読書記録

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2006/03/02

『藝術とは何か』 著:福田恆存

1977 中公文庫 150P

何と言ったらいいのか微妙なところですが、一口に言えば、これは自己批判の一冊ですね。

いや違うよ、と云われればそれまでですが。

韜晦といえば韜晦でしょう、自分も巻き込んで串刺しにしている感じ。

ニーチェがソクラテスを想う時の気持ちってこんな感じなのかなぁ、というのが私の感慨。

推奨度

★★★★

見出し

呪術について 呪術の現代的考察 演戯ということ 演戯精神の衰退 選民の芸術 弁証の芸術 意匠の芸術 視覚の優位

カタルシスということ ふたたびカタルシスについて 芸術とは何か

 

2006/02/27

『余暇と祝祭』 著:ヨゼフ・ピーパー 訳:稲垣良典

1988 講談社学術文庫 120P

レジャー論の古典だそうです。

が、単純なレジャー論に終始しているわけではなく、

内容は著者専門のプラトン・アリストテレス・スコラ哲学やキリスト教学、そして社会学が前面に出てきています。

いわゆる概念史の試みの一つと考えていいでしょう。

余暇概念の本来の在り方を論じるために、労働概念の変遷をたどり、プロレタリアというものに行き着いて、

非プロレタリア化と余暇は等しくあると論じられます。

最後の最後は思いっきり抹香臭くなり、全面賛成はできませんが、読みやすく明快な名著です。

推奨度

★★★★★

見出し

西洋文化の基礎としての余暇 絶対化された労働 余暇の本質 真の余暇を実現するために

プロレタリアおよび非プロレタリア化について

 

2006/02/26

『問題群─哲学の贈りもの』 著:中村雄二郎

1988 岩波新書 205P

幅広く扱っていて流石だなあ、と思う一方で、

あまりに教科書的過ぎるというか通り一遍過ぎる説明でまったくさっぱり何のことやら、と思ったりも。

つまり、中村さんが噛み砕いていないところはダメダメってことです。

この少ない紙幅でこれだけのことをやらかそうというのだから、無理もないです。

ズザァァァァァーッと腹這いになって摩擦で熱がりながら哲学史を縦断する感じ?

まぁそこまで云う程難渋でもないですが。

この人物にこういう流れでの読み方があったか!という意外性は結構あると思います。

推奨度

★★★★

見出し

ロゴス嫌いは人間最大の不幸である─プラトン、ソクラテス、ニーチェほか

<トピカ><共通感覚><賢慮>の回路─アリストテレス、キケロ、ヴィーコほか

<五大にみな響きあり>あるいは<汎リズム論>─空海、O・パス、ミンコフスキーほか

<方法的懐疑>と<普遍数学>の夢─デカルト、ライプニッツ、セールほか

<哲学を莫迦にすることが真に哲学することだ>─パスカル、ヴァレリーほか

<悪とは関係の解体である>─スピノザ、サド、カントほか

<真なるものはつくられたものであり、つくられたものは真なるものである>─ヴィーコ、ホッブズ、マルクスほか

<視覚>の批判と<因果律>への誘い─バークリー、ヒューム、ユングほか

<制度>的世界と<主人と奴隷>の逆転─ヘーゲル、ケルゼン、ポパーほか

<神は死んだ>から<神々の再生>へ─フォイエルバッハ、ニーチェ、エリアーデほか

<純粋経験>から<場所>と<行為的直観>へ─三木清、西田幾多郎、ケネス・バークほか

<技術とは手段ではなく、露わに発く仕方である>─ルロワ=グーラン、ハイデガー、レヴィ=ストロースほか

<想像力とはイメージの囚われからの解放である>─サルトル、アラン、バシュラールほか

<言語の限界が世界の限界である>─イヨネスコ、ソシュール、ウィトゲンシュタインほか

<自己>と<他者>のパラドックス─フッサール、フーコー、レヴィナス

 

2006/02/24

『動物裁判 西欧中世・正義のコスモス』 著:池上俊一

1990 講談社現代新書 234P

随分古い本になってしまったなぁ、と感慨深い感じが。

私が本を読み始めて結構初期に読んだものなので、そう感じるだけなのですが。

当時まだまだ劣勢だったアナール的研究手法により著された好著。

豚が人を食った!豚を提訴だ!豚処刑!晒し上げ!

多分、コレ読んで中世おもしれー、とか卒論こういうのでやろう、とか思ってしまった人は結構いるはず。

いや難しいんですよ、こんなの学部生のうちにやるなんて、だからもしこの読書記録見てコレ読んで、

こういう研究をやりたいなんて思ってしまった人がいたら、落ち着いて、来た道を戻った方がいいと思います。

前半は、まぁ、上のようなノリですが、後半はこういった動物裁判が何故行われたのか、

という中世の世界観究明に直走っていて、グンッと対象年齢が上がる感じです(いやでも高校生なら読めますが)

ただ、完全に納得できるほどの説得力があるというわけではないですね、異論は出るでしょう。

勿論仕方ない、難問です。

推奨度

★★★★

見出し

動物裁判とはなにか 被告席の動物たち 処刑される家畜たち 破門される昆虫と小動物 なぜ動物を裁くのか

動物裁判の風景─ヨーロッパ中世の自然と文化 自然の征服 異教とキリスト教の葛藤 自然にたいする感受性の変容

自然の観念とイメージ 合理主義の中世 日本に動物裁判はありえたか

 

