読書記録
07
2006/04/05
『UFOとポストモダン』 著:木原喜彦
2006 平凡社新書 203P
UFOと題する本というと、単純にオカルト、超常現象で胡散臭いものしか思い浮かばないですが、
本書はそういったものが真実だったとか嘘だったとかいうような議論ではなく、
(まぁ基本的には嘘だとしている派なんですが)、
総体的に都市伝説として見て、それがこの「モダンからポストモダンへ変遷する社会」の変遷過程において、
どのような変化を遂げていったか、今後どうなっていくのだろうか、ということを論じた好著。
以前載せた岡本氏著『ポストモダンの思想的根拠』を先に読んでいると、スッと頭の中に入ってくることでしょう、
思想的な著述は圧倒的に少ないので、とても読みやすいです、そこらへんの週刊誌が読めれば読めるでしょう。
もっとこういった画期的で面白い本が増えていくといいなぁと思う次第。
推奨度
★★★★★
見出し
UFO神話の誕生と変遷 空飛ぶ円盤神話(1947-73) 近代のプロジェクト、継続か放棄か? 超越的な他者としての近代科学
エイリアン神話 大文字の他者から他者の他者へ 後期UFO神話の始まり 内宇宙の時代 管理社会 文書化するUFO神話
ポストUFO神話 目に見える陰謀と内破するUFO神話 「彼ら」から「それら」へ
2006/04/03
『発想転換の英文法』 著:鈴木寛次
1997 丸善ライブラリー 175P
現代英語の源、つまり初期〜中期英語、低地ドイツ語、そしてオランダ語、標準ドイツ語、さらにフランス語と比べて、
別に英語が特別ってわけじゃないとか、こんなところが変わっている、とか非常に説得力のある展開の著書です。
米語やアイルランド英語は、現代英語よりも古い形、と言われると、えっ、と思う方がほとんどのことでしょう。
ドイツ語やフランス語に少しずつでも通じていれば、とても分かりやすく納得できる面白い一冊。
そこらの、最近の英語しか見ないで云々するような本などとは違います。
いやぁ、それはそうじゃないだろ、とツッコミできるようなところが無いです。
推奨度
★★★★★
大見出し
英語の祖先は英語にあらず 「名詞」の考え方はこうも異なる 「時」をどう理解するか 「格」の核家族化と「一致」の不一致
見えないitの用法 動詞の不思議 go,come,helpは「助動詞」?「動詞」? 親密すぎる「動詞」と「不定詞」 be動詞の特殊性
時代遅れのthe 想像を絶する「関係代名詞」の起源と現状 「分詞構文」が本当にわかりますか? 性格の違う英語と米語のthe
互換性がある「前置詞」と「接続詞」 区別がつかない「形容詞」と「副詞」 「形容詞」と「副詞」の不思議 「接続詞」成立までの長い道程
2006/04/02
『自由と国家権力』 著:K・v・ラウマー 訳:千代田寛
1970 未来社 144P
社会科学ゼミナールシリーズ。
難渋な文章をしています、さぞかし訳するのに大変だったのでしょう、実際そんなことを書いていますし。
とりあえず、一般の人にはあまりお勧めできない専門書。
最初のモンテスキュー論だけは、別に歴史畑の人でなくても読めるかと思います。
論文集のようでありながら、全編繋がっているちょっと変わったつくり。
「自由の概念は、自由に対する感受性の豊かな人間と切り離すことはできない。
それは、政治的共同生活に適用される場合、
法律とその法律を生かしている精神とをもっとも重要な要素とするところの諸関係に従うのであるから、
なんら絶対的な概念ではなくて、相対的な概念なのである」
推奨度
★★★★
大見出し
モンテスキューにおける自由概念と権力分立 近代および現代の絶対主義研究とその絶対主義像 絶対国家と身分的自由
たかまりゆく近代の自由運動 フマニスムス的自由思想と反抗権
