読書記録

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2006/07/16

『科学哲学者柏木達彦の春麗ら 心の哲学、言語哲学、そして、生きるということ、の巻』

著:冨田恭彦

2000 ナカニシヤ出版 225P

一応四部作完結編(この後番外編がありますが)。

まず心の哲学ということで、ヴィトゲンシュタインの私的言語問題、それからライルの「唯物論」を紹介、

さらにそこからデカルトに立ち戻って、実はライルはデカルトの二元論を壊しきれていないと批判。

二話は、このシリーズ中最難のお話。

一応とある本に収録する対談ということなので、

リアルさを追求してそこそこ難しめの用語を色々使ってみたりしたとのこと。

内容としては、サールの言語哲学VSデイヴィドソンの言語哲学で、

著者の立場としてはデイヴィドソンによるサール批判というところですね。

とはいえサールを捨てたりしているわけではなく。

最終話で、生きる意味や目的について、学生と色々話すという穏やかな終わり方。

やっぱり結論としては、ローティ的に、っつかまずやってみるしかないじゃんよ、という感じです。

推奨度

★★★★★

大見出し

弥生三月 桜咲く 五月になって

 

2006/07/15

『科学哲学者柏木達彦の秋物語 事実・対象・言葉をめぐる四つの話、の巻』 著:冨田恭彦

1998 ナカニシヤ出版 234P

時系列としては戻って秋。

最初に観察理論負荷について、つまり認識論と「解釈学」ですね。

二話では伝道的指示理論と因果論的指示理論を説明。

三話ではサールの言語哲学入門という感じ。

そして四話では何故かアトランティスについて、ライヘという学者の論を紹介……実は天文世界の話だった!?

というところから、最初に戻ってお話の解釈性でオチつけ。

構成がうまいですね、なるほど単なる哲学入門というだけにとどまらず、というのはよくわかります。

推奨度

★★★★★

大見出し

送別会 明日香の疑問 公開講座 星空のアトランティス

 

2006/07/14

『科学哲学者柏木達彦の冬学期 原子論と認識論と言語論的転回の不思議な関係の巻』

著:冨田恭彦

1997 ナカニシヤ出版 220P

前作に引き続き第二弾、なのですが、実はこちらが三巻でした。

出版時期がずれているのは、まあ、大人の事情というやつでしょう。

今回は、色って何なのかということから、古代ギリシアの原子論、

エレア派から始まってデモクリトスという感じで。

それが実は現代のいわゆる言語論的転回にまで脈々としているのだ、というのが著者独自の見方で面白い。

それでいわゆる言語論的転回をみるばあい、

カントで完成すると言われている(著者が色々見直しを迫っているので、ホントいわゆるばかりなのですが)

認識論的転回と同じ構造だというように見なければならないのだ、と。

その近代の認識論的転回はデカルト、ロックが粒子仮説をとっているので古代の原子論と密接不可分であり、

そして著者はそういった粒子仮説を認めているロックなんかの方が、

カントよりもすぐれてローティ的な論を展開しているのだと、

っていうかカントはロックの劣化だというようなこと(誤解を恐れずにいってしまえば)を述べます。

まあ小説なので、著者の真意かどうかは分かりませんよ!

夏巻もそうでしたが、部分部分は、講談社現代新書で出ているシリーズと同じ感じですね。

併せて読めば理解が深まるでしょう。

推奨度

★★★★★

大見出し

師走 睦月雪積む 如月

 

2006/07/13

『文学と音楽』 著:松本道介

2006 中央大学人文科学研究所 59P

人文研ブックレット。

非売品なので図書館で借りましょう。

人文研にて開催された講演というかお話会のまとめ。

スーツ着て机に向かってビシッと論文を書くというタイプの先生ではなく、

雑談の中から何かネタを見つけ出して、思いついたままに書いていくというタイプです。

そんな人だから喋りも闊達で面白くてすぐに読めます。

私もどちらかというと著者のようなタイプなので頷けるところが多くあり。

ただやはりアクは強いので、いやそこは違うと反論したくなるような偏見も多々。

推奨度

★★★★

 

2006/07/12

『『ヴィーナスの誕生』 視覚文化への招待』 著:岡田温司

2006 みすず書房 164P

理想の教室シリーズ。

大見出しに書いた三つが、もう視覚文化、なんというんでしょう、ヴィジュアルスタディーズとでもいんでしょうか、

ソレへの方法論そのままです。

『ヴィーナスの誕生』というと、パノフスキーやらが頑張って解釈した「フィチーノの影響」ということで、

新プラトン主義的に見られることが多いそうですが、今回著者はそれを排するというか、

新プラトン主義的じゃない、という主張を打ち出していきます。

全く新プラトン主義的じゃないっていうのもどうかとも思うのは、

著者がジェンダーといったことを持ち出してくるところへの抵抗感があるような気がしないでもないです。

ちなみに新プラトン主義というよりはネオプラトン主義っていう方がいいんですけどね。

推奨度

★★★★

大見出し

絵を見る 絵を読む 絵を楽しむ

 

2006/07/11

『科学哲学者柏木達彦の多忙な夏 科学ってホントはすっごくソフトなんだ、の巻』 著:冨田恭彦

1997 ナカニシヤ出版 235P

内容としては講談社現代新書のシリーズと被っているところもありますが、

これはこれでまた十分に楽しめる「小説」です。

断じて「小説スタイルの科学哲学入門」ではなくて、「芥川賞を狙った小説」とのこと。

こういった言い張りなんか、私大好きですよ。

大体多く語られるのが、適当な順番ですが、

クーン、デイヴィドソン、クワイン、ウィーン学派、ローティ、

とこのあたりです。

主題は、「相対主義」「デカルト的不安」といったところでしょうか。

内容は結構難しいはずですが、スラスラ読めます、

逆にスラスラ過ぎて頭に入ってこないという心配が出てくる人もいるんじゃないかといったところ。

今回はロックやバークリーなどは出てきませんね、次巻以降でしょうか。

このシリーズは、この後、冬、秋、春、番外編と続いていきます。

全部読めばそれなりに科学哲学が理解できるようになっているはず……?

