読書記録
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2006/05/19
『「市民」とは誰か 戦後民主主義を問いなおす』 著:佐伯啓思
1997 PHP新書 201P
そもそも「市民」って一体何なんだよ、軽々しく使ってるけど空虚ジャン、って指摘はその通りです。
が、これに著者のイデオロギーが深く絡んでくるとなると話は別。
つまり5章まではいいのですが、5章から著者の政治主張が入ってくると、私は一気に受け付けなくなりました。
特に、湾岸戦争に反対しない立場でして、
しかもその論調が「嫌だから戦争はしない、というのは嫌だから」という感じなので……。
感情論批判というのは確かに納得できますが、感情論批判が感情論でどうするんだというのもありますし、
そもそもあんな警察気取りの行いを肯定するのはどうかと。
新書にしてはイイ問題の立て方だっただけに、残念で、評価の分かれるところであります。
推奨度
★★★
大見出し
21世紀は「市民の時代」か 戦後日本の「偏向」と「市民論」 「近代市民革命」とは何だったのか ポリスの市民、都市の市民
「祖国のために死ぬ」ということ 日本人であることのディレンマ
2006/05/18
『近代と反近代との相克 社会思想史入門』 著:的場昭弘
2006 御茶の水書房 57P
神奈川大学入門テキストシリーズ。
ブックレットで薄くて簡易。
よくある王道なギリシア、マキアヴェリ、ホッブズ、ロック、モンテスキュー、ルソー、マルクス……
というような流れとはちょっと違って、スピノザなんかを紹介しているあたりが美味しいです。
推奨度
★★★★
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近代と現代の意味 中世の思想 マキアヴェリの革命 近代の亀裂─スピノザとデカルト 民主政治の罠 マルクスとニーチェ
現代思想の諸問題
2006/05/17
『ヘーゲルに還る 市民社会から国家へ』 著:福吉勝男
1999 中公新書 208P
部分部分では著者のエピソードが入っていて一般向けですが、基本は専門論文的な内容です。
とにかくヘーゲルが苦手でして、相変わらず分かったような分からないような、です。
ヘーゲルに限らずドイツ観念論は全体的に苦手なのですが。
市民社会論そのものは何とか掴めましたが。
中心としているのは『法哲学』ではなくて、『講義録』を大いに参考にしているので、
ヘーゲルの「本心」というところにまで手が届きます。
推奨度
★★★★
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ヘーゲルと私 理性・自由・現実 市民社会論の展開 現実は理性的か 現代に生きるヘーゲル 現代における権利・正義論によせて
2006/05/16
『隠れたる神』 著:ニコラス・クザーヌス 訳:大出哲/坂本堯
1972 創文社 193P
論文三つ所収。
一つめの「隠れたる神対話」が10ページそこそこですが本著のエッセンスというか、
クザーヌスのエッセンスほとんど全て凝縮されている激濃な対話編ですので、
クザーヌスに興味ある人はまずこれを。
心の準備せずいきなり踏み込むとコイツは一体何なんだ、って思うこと必至ですが。
「(神は、)これ(言表されうるとともに言表されえないもの)でもありません。
なぜなら、神は矛盾の根radix contradictionisではなく、
むしろ、あらゆる根の前の単純性simplicitasそのものなのですから。
したがって、かれは言表されうるとともに言表されえないものeffabilis et ineffabilisでもある、
というこのことも言われるべきではないのです」
推奨度
★★★★
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隠れたる神についての対話 神の探求について 神の子であることについて
2006/05/15
『太陽の都』 著:カンパネッラ 訳:近藤恒一
1992 岩波文庫 184P
随分前に読んだきりなので再読。
すっげー面白いこといっぱい言ってますね、この人。
太陽市民は、つまりカンパネッラは日本人が嫌いだそうな。
「黒い色を物のかすのように毛ぎらいし、そのため、黒い色を好む日本人をひどくきらっています。
高慢は大罪とみなされていて、高慢なおこないはどれも、それを犯したのと同じ方法で罰せられます」
「この世界のほかにいくつもの別の世界が存在するかどうかは疑わしいと思っていますが、
いっさい存在しないと断言するのも狂気の沙汰だと考えています。
なぜなら、無なるものは世界の内にも外にも存在せず、無限の存在たる神は、無とは相容れないからです」
推奨度
★★★★
2006/05/14
『国家と市民社会の哲学』 著:吉田傑俊
2000 青木書店 210P
シリーズ現代批判の哲学。
ハイデガーや西田は、ここで国家論として取り上げるに、
は全体から見て難解すぎるというかちょっと不釣り合いな感じもしました。
20世紀以後になると、国家論ばかりで市民社会論としては明確には語られていませんね。