2006/04/01
『「創る英語」を楽しむ 「暗記英語」からの発想転換』 著:田地野彰
1999 丸善ライブラリー 167P
「だれが/する/だれ・なに/どこ/いつ/(なぜ)」。
というのが魔法の呪文らしいです。
五文型ではなく、こちらを覚えてこれに当て嵌めて文を作った方が理論的にも適切だ、と主張しています。
参考文献も豊富に挙げている上、説得力もあるので、なるほどと思わされました。
五文型にこだわってしまう人にとってはいい偏見崩しになるかと思います。
私は五文型なんて全然使ってないので元々問題無かったというか。
推奨度
★★★★
2006/03/31
『ユストゥス・メーザーの世界』 著:坂井榮八郎
2004 刀水書房 248P
日本初・メーザー論の単著。
もっとも、メーザー論といっても、著者独自のメーザー論はほとんど載っておらず、
紹介に終わっている感がなきにしもあらずですが、この場合仕方ないことですね。
まだまだ深く掘り下げるのはこれから、これは準備段階、そんな感じがします。
そもそも専門論文を探しても五指程度のものなので、メーザーに興味ある者にとっては非常にありがたい一冊。
近いうちにメーザーの訳書が出されるそうです。
メーザーって一体誰よ、っていう人が多いかと思いますが、
18世紀ドイツにおいて、ハーマン、ヘルダーと並ぶ偉人ではないかと。
少なくとも、経済学・法学・史学で後々に多大な影響を与えている人物です。
(それぞれリスト、マルサス、サヴィニー、ランケ他多数に影響を与えている、と云えば分かりやすいでしょうか)
内容は、最初に小伝、続いて解題と訳文、最後に講演文になります。
推奨度
★★★★★
大見出し
ユストゥス・メーザー小伝
悲劇アルミニウス 『オスナブリュック史』序文 ドイツの言語と文学について
ゲーテとメーザー 日本におけるメーザー研究
2006/03/30
『ルネサンス』 著:ピーター・バーク 訳:亀長洋子
2005 岩波書店 111P
ヨーロッパ史入門シリーズ。
ルネサンス入門としてはまず読んでおいて損はない一冊。
ルネサンスとは何か、どういうものだったのか、いつまで続いていたのか、終わりなんて来たのか、
そういった疑問に応えるためにバークが簡易な文体で著した一冊。
ただ、人名がずらずらと恐ろしいほどに出てきますが、読者が知っていること前提で話が進むので、
全く知らない人にはキツイかもしれません。
しかし骨となる部分は人名など全然関係無いので、細部を気にしなければ普通に読み通せます。
訳者が云っているとおり、イタリアに留まらず、
しかもポーランドなども周縁として扱わずにヨーロッパ全体をメインとして考えているあたり、
バークの美味さがあります。
「ある運動がいつ終焉したかをいうのはつねに難しいし、
さらに非常に多くの地域や芸術が関わるとなると二重に難しい。
この場合、「終わり」という言い方ははっきりしすぎた、また決定的すぎる言葉である。
もっとよい語は「拡散」であろう。
ここで重要なことは、明確な目的をもった少数の人々の運動として始まったものが、
普及するにつれて徐々にその統一性を失ってしまい、その結果、誰もしくは何がそれに属するのかを決めるのが、
時代がたつにつれてだんだん難しくなってくるということである」
推奨度
★★★★★
大見出し
ルネサンスと神話 イタリア─復興と革新 外国におけるルネサンス─もしくはイタリアの使用 ルネサンスの拡散
2006/03/29
『規範と価値判断』 著:M・リーデル 訳:宮内陽子
1983 御茶の水書房 160P
日本ではヘーゲル論で有名なヘーゲル学徒ですが弁証法を使わない稀有な人。
全体的に、非常に分析哲学的な手法を取り入れていて、基礎的な命題論理を知らないと話になりません。
