読書記録
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2006/06/28
『知の扉を開く 教育における知性の質を問う』 著:D.M.スローン 監訳:市村尚久
2002 玉川大学出版部 148P
日本に於ける三回の講演を手直ししたものと、論文一本掲載。
論文はデューイについてなのですが、
一脈通ずるところがあるなあと思いながら読んでいたら、思った通りに出てきましたマイケル・ポランニー。
デューイの「知」論とポランニーの暗黙知は、比較論文なんかありそうですね。
「われわれは、現象のなかにあまりにも性急にわれわれ自身の先験的な概念、
思考モデル、理論や説明といったものを投入してはいけない」
推奨度
★★★★
大見出し
知の扉を開くこと─意味の質と優位性 知の変革と地球の未来 全的存在としての人間教育
デューイの「経験的現象の救出」へのプロジェクト─その教育と倫理への示唆を探る
2006/06/27
『留魂録』 著:吉田松陰 全訳注:古川薫
2002 講談社学術文庫 217P
というわけで読みました、松陰の遺書。
大部分が訳者の解題+松陰史伝で、松陰の『留魂録』部分はほんの僅かというつくり。
『留魂録』をよく理解するための素晴らしい文庫に仕上がっているといえます。
留魂録第八章が特にオススメ、せっかく日本語母語の生まれであるのにこれを読まずして死ねるか、という感じ。
しかし引用文は最終章より。
「心なることの種々かき置きぬ思ひ残せることなかりけり
呼びだしの声まつ外に今の世に待つべき事のなかりけるかな
討たれたる吾れをあはれと見ん人は君を崇めて夷払へよ
愚かなる吾れをも友とめづ人はわがとも友とめでよ人々
七たびも生きかへりつつ夷をぞ攘≪はら≫はんこころ吾れ忘れめや」
推奨度
★★★★★
2006/06/26
『J.デューイ』 著:山田英世
1967 清水書院 186P
センチュリーブックス人と思想。
超有名にもかかわらず、不思議なことに最近はほとんど単著が刊行されないデューイさん。
そんな彼を手軽に読むなら、やはりこの定番シリーズ。
アメリカという国について、生涯、そして思想と、バランス良くまとまっています。
生涯のうちに、かなりデューイの思想が述べられはしますが、
まぁ思想家の伝記なわけですから、まったくの別物として切り離せるわけはないでしょう。
出版年が多少古かろうと、今でも十分通用します。
逆に言えば、これ以降、デューイについてはそんなに教育学以外で研究が進んでいないということなのですが。
推奨度
★★★★
大見出し
精神的風土 ジョン=デューイの生涯 ジョン=デューイの思想
2006/06/25
『美女の歴史』 著:ドミニク・パケ 監修:石井美樹子 訳:木村恵一
1999 創元社 158P
知の再発見双書。
今まで何となく敬遠していたこのシリーズ、図版たっぷりで物凄く良いですね、色々漁ってみようかと思います。
特にこの美女〜なんてのは、図版入りでなければ読む気も理解度も半減してしまうことでしょう。
読んでいた中で再確認、やはりヴィジェ・ルブランは良い。
推奨度
★★★★
大見出し
古代世界の美容術 中世の妖精たち バロックの輝き 自然から反自然へ 健康な肉体と現代の美
2006/06/24
『憲法とは何か』 著:長谷部恭男
2006 岩波新書 193P
日本国憲法とは何かではなくて、一般的に憲法とは何かを論じている本……とも少しズレています。
どちらかというと、
海外の理論家を紹介しつつ著者なりの立憲主義論、
法思想・法哲学もしくは政治論を述べたものといった方がいいかもしれません。
期待していた内容からだいぶハズれたので素直には読めなかったのですが、
例えばバーリンの価値多元論なんかを引っ張ってきているあたりは好評価。
ただやはり全体としての主題がちょっとぼやけ気味かなというのが残念なところ。
論文集だと思ってしまえば何ら問題無いところですが。
推奨度
★★★
大見出し
立憲主義の成立 冷戦の終結とリベラル・デモクラシーの勝利 立憲主義と民主主義 新しい権力分立?