それだけ市民社会という語の概念が、国家以上にあやふやで定まっていないわけですが……
著者はマルクス好きなせいか、全体的にそちらの色が強いです。
まあ不当にマルクス主義が貶められているので何とか回復を、というのは分からなくもないです。
というより、全体的に国家論だとか社会論というのは、何だか古臭いというか色褪せている感じですので、
この現況はマズイですね。
推奨度
★★★★
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「国家と市民社会」の哲学的問題性 現代における国家と市民社会をめぐる状況 「国家と市民社会」の哲学史
20世紀国家主義哲学と市民社会 「国家」の哲学から「社会」の哲学に向けて
2006/05/13
『アリストテレス入門』 著:山口義久
2001 ちくま新書 222P
とことんややこしくて、
(単純に多岐に渡ってややこしいのみならず、彼の現今テキスト成立経過のせいもありますが)
分かりにくいアリストテレスを、よく一冊の新書で易しく書いてみせたものだと感心します。
アリストテレス入門は、そもそも数が無いですが、入門になっていないことが多く、
アリストテレスはどんどんと嫌いになるばかりですが、この入門書なら初学者に問題なく勧められます。
「彼[アリストテレス]は、先人たちの探求をも論拠にしながら、なぜという問いの答え方には四種類あるという。
これがいわゆる「四原因」の説である。
すなわち、
@質料(あるいは素材)としての原因(質量因)つまり当のものが何からできているかを説明すること、
A形相としての原因(形相因)つまり当のものが何であるかを説明すること、
B動(運動・変化)がそこから始まるという始原(始動因)つまり当のものが成立するための
動きや変化をあたえたものを説明すること、
C目的としての原因(目的因)つまり当のものが何のために成立したかを説明すること、
の四種類である」
推奨度
★★★★
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アリストテレス再発見 知への欲求 論理学の誕生 知の方法 自然と原因 実体と本質 現実への視点 生命の意味 善の追求
よく生きること アリストテレスと現代
2006/05/12
『「分かりやすい話し方」の技術 言いたいことを相手に確実に伝える15の方法』 著:吉田たかよし
2005 講談社ブルーバックス 177P
何だか回文のような名前の著者だなというのが初印象。
ブルーバックスなだけあって、概念図示がうまくていいです。
要は、その概念図を頭の中に思い浮かべて説明しろということです。
まあ単純には、何が言いたいのか、頭にビシッと言ってしまえばいいのですが。
推奨度
★★★★
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矢印メモで分かりにくい話し方の原因を探れ! 「要は何を言いたいんだ!」と言われないための、話の展開術
ちょっとした工夫で格段に分かりやすく話せるテクニック
2006/05/11
『アリストテレス─自然学・政治学』 著:山本光雄
1977 岩波新書 226P
著者急病のため未完のままになってしまった、アリストテレス解説の名著。
この勢いで形而上学もやって欲しかったです。
検索をかけてみると、その有名さに比して、
アリストテレスとして一冊にまとまっているものが極めて少ないことに驚きますが、
そうした稀少という点でも、またアリストテレス研究の碩学が著したという点でも、非常に価値の高いものです。
「したがって人間にとって真に善いものどもは窮極においては同じであっても、
それぞれの人間なりポリスなりにとって、目的とされる善いものは、場所、時、状況などの違いに応じて異なり、
その善いものを獲得する手段も手段の用い方も異なる。
だから窮極の善いもの(幸福)と現に目的とされている善いものとの関連を見失わず、
現在の目的を達成するための有効な手段を発見することは重要な仕事となる。
この重要な仕事もまた思慮に属する。
思慮は行為にかかわる徳であり、行為は目的を実現するためのものであるからである」
推奨度
★★★★★
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生涯と著作 自然学 政治学(倫理学を含む) 弁論術
2006/05/10
『書物雑感』 著:ポール・ヴァレリー 訳:生田耕作
1990 サバト館 43P
高すぎですよサバト館の本。
お手製なので仕方ないですし、生田氏の訳文を読めるので文句言えませんが。
というよりそもそも私は図書館派……。
「専ら純粋精神のみにこだわる態度くらい野蛮状態へ逆行しやすいものはない。
具体的な事柄を軽ろんじ、目に見えないものの中だけに停滞し、身のまわりの楽しみも要らないし、
安住の境地、快適な住居も欲しくないというわけだ。
精神主義者は、物質は邪悪なものであるか、さもなくば醜いものだという説にすぐさま賛成してしまう」
推奨度
★★★★
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書物 理想の書物 著名作家の蔵書 自筆原稿