読書記録

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2006/09/09

『歴史を語る 学生との対話』 著:井上幸治

1979 二玄社 234P

著者の、実証から始まり積み重ねて理論へと登りゆくという考えは、

根柢に進歩史観的なところがなきにしもあらずですが、

史学をやる上では確かに飛び抜けた例外的な天才でもない限り、

いまや避けて通れぬ方法論でしょう。

もう30年も前のものになってしまっていますが、しかし今読んでもそんな古くささを感じない。

だから、歴史学は実証の方こそ進んではいるものの、そこまで大きな転換は起こってないのでしょうね。

ちなみに学生との対話という副題ですが、定年の著者からした学生であって、

おそらく相当歳いっている研究者も混じっています。

推奨度

★★★★

見出し

文学と歴史と 歴史の学問的構造 歴史の方法─実証と理論 歴史的批判精神 二つの視点

 

2006/09/08

『紋章の歴史』 著:ミシェル・パストゥロー 監修:松村剛 訳:松村恵理

1997 創元社 158P

知の再発見双書。

紋章と単なるロゴは全くの別物なのですね。

ロゴマークがいわゆる単なる「記号」であるのに対して、紋章はどちらかというと「文章」的なところがあります。

だから、解読というより、読解という方が正しい。

そこを弁えて紋章を作り使用しないと、それはただのロゴを紋章だと言い張っているだけになってしまう。

日本の家紋はまた違いますねえ。

推奨度

★★★★

見出し

紋章の歴史 紋章の図柄と色彩 紋章学、この知られざる学問

 

2006/09/07

『ハプスブルク家』 著:下津清太郎

1984 近藤出版社 146P

全体的にかなり固くて、まるで教科書を読んでいるかのような、事実断言的なつくりになっています。

事実確認用の資料として読むぶんには丁度良いものなのでしょうが、

日常的な読書にはオススメできません。

近代の方は、それでも著者の主観が少々入ってきてはいますが。

もちろん、そちらの方が読んでいて面白いことは面白い。

推奨度

★★★

見出し

オーストリアの土地と人 ハプスブルク家の興隆とその消沈 ハプスブルク家の世界帝国 ハプスブルク家とブルボン家の争覇

ハプスブルク家の啓蒙政策 ハプスブルク家とナポレオン帝国 ハプスブルク家とウィーン体制 ハプスブルク家と三月革命

ハプスブルク家とドイツ連邦 ハプスブルク家とロマノフ帝国との争覇 ハプスブルク家の終焉 ハプスブルク家なき共和国

 

2006/09/06

『中世の世界経済』 著:F・レーリヒ 訳:瀬原義生

1969 未来社 126P

社会科学ゼミナール。

都市経済→国家経済→世界経済と、経済は順に進みひろがっていくという従来の図式を否定。

中世にあっては「世界」経済であって、それが国家経済へと縮小していくのが近世であり、

再び世界経済になるのが帝国主義時代であるというのが、レーリヒの主張要約です。

この論は、確かに待たねばならないところが多いですけれど、非常に面白い。

推奨度

★★★★★

見出し

中世の「世界」 「都市経済」と商品取引 毛織物商業と毛織物生産 需要充足にあたっての消費者の態度

バルヘント・麻織物生産の構造 ハンザの南北結合の機能 遠距離商業でつねに取り扱われるその他の商品

実際の都市経済における二元性 世界経済的連関性の意識 国際関係の法的保障 中世の世界経済と近世重商主義

歴史的帰結 歴史叙述の課題

 

2006/09/05

『封建制の危機 第2版』 著:ヒルトン 訳:吉田静一/武居良明

1969 未来社 142P

社会科学ゼミナール。

論文三本収録。

ひととおり読んでも、封建制そのものがなかなか捉えづらいところがあります。

ただ、農民運動や資本主義の萌芽が封建制を崩したという、現在の通説を概観するには便利。

もちろん、中世貨幣経済が資本主義とは言いがたいのですが。

推奨度

★★★★

大見出し

封建制の一般的危機 資本主義とは何か 一三八一年以前のイングランドの農民運動

 

2006/09/03

『大学の起源』 著:C.H.ハスキンズ 訳:青木靖三/三浦常司

1977 社会思想社現代教養文庫 202P

中世の大学論概説。

大学とはこうしてできあがった、というようなものももちろんありますが、それのみならず、

当時の大学でいかなるものを教えていたのか、当時の学問論はいかなるものであったのか、

スコラ学と結び付けて簡明に論じられています。

いわゆる社会史的な部分も入りこんでいて、中世史理解に大学理解は欠かせないと思わされる一冊。

付属資料も豊富で、記述も簡明かつ面白い。

推奨度

★★★★★

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大学制度の発生 大学教育 学生の生活

 

2006/09/02

『中世ローマ帝国 世界史を見直す』 著:渡辺金一

1980 岩波新書 234P

一般的に、ビザンツ帝国は没落していってそのままトルコに消された、という理解が強いのですが、

著者によれば、ビザンツは中世を通して「世界システム」の中心だったとされます。

私の理解ですと、これは中華秩序を築いて「世界システム」の中心だった中国と同じような立ち位置ですね。

周りの諸状況こそ違いますが。

そういった世界システム論的なところもあり、今なお古くささを全く感じさせられません。

ただ、最後の、プランテーション論は少々蛇足だった気が。

推奨度

★★★★

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民族移動と中世のローマ帝国 帝王の光輝と限界─中世政治神学の比較史のために、ビザンツの場合

森の民と砂漠の民─比較社会史の一つの試み

ローマ領シリアにおけるオリーヴ・プランテーション村落の興廃─地中海的生産様式の一類型

 

2006/08/31

『祖国愛について』 著:プライス 訳:永井義雄

1966 未来社 89P

社会科学ゼミナール。

祖国愛とは何ぞや。

200年以上前に答えが出ています。

時代の制約こそあれど。

推奨度

★★★★★

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われわれの祖国愛についての論説

 

2006/08/31

『本の歴史』

著:ブリュノ・ブラセル 監修:荒俣宏 訳:木村恵一

1998 創元社 182P

知の再発見双書。

下と同文ですがこのシリーズらしく、カラー図版は豊富。

普通はグーテンベルク以後の記述となるところが、それ以前のスクリプトから書かれているので、

それがなかなかに新鮮で面白い。

写本の時代を知るには最適。

推奨度

★★★★

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手書きの本 グーテンベルク─謎の発明家 印刷術の飛躍 出版業への規制 本の勝利

 

2006/08/30

『宗教改革 ルター、カルヴァンとプロテスタントたち』

著:オリヴィエ・クリスタン 監修:佐伯晴郎 訳:木村恵一

1998 創元社 174P

知の再発見双書。

このシリーズらしく、カラー図版は豊富。

宗教改革を、大体それ以前の教会腐敗から大体落ち着いてくるまでのあたりを通して概説。

このあたりは理念的なところが多いので、図版が多いと視覚的理解が深まり分かりやすくていいでしょう。

推奨度

★★★★

大見出し

内からの刷新か、外からの改革か ルター─宗教改革の始まり カルヴァン─宗教改革の拡大 カトリックの反撃 騒乱の時代