読書記録

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2006/09/20

『絵画の略奪』 著:ヒュー・トレヴァー=ローパー 訳:樺山紘一

1985 白水社 91P

白水社アートコレクション。

このシリーズは本書以外にもあるのかどうか不明ですが、あれば手に取りたいところ。

大体現代の各国美術館に所蔵されている展示物は、17世紀に略奪によって入手したものである、

という、それを知らない人にとってはかなり衝撃的なことを述べています。

かくいう私も知らぬ一人だったわけでして、確かによく考えればその通りなのですが、意外な盲点。

そこを衝いたトレヴァー=ローパーは流石です。

戦争の世紀といわれる17世紀が略奪の絶頂期で、それ以後は、他王家のものを略奪することがなくなった、

つまり戦争の質が変わったというのも興味深い。

これは軍事史とも絡み合ってくるわけで、この略奪論を単純に美術史にくくれない理由のひとつでしょう。

もちろん図版は豊富。

推奨度

★★★★★

 

2006/09/19

『自然法論』 著:ミッタイス 訳:林毅

1971 創元社 111P

歴史学叢書。

ミッタイスにあっては、自然法とは法のイデアと考えるのが一番しっくりきますね。

つまり、実定法を修正する拠り所となるものとでもいえましょうか。

法論とありますが、ガチガチなかたっくるしいものではなく、読みやすいです。

推奨度

★★★★★

見出し

自然法理念の現象形態 自然法の古典時代 自然法の現代的意義

 

2006/09/18

『ルイ14世の軍隊 近代軍制への道』

著:ルネ・シャルトラン 彩色画:フランシス・バック 訳:稲葉義明

2000 新紀元社 50P

オスプレイ・メンアットアームズ・シリーズ。

個人的にはもう少し軍隊生活の内実などを知りたかったところですが、

しかし何故か服飾関連の記述が多かったです。

何色の何これを着ていたとか付けていたとか。

戦術面の解説もそれほど無かったですね。

推奨度

★★★★

見出し

ルイXIV世の時代 1661年当時の陸軍 部隊、制服そして武器:メゾン・デュ・ロワ 正規歩兵隊 正規騎兵隊 軍旗と騎兵連隊旗

 

2006/09/17

『身分制議会の起源と発展』 著:O・ヒンツェ 訳:成瀬治

1975 創文社 186P

歴史学叢書。

論文二本収録。

身分制をとっていても議会制をとるとは限らず、逆もまた然り。

身分制で議会制という、この併せ持ちがヨーロッパの特徴であり、

それを世界的に見ると非常に珍しいパターンである、と。

大体こんなところが簡単な理解です。

推奨度

★★★★

見出し

西欧の身分-議会制の類型学 代議制の世界史的諸条件

 

2006/09/16

『中世ヨーロッパ都市と市民文化』 著:フリッツ・レーリヒ 訳:魚住昌良/小倉欣一

1968 創文社 141P

歴史学叢書。

レーリヒ独特のドイツ語なのでしょう、訳文も癖があって、文字が小さいことも手伝いかなり読みにくいです。

内容も専門的かつ、まとまって進まずにあっちこっちへクネクネしていくので、

相当頭を使って読んでいても一筋縄には理解できません。

市民文化、という時の市民というのは、都市民程度の概念理解でいいかと思います。

決して近代的な市民ではないでしょう。

推奨度

★★★★

見出し

新文化勢力の台頭 東部ヨーロッパへの進出 都市と国家 帝国と国民諸国家の狭間 リューベックとニュルンベルク 都市の住民

都市門閥と手工業者 市政の展開

 

2006/09/15

『中世の法と国制』 著:フリッツ・ケルン 訳:世良晃志朗

1968 創文社 141P

歴史学叢書。

見出しがそのままテーゼになっているので、ここで私が内容に触れることもなく。

議論の分かれるところではあるそうですが、しかし私などは、

このケルンのテーゼには納得できるところ大いにありなのです。

推奨度

★★★★

見出し

法は古いものである 法は良きものである 良き古き法は非制定的・不文的である 古き法はより新しき法を破る

法の改新は古き法の再興である 法律観と法生活

法的制約の原則(君主は法に拘束される) 人民代表の原則(君主の同意取得義務) 責任の原則(抵抗権) 過渡形態

時間的中世と概念的中世

 