後半に載っている対談の部分は比較的平易で読みやすい上に、彼の哲学的立場を明快にしているので、
そちらから先に読むといいかもしれません。
彼がハイデガーとブロッホを最高に評価しているというのは、興味深い。
「イデオロギーは全体についての概念的根本前提を明言しますが、そのとき、それが用いた概念の釈明をしません。
イデオロギーとともに導入された限界づけの基準は、
とうぜん真理と仮象の避けがたい区別を手引きにしながらさらに精密にされ、
歴史的、伝統的な哲学的思考そのものに適用されるべきでしょう。
概念の解明なしには哲学はともすればイデオロギー病にかかります」
推奨度
★★★★
大見出し
倫理学の基礎部門としての行為理論 道徳規範と法規範 規範倫理学か意思疎通倫理学か 規範・価値・価値解釈
科学・イデオロギー・実践哲学
2006/03/28
『近代国家の覚醒』 著:エストライヒ 訳:阪口修平/千葉徳夫/山内進
1993 創文社 156P
エストライヒの論文三本立て。
後二つのものは非常に専門的ですが、最初のリプシウス論は是非とも読んで欲しいと思う一本です。
ボダンに並び(あるいは彼を越え)グロティウスの師でもある、近世の新ストア主義金字塔でもある彼が、
こんなに名前を知られていないというのは泣くに泣けないほど。
思いきり端的にいってしまえば、マキアヴェッリに徳をくっつけタテマエを覆い被せた感じです。
「リプシウスは、ローマ・ストア哲学を新たに捉え直し、その世界観を基礎として、
常備軍やその他の軍事力に体現された恒常的暴力(vis)を無条件に肯定するように人間の心理的、
精神的態様を転換させた。
近代的権力国家の担い手としての君主政、官僚制、軍隊は、
とりわけローマ・ストア的な徳・義務論の精神を受け入れ、
それらが言わば戦う教会(ecclesia militans)を形成したのである」
推奨度
★★★★
大見出し
近代的権力国家の理論家ユストゥス・リプシウス ドイツにおける身分制と国家形成 ポリツァイと政治的叡知
2006/03/27
『マンガ量子論入門』 著:J.P.マッケボイ 絵:オスカー・サラーティ 訳:治部眞里
2000 講談社ブルーバックス 187P
マンガといっても勿論コマ割りがしっかりしていて、というものではなくて、
大量の挿絵があってセリフがちょこちょこ出ていて、というもの。
絵自体は面白いのですが、思いっきり凝縮していて要約的になっているので、
かえって入門としては分かりにくくなっているかもしれません。
丁寧な説明は無いです、重要なエッセンスだけ抜き出し的な感じ。
しかも量子論の前史が大半であり、量子論そのものの紹介は必定薄くなっています。
そこが難点ですが、単純に手にとりやすいというのはやっぱりありますね。
推奨度
★★★★
2006/03/26
『はじめてのインド哲学』 著:立川武蔵
1992 講談社現代新書 225P
Lily Bellさんが気軽にくれたもの、ありがとうございました。
西田読んでいる今なら何かつながるところがあるかな、と思って読んでいましたが、
そんなに深い解説というわけでもないので特に繋がらず。
まあ当たり前ですね、はじめての、と謳っていて、
この深く立ち入らない解説でも初学者にとってはチンプンカンプンなインド哲学を、
いきなりごちゃごちゃ深々と語り出したら誰でも本を閉じてしまうことでしょう。
というわけで、解説は深くはないけれどそもそもインド哲学自体が深すぎるので、
それこそ入門には最適といった趣ですよ。
推奨度
★★★★
大見出し
自己と宇宙の同一性を求めて 汝はそれである─ヴェーダとウパニシャッドの世界 仏教誕生─ブッダからアビダルマへ
バラモン哲学の成立 大乗仏教の興隆 バラモン哲学の展開─ヴェーダーンタ哲学 タントリズム(密教)の出現 世界の聖化の歴史