2006/02/23

『多神教と一神教─古代地中海世界の宗教ドラマ』 著:本村凌二

2005 岩波新書 221P

抽象的に、多神教とは何か、一神教とは何か、とかではなく、あくまで言ってしまえば古代宗教史。

まぁ、多神教オンリーだったところに一神教が出てくるわけですから、

一神教誕生の瞬間!それは何故か!的な「〜とは何か」ノリもありますが。

あぁそういう考えがあったか、と思ったのは、

イクナアトンのアトン信仰が残っていてエジプト脱出したモーセがソレを持っていった、ってところ。

フロイトなんかも言っているらしいのですが、なかなか感嘆。

私の一番最初(って言い切れもしませんが)の問題関心はここにあったので、何だか懐かしい感じです。

それとともに、やはり基本だな、と改めて思いました。

推奨度

★★★★

大見出し

神々とともに生きる古代─ポンペイを歩く 「死すべき人間」と神々─メソポタミアの宗教 来世信仰と一神教革命─エジプトの宗教

神々の相克する世界─大文明の周縁で 敬虔な合理主義者たち─ギリシアの宗教 救済者として現れる神─ヘレニズムの宗教

普遍神、そして一神教へ─神々はローマ帝国にそそぐ 宗教と道徳

 

2006/02/21

『タバコが語る世界史』 著:和田光弘

2004 山川出版社 90P

世界史リブレット。

特に、身近なものを話題にしている一冊なので、親しみやすくtrivia的なものが多いのではないでしょうか。

歴史嫌い、とかいう人には、こういうところから踏み込んできて欲しいものです。

世界史リブレットは、高校生に勧めるのに丁度良い、勿論それ以外にも。

推奨度

★★★★★

大見出し

タバコというモノの歴史 未知との邂逅 近世のタバコ 近代のタバコ タバコのゆくえ

 

2006/02/21

『哲学の歴史 哲学は何を問題にしてきたか』 著:新田義弘

1989 講談社現代新書 209P

ヴィーコやヘルダーは名前が挙がっているだけですが(名前が出てるだけでも十分!)

クザーヌスやホワイトヘッドについて、そこそこ紙幅がとられているのが好感、

ですがホワイトヘッドの解説はやっぱりサッパリです、短すぎて何なんだか。

他にも、分かったような分からないような解説は多いため、実のところ入門向けにはなっていない感じが。

というわけで、ある程度通観している中級者向け。

推奨度

★★★★

大見出し

古代ギリシャにおける学知の成立 ヘブライ・キリスト教における創造の思想 近代科学の成立と哲学の役割 「もの」と「こころ」

理性と理性の他者─ドイツ古典哲学の残したもの 人間と世界─「開かれた場所」への道 ことば・テクスト・解釈 生命・自然・身体

哲学の今後の課題

 

2006/02/20

『歴史を逆なでに読む』 著:カルロ・ギンズブルグ 訳:上村忠男

2003 みすず書房 305P

イタリア語版に先駆けてのギンズブルグの論文集。

逆なでに読む、ってどういうことか、ハッキリは分かりませんが、

ギンズブルグの方法論がソレなんだ、という理解でいいんじゃないでしょうか、

読めば分かると思いますけれど追従する者の無い変わった人ですから。

推奨度

★★★★

大見出し

証拠と可能性 展示と引用─歴史の真実性 証拠をチェックする─裁判官と歴史家

一人だけの証人─ユダヤ人大量虐殺と現実原則

人類学者としての異端裁判官 モンテーニュ、人食い人種、洞窟 エグゾティズムを超えて─ピカソとヴァールブルク

自伝的回顧

 

2006/02/18

『理性はどうしたって綱渡りです』 著:ロバート・フォグリン 訳:野矢茂樹/塩谷賢/村上裕子

2005 春秋社 250P

随所に何故か挿入されている皇帝ペンギンや白アザラシの写真がめっさ可愛くて仕方ない。

ピュロン主義が現代にきつーい軛を残している気がしてなりません。

訳者が言っていますが、全体的にほんわかしたムードで、

お爺ちゃんの優しく且つ結構挑発的な語りって感じです。

通俗的な哲学研究者と違って、哲学者、って感じが伝わってきます

(別に研究者批判してるわけでもないし正否は不明)

というわけで引用。

「自然を支配する法則について、私たちが(幸運にも)安定的でそれなりに正確な信念をもてるのは、

私たちが環境との相互作用をもっているからにほかなりません。

同様に、私たちが好みの基準について安定的でそれなりに正確な判断を行えるのは、

私たちが美術や音楽や文学との相互作用をもっているからなのです」

とにかくペンギン可愛いって。

推奨度

★★★★

大見出し

どうして論理法則に従わなければならないのか ディレンマとパラドクス 純粋理性とその幻想

懐疑論 デカルト主義的な懐疑論 ヒューム的な懐疑論 ピュロン主義の懐疑論

挑戦に対して穏健に答える 好みの問題

 

2006/02/17

『レイコ突撃インタビュー チョムスキー、民意と人権を語る』

著:ノーム・チョムスキー 聞手:岡崎玲子 論文翻訳:鈴木主税

2005 集英社新書 183P

あらかじめ勉強して臨んだのでしょう、無難なインタヴューでした。

トンチンカンなこと言わないかなぁ、と少し不安でしたが、そういった問題は無し。

後半の論文は、特に新鮮味も無かったです、相変わらずのチョムスキー流批判ってヤツで。

ただ言語学チョムスキー以外の彼を読むのが初めて、って場合は、オススメ。

個人的には、めっちゃアメリカ大好きオーラが出てる人だと思うんですが、

それでも売国奴左翼って叩かれるのですよね、右方向に偏っている人達に。

推奨度

★★★★

大見出し

ノーム・チョムスキーインタビュー チョムスキー教授へのインタビューを終えて

アメリカによる力の支配─世界人権宣言とアメリカの政策の矛盾