憲法典の変化と憲法の変化 憲法改正の手続 国境はなぜあるのか
2006/06/23
『グリム兄弟 知られざる人と作品』 著:ベルンハルト・ラウアー 訳:清水穣
2006 淡交社 93P
グリム兄弟ってグリム童話の編纂者でしょう?……
と、だけしか知らない人にまずお勧めしたいのがこちら。
図版が半分ほどを占めていて、分かりやすく、さすが博物館館長が書いただけあるという一冊。
これなんかはもう、是非読んで下さいとしか言えません。
推奨度
★★★★★
大見出し
ドイツの童話かヨーロッパの童話か 民間伝承か芸術作品か 言語と文学 学術研究の責任について
ヨーロッパ全域に拡がる文献学 グリム兄弟の遺産
2006/06/22
『誤りから救うもの』 著:ガザーリー 訳:中村廣治郎
2003 ちくま学芸文庫 210P
また素晴らしいものを出版してくれるものです、筑摩は。
全てを懐疑していき理性までをも疑うというのは、デカルトを思わせますが、何と彼より500年も前の人。
三次方程式も、デカルトよりそのくらい前のイスラムで考案されたのだから、
よくよくイスラムに対してはカタナシなデカルトです。
が、ガザーリーがコギトのところに行き着くことはなく、全ての土台は神の恩寵だというところに辿り着きます。
そこからは、今度はヨーロッパの神秘主義な匂いがしてきたり。
触覚にとっては色や匂いは存在しないも同然、なんてくだりは、クザーヌスを思わせます。
まあ、アルガゼルとしてラテン語で知られていたので、結構色んな人達に影響を与えているのかなと。
面白いこと言っているところから引用しましょうか。
「人間の本質はその生得的本性においては、空無にして無垢につくられており、
そこには至高なる神の諸世界についての知識は何もない。
世界の数は多く、神以外には誰も幾つあるか知らない──」
「人間の世界についての情報は、知覚を通してのみ与えられるものであり、
知覚はすべて人間が存在の世界を知るためにつくられるのである。
諸世界とは、さまざまな種類からなる存在のことである」
推奨度
★★★★★
大見出し
真理の探究 懐疑と知識の否定 真理探究者の種類 啓示の本質とその必要性 引退後に再び教鞭をとった理由
2006/06/21
『いのちの日記 神の前に、神とともに、神なしに生きる』 著:柳澤桂子
2005 小学館 127P
限りなく5に近い推奨度という感じ。
個人的にどうしても受け入れられないところがあるからという、至って主観的なもの。
というより、惹かれる人は惹かれ過ぎてしまうからというのが大きいからかも。
にしても、読んで欲しい本であることには違いありません。
推奨度
★★★★☆
大見出し
出産 研究者としての日々 最初の手術 再入院・解雇 神秘体験 二度目の手術 三度目の手術 信仰への渇望
宗教の独学 「神秘体験」はどうして起こるか 人はいかにして「悟り」に至るか こころにリアリティー(真実)を取り戻そう
神の前に、神とともに、神なしに生きる 神は脳の中にある 「粒子」という考え方 “尊厳死”を決意した日 その後
2006/06/20
『四角形の歴史』 著:赤瀬川原平
2006 毎日新聞社 117P
赤瀬川原平のこどもの哲学大人の絵本シリーズ。
素晴らしい哲学の絵本、子どもができたら絶対読んであげたいと思える一冊。
記憶に留めておこう、絶対忘れないようにしよう。
「考えたら、現実世界に余白はない。
必ずどこかに何かがある。
土があり、草が生えて、木があり家があり、何かがある。
空には何もないけど、青い。
ぐるりと見回すと、どこにでも何かが見えている」
推奨度
★★★★★
大見出し
風景を見る 絵の歴史 もっと昔の絵の歴史 四角形の歴史 四角形と犬
2006/06/19
『吉田松陰と現代』 著:加藤周一
2005 かもがわ出版 62P
かもがわブックレット。
2004年の講演をもとに加筆訂正したもの。
というわけで、難しい表現も特に無く、読みやすいです。
松陰がどんな人でどんな影響を与えたか、軽く知りたい人にはお勧め。
松陰の思想を知りたい場合は、やっぱ直接読むのが一番かと思います。
講談社の学術文庫から二冊出てました、確か。
佐藤一斎-佐久間象山-吉田松陰は好きなので、私もそのうち読む予定。
推奨度
★★★★
大見出し
松陰とその時代背景 明治維新の現代的意味 質問に答えて 〔付〕吉田松陰と1830年の世代