2006/09/14

『メルヘンの深層』 著:森義信

1995 講談社現代新書 198P

社会史・法制史的な見地によるメルヘン読解。

つまり、何でもかんでも性性性にしていく阿呆な心理学的読解とはほぼ無縁な、

素晴らしいメルヘン系著作なわけです。

メルヘン=フロイト論!がウッザーな人にはうってつけです。

当然すぎてつけ足すまでもありませんが、

個人の解釈なので全部が全部納得できるようなものではありません。

推奨度

★★★★

見出し

長靴をはいた猫―金も才能もない男の出世術 シンデレラ物語―代父母の保護下にある意地っ張りな女の子

白雪姫と魔女裁判―虚言癖のあるわがままな女の子 赤ずきんちゃんと人間狼―赤い色の大好きな女の子

ヘンゼルとグレーテルの社会学―子捨てか親離れか ジャックと豆の木―男の生態学

がちょう番のおんな―未熟な女のお嫁入り 三枚の蛇の葉と傭兵の出世物語―文無し男は「喧嘩」する

いばらのなかのユダヤ人―差別する側にたつ男のやり口

青ひげ物語としたたかな女―夫の財産をすっかりせしめる法

 

2006/09/13

『中世社会の構造』 著:クリストファー・ブルック 訳:松田隆美

1990 法政大学出版局 154P

りぶらりあ選書。

図版たっぷりで、それらを眺めているだけで当時の社会情況が見えてきます。

教皇と乞食、それから、乞食と教皇、という逆さまな章題で終わっているように、

そういった小洒落た文章もあったりして、西洋史に造旨の深くない人でも気軽に読めるものです。

推奨度

★★★★★

見出し

教皇と乞食 国王と王権 教皇と司教 教皇と国王の選出 農民、都市民、領主 乞食と教皇

 

2006/09/11

『ヒストリカル・ガイド ドイツ・オーストリア』 著:坂井榮八郎

1999 山川出版社 208P

あれ、そういえば人には奨めておいてちゃんと自分で読んでいなかったな、ということに今さら気付き。

一番よくまとまっていると思うドイツ史入門。

参考文献表も初学者にはとてもためになることでしょう。

本筋は、構成がまず面白い。

通史をやってから、次に社会史文化史の諸相へと移る、

これが変に入り組まずに混乱することなく理解できてイイ。

他のシリーズと比べて一段うまく出来上がっている理由は、この構成にあるでしょう。

推奨度

★★★★

見出し

「ドイツ」というところ ローマ帝国から神聖ローマ帝国へ 神聖ローマ帝国の光と影 宗教改革から絶対主義の時代へ

神聖ローマ帝国の崩壊から二つの帝国の建国へ 二つの世界大戦の時代 第二次世界大戦後のドイツとオーストリア

王朝と宮廷文化 教会と教会文化 城と騎士文化 中世の都市と市民生活 農村と森の社会文化史

 

2006/09/10

『90分でわかるデリダ』 著:ポール・ストラザーン 訳:浅見昇吾

2002 青山出版社 123P

90分でわかるシリーズ。

これはいい。

デリダはわからないということが、90分もかからずによくわかるでしょう。

デリダなんてのはまともにその著作から入ったって分かりませんし、私のように嫌いになるだけですから、

まずこういった著作から、そのワケワカラナサを念頭に置いてからぶつかっていった方が、

よく砕け散れると思います。

しかしデリダのやろうとしていることは、もっとうまくローティがやっているような気がしてならないのですが。

いや、しかしローティがデリダのようなことをしているかといったら、それは全然違うのですが。

デリダの意図を無視して他の人が解釈したところのデリダの結果がということです。

推奨度

★★★★★