と、まだ私も読んでいないので、次は冬をば。

推奨度

★★★★★

大見出し

梅雨明けの頃に 夏休み前最終講義 ウイスキー・スルメ・ピーナッツ 図書館のロビーで 大掃除の翌日

 

2006/07/10

『ギリシア人の教育 教養とはなにか』 著:廣川洋一

1990 岩波新書 195P

プラトン、それからイソクラテスの教育論入門として最適。

ただ、教育と哲学がどれだけ離れているのかというと、そうでもないのですが。

教養とは何か、という問題を考える上では、西洋の古典なので押さえておかなければならないことではありますが、

直接的とはいえないので、古代ギリシアからそのまま現代の教養を引いてくるのは難しいです。

ただどうしても性質上、見方によっては、

つまり近現代の教育論と比べてしまうと、かなり上っ面的なところが強いですので、

やはり上にも書いた通り、直接的なことは期待してはいけません。

推奨度

★★★★

見出し

人間教育としての一般教養 パイデイアーとは何か・成立・内実 教養・教育の力について

プラトンの教養理念 無知の無知に向って 不調和としての無知に向って 調和と理知─魂全体のための配慮

イソクラテスの教養理念 教育者イソクラテス 思慮とよき言論としての徳 普遍的視野と徳性─教養としての弁論・修辞術

 

2006/07/09

『人物による西洋近代教育史』 著:ヘルマン・ノール 訳:島田四郎

1990 玉川大学出版部 222P

ディルタイのお弟子さんなだけあって、生ということを強調します。

西洋近代教育史とありますが、ドイツ近世近代教育史という感じですね。

最終章の題「教養」は、

おそらくBildungなので「形成・育成・養成」もしくは「陶冶」とかなんじゃないかなぁと思うのですが、

どうなんでしょ。

推奨度

★★★★

大見出し

ヨハン・アモス・コメニウス クリスチャン・ゴットヒルフ・ザルツマン ペスタロッチーの精神的世界 ペスタロッチーと現代

フリードリッヒ・フレーベル フレーベルと現代 生けるヘルバルト ヘルマン・リーツ ゲオルク・ケルシェンシュタイナー

ウーンドルのサンダーソン フラナガン神父 ルードヴィヒ・バラート 教育者の教養

 

2006/07/08

『大衆消費社会の登場』 著:常松洋

1997 山川出版社 82P

山川世界史リブレット。

正直、この20世紀前半のアメリカって社会が一番わけ分からない。

へたに現代に入ってしまっているために、我々の常識で測ってしまおうとするのですが、

19世紀のイギリスはヴィクトリア朝の通俗概念が流通していたり、それでいてフロンティアスピリットが残っていたり、

さらに自由だといいながら差別が激しかったり、国家による制限はやめようといいながら禁酒法ができたり、

本当にメルティングなところです。

推奨度

★★★★

大見出し

資本主義の発展と消費社会 大量生産の時代 大量販売・大量消費 消費文化と政治・社会 ヴィクトリアニズムの動揺

男女交際・娯楽・消費文化

 

2006/07/08

『君はレオナルド・ダ・ヴィンチを知っているか』 著:布施英利

2005 ちくまプリマー新書 174P

ダ・ヴィンチは単なるモナ・リザで有名な画家というだけではない!

ということがよく分かる良著。

最近、ダ・ヴィンチ・コードなどで取り沙汰されるレオナルドさんですが、

彼は画家としては自称「そこまでではない」男でして(それでもまぁ最強なんですが)、

本人からしたら兵器開発や建築や彫像の方が得意だったそうな。

っていうか彼は美形で長身でスマートで運動神経抜群、

垂直跳び一メートルにくわえ素手で金属棒をへし曲げたという(そこまではこの本に載ってないですが)

更に実は重力概念も持っていたんじゃね?というトンデモない御方。

そんなダ・ヴィンチのことを読みたければ是非本著を。

推奨度

★★★★★

大見出し

ダ・ヴィンチは画家か、科学者か? 『モナ・リザ』って、本当に名画なの? ルネサンスって、どんな時代?

レオナルド・ダ・ヴィンチ、誕生! 天才少年は、師匠より絵がうまかった 青春時代、ダ・ヴィンチはおしゃれだった?ダサかった?

結婚をしなかったのは、同性愛のせい? ダ・ヴィンチは、放浪の男だった 大先生ダ・ヴィンチは、こんな仕事もしていた

そしてダ・ヴィンチは死んだ フィレンツェ、ミラノ、パリ、三都物語 若きダ・ヴィンチの一枚、『受胎告知』

ダ・ヴィンチは女性をどんなふうに描いたか 未完成だけどカンペキな絵 演技する手に注目しよう 『最後の晩餐』、遠近法の秘密

わが子を見つめる母の笑顔 『聖アンナと聖母子』 『モナ・リザ』、微笑のひみつ 最初の風景画家はダ・ヴィンチだった

なぜ死体を解剖したのか? 人体を機械のように考えていた? 子宮の中の胎児まで観察したのはなぜ?

ダ・ヴィンチが作った戦争兵器でいちばん恐ろしいのは? 飛行機を作ろうとしたダ・ヴィンチ 植物を愛した画家ダ・ヴィンチ

ダ・ヴィンチにとって大地とは、岩とは? 水の力、嵐、世界の終わり ダ・ヴィンチにとっての地球、宇宙って?