府の勝利と神国思想
守貞親王と後鳥羽上皇 鎌倉幕府と皇位継承問題 室町幕府と皇位継承問題 尊号一件(天皇観の相克)
2005/10/16
『戦国時代、村と町のかたち』 著:仁木宏
2004 山川出版社 102P
日本史リブレット。
江戸時代の藩が形成される前段階として、看過できないのが「国」ということですか。
前書きによれば、従来は村落共同体などの研究をするとしたら、その経営などが中心になされていたとのこと。
本著は、読んで得た感触としては、畿内を中心地として設定し、場所的な視座で広く見ていくものですね。
交通の要衝である村が都市的性格を持つようになり、そこで重要な役割を果たしたのがその土地の有力者、土豪。
面白い着眼点を得ることはできましたが、
自分の知識がもっとしっかりしていればさらに多くのものが得られた気がして勿体なく、悔しく思います。
昨日読んだものよりは読みやすかったですが、
日本史はこんなリブレットでも入門者にとっては随分ハードルが高いものですね。
普通に、史学やってる人が哲学系の本読んだ時、こんな気持ちになるんでしょうか。
推奨度
★★★★
見出し
「国」と「所」の世界 村と町の結びつき 西岡の歴史環境 「神人在所」大山崎 土豪と村落共同体の登場 徳政をめぐる村と町
用水相論と中脈の村々 村・町の住人の力 軍事動員とその報償 「御家人」から「御被官人」へ 「国」と「所」の誕生
「惣国大儀」と「国の寄合」 「御被官人中」から「国」へ 「惣中」の都市・大山崎 「都市的な場」のかたち 大山崎と西岡徳政一揆
寺院都市・勝龍寺 神足城と神足村の職人たち 革嶋村と河島寺内 「都市的な場」と土豪 「国」・「所」と天下統一 三好政権と「国」
中心核としての勝龍寺城 直轄都市・大山崎 細川藤孝の「一職支配」 「国」と「所」の残影 「国」と「所」から描く戦国史
2005/10/15
『武士と荘園支配』 著:服部英雄
2004 山川出版社 107P
日本史リブレット。
リブレットというと大抵簡単で入門的なものばかりですが、
本著はかなり専門的で斬新な切り口になっているものと思います、
日本史そんなに詳しくないのでそうではないのかもしれませんが。
著者が云うには、荘園支配研究というと各個の事例を研究していくものばかりだったそうですが、
本著ではかなり全体視的な広い見方をしています。
それ故に、最初は何が武士と荘園支配なのかかなり不明瞭でしたが、
読み終えてみて、あぁなるほど、と得心いった感じでした。
かなり示唆に富んでいて面白い見方を得ることができましたよ。
一ついえることは、速度の掌握が権力の掌握というのは普遍的ですね。
推奨度
★★★★
見出し
山野河海─武具・兵士・分業 狩倉と皮革製品・武具 人吉荘狩倉と染革 皮染給と弓の課役 弓作と弦売 鹿狩り・鷹狩りの禁制
鷹栖・狩人・牧 檜楚(比曽) 紺灰 簗 流通体系の把握 市場在家 市日の騒擾 地頭の市場支配 津・倉敷・海上番役
九州随一の水軍・山鹿秀遠とその末裔 武士と河原の者 犬追物と河原の者 祭祀の場と「坂の者」「河原の者」─興行支配
佃と出挙 佃・正作の利点 佃・正作と井料・仏神田の併置 武士とはなにか─残された課題
2005/10/14
『ドイツロマン主義と文化学』
著:トーマス・アルトハウス/デトレフ・クレーマー/エルンスト・リバット 訳:伊藤秀一
2005 中央大学人文科学研究所 68P
ドイツロマン主義が最近のドイツで流行ってきているというのは知らなんだ。
どうりで、何だか最近、昔に比べたらヘルダーに関する著作がドイツで出版されているなあと思ったら。
本著の内容自体は、そう大したことでもないかと……、一般向け講演をまとめたものですので。
村上春樹氏がかなり高評価ですね、そうですか、何とも云いがたい。
推奨度
★★★
大見出し
二重現象 情熱としての恋愛、あるいは記号の帝国における情熱 ロマン化─『青い花』と『海辺のカフカ』
2005/10/13
『生物から見た世界』 著:ユクスキュル/クリサート 訳:日高敏隆/羽田節子
2005 岩波文庫 166P
岩波文庫版がようやく出たので、これは是非とも読まねば、ということで手に取る。
いやぁこの新訳は素晴らしい、訳がきっちりドイツ語との凄烈な格闘を通して行われたことが、
後書きからも窺えます。
環世界といきなり言われても何だそれは、ということになってくると思いますので、
後書きを先に読むことを強く推奨します。
しかし旧訳を読んでから数年経ちますが、改めて読んでみて、
ユクスキュルの環世界という考え方がずいぶんと自分の中に根付いているなあ、というのと、
そして本当にカント的だなあと強く思いました。
そしてカントのみならず、その彼に対立しているはずのヘルダー的でもあるというのが実に興味深いところ。
推奨度
★★★★★
大見出し
環境と環世界 環世界の諸空間 最遠平面 知覚時間 単純な環世界 知覚標識としての形と運動 目的と設計 知覚像と作用像
なじみの道 家と故郷 仲間 探索像と探索トーン 魔術的環世界 同じ主体が異なる環世界で客体となる場合
2005/10/12
『国民国家と経済政策』 著:マックス・ウェーバー 訳:田中真晴
2000 未來社 121P
農業理論、農政論メインの内容で、普段さっぱり読まない分野だけあって内容理解に乏しいです。
ヴェーバーの非資本主義的で封建的な一面を垣間見ることができるという点で貴重な公開演説ですね。
あぁ、あと、民族差別的な面も見られます、有名なことですが。
確かに民族の性格に合わせた農政を執る必要があるというのはその通りではあるのでしょう。
推奨度
★★★★
2005/10/11
『センス・オブ・ワンダー』 著:レイチェル・カーソン 訳:上遠恵子
1996 新潮社 60P
病み上がり第一に手に取りたくなった本。
多分これで4回目くらいでしょうか、読むの。
何ていうか、絵本を読んでいる気分になるんですよね。
絵本といえば、ノンタンって好きでした、勿論今尚。
あなたの最原点は?って問われたら、多分ノンタン。
子どもができたら読み聞かせてあげたいなあとか思ってます。
勿論、本著のことも。
推奨度
★